コロナ以前、百貨店の化粧品カウンターでは、シーズン限定色が発売されるたびに、それ目当てのファンが入口やカウンター前に長蛇の列をつくるというのが風物詩でした。

しかし、コロナ禍でその光景は一変。百貨店のコスメブランド（通称；デパコス）には厳しい時代となっています。

しかし、そんな苦境にあっても、百貨店やブランドはSNSを用いた告知やオンラインでの販路で対応。発売早々に完売してしまうコスメがあることをご存じでしょうか。

Dior　クチュールの人気デザインをコスメに投影！

多くの完売コスメを生み出しているのがディオールです。特に、クチュールの象徴的なデザインをコスメに投影できるのが、このブランドの最大の強みといえます。

今年1月1日に限定発売された、千鳥格子柄をまとった「ニュー ルック エディション」もそのひとつ。発売前から、SNSで「可愛すぎる」と話題沸騰に。

「発売から1週間で、全７色が完売。本国に追加入荷を依頼するほどの売れ行きでした」（パルファン・クリスチャン・ディオールPRマネジャー村山恵里子さん）

しかも、こちらはリフィル式のため、ディオールのほかのリップスティックの詰め替えができるため、長く愛用できるというのも完売した理由。ポーチから出すために、思わず笑みがこぼれてしまう、そんな心がときめくパッケージデザインです。

ちなみに、千鳥格子柄は限定数販売終了となってしまいましたが、ファッションの世界観を投影した新作として、現在は「ディオール アディクト リップスティック」専用ケースが発売されています。

イヴ・サンローラン　香水の世界観がボーイズグループの楽曲とマッチ！

化粧品のなかでも“香水”は、欧米に比べて、日本国内はかなりニッチな市場。ここ数年では大きなヒット作がないほどです。ところが、昨年、品切れが続出するほどの奇跡的なヒットを呼び起こしたのが、イヴ・サンローラン・ボーテの「リブレ オーデトワレ」です。

こちらがヒットした理由は、その世界観を表現したグローバルボーイズグループ「JO1」の起用にあります。

「JO1とはパートナーシップ契約を締結しています。新作香水、リブレ オーデトワレでは、リブレ（自由）という世界観を表現するために、プロモーションの一環として、JO1の楽曲“Freedom”を用いたWEBCMやスペシャルライブを世界同時配信しました。すると、こちらの楽曲がリブレの世界観にマッチ。その相乗効果からSNS上で爆発的な話題に」（イヴ・サンローラン・ボーテPRエキスパート　青山直子さん）

ライブ後は、新作のオーデトワレだけではなく、既存のリブレシリーズもすべて品切れが続き、入荷が間に合わないというほどだったそう。

「自由、エッジィ、ジェンダーレスな魅力を放つ、イヴ・サンローランのアイコンフレグランス“リブレ”と、グローバルボーイズグループJO1の魅力がピタッとシンクロしたことが、多くのファンを魅了したと思います」（イヴ・サンローラン・ボーテPRエキスパート　青山直子さん）

スック　“完売色”の連鎖が、次なる完売色を生む

シーズン新色で“完売カラー”が最も多いと思われるブランドが、SUQQU。トレンドを反映した色展開、お洒落感のある質感などから完売カラーが相次いでいるブランドです。

そんなSUQQUで、最近、完売したコスメが、新作チーク「メルティング パウダー ブラッシュ 01 瑞泡」です。こちらは白に近いラベンダーカラーで、ぱっと見では使い方が？　となりそうなカラー。

しかし、「美容誌や女性誌などでヘアメイクさんがこの色ならではの繊細な艶感や透明感を気に入ってくださり、ハイライターとしてはもちろん、チークと重ねて使うニュアンスチェンジャーとしてなど、マルチに使える提案をしていただけたことで認知が一気に広がりました」（SUQQU　PRコーディネーター横山愛里さん）。

その結果、公式オンラインショップでの先行予約分は予約開始からわずか10分で予約受付終了。さらに、1月7日の発売開始日でも予約開始から10分で一時欠品になり、全国の店頭在庫も発売日から数日でなくなってしまったそう。

「当初の予想を超えてご支持いただき、大変ありがたく思っております。在庫は追加されていきますが、追加されては品切れになってしまい、品薄状態が続いています。お待ちいただいているすべての皆様に、1日でも早くお届けできるよう努めてまいります」（SUQQU　 PRコーディネーター横山愛里さん）

発売前から人気のアイテムは、早めに予約を

完売することに驚きや嬉しさをにじませる一方で、購入希望者すべてに商品が行き渡らないことに心苦しさを感じているブランドも多いようです。

コロナ禍もあり、現在、限定品はオンラインで先行予約を受け付けているブランドも多くあります。どうしても入手したいという限定コスメなら、早めに予約することが鉄則です。