気象庁は12日、定例のエルニーニョ監視速報を発表し、現在のラニーニャ現象はこの春で終息せず、夏まで続く可能性が高くなったとの見通しを示しました。

4月、異例の強さのラニーニャ現象発生

 ラニーニャ現象は通常、冬にピークを迎え、春に終わることが多く、今年も春で終わる可能性が高いとみられていました。しかし、先月(4月)は赤道付近の東風(貿易風)が強まったことで、ペルー沖の海面水温は基準値より1.0度低くなりました。これは記録が残る1949年以降、4月としては1954年(-1.3度)に次ぐ低さで、異例ともいえるラニーニャ現象となっています。今後、ラニーニャ現象は夏まで続く可能性が70%と高く、影響が長引く見通しです。

この夏(6月~8月)の海面水温の予測図:太平洋赤道域中部と東部で海面水温が平年より低く予想されている(ウェザーマップ作画、筆者加工)
この夏(6月~8月)の海面水温の予測図:太平洋赤道域中部と東部で海面水温が平年より低く予想されている(ウェザーマップ作画、筆者加工)

この夏、日本への影響は?

 ラニーニャ現象が夏まで続いた場合、どのような影響が考えられるのでしょうか。日本では夏の暑さが厳しくなると言われていますが、8月を中心とした3か月(7月~9月)の平均気温をみると、西日本と東日本では平年並みから高くなる傾向が示されています。

ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴(詳細版):8月を中心とした3か月(7月~9月)の平均気温の出現率。図の地域名の赤い帯と棒グラフの太黒枠は統計的に有意な傾向を示す。気象庁ホームページより
ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴(詳細版):8月を中心とした3か月(7月~9月)の平均気温の出現率。図の地域名の赤い帯と棒グラフの太黒枠は統計的に有意な傾向を示す。気象庁ホームページより

ラニーニャ現象が発生すると日本で猛暑となる理由を説明した模式図(筆者作成)
ラニーニャ現象が発生すると日本で猛暑となる理由を説明した模式図(筆者作成)

 ラニーニャ現象は太平洋赤道域の日付変更線付近から南米ペルー沖にかけての海面水温が基準値より低く、一方で太平洋赤道域の西部で高くなる現象のことです。この夏はフィリピンの北からマリアナ諸島付近で雲が多く発生し、太平洋高気圧の北への張り出しが強まるため、日本は全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温が高くなる可能性があります。

この夏、世界への影響は?ウクライナは熱波も

 ラニーニャ現象は日本に留まらず、世界的に異常気象を引き起こすことでも知られています。特徴的なテレコネクションパターンが発生し、遠く離れた複数の場所が互いに影響しあうからです。

 例えば、ポーランドやウクライナなどヨーロッパ東部で気温が高くなる、また、アメリカ中部では雨が極端に少なくなり、干ばつになりやすいことがあります。

 ロシアのウクライナ侵攻で、世界のエネルギーや食糧が大きく影響を受けているだけに、私たちの生活にもこれまで以上に異常気象の影響が重くのしかかるのではないかと気に掛かります。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.356)、2022年5月12日

気象庁ホームページ:エルニーニョ/ラニーニャ現象

米海洋大気庁(NOAA):EL NIÑO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION、12 May 2022

米海洋大気庁(NOAA):ENSO Blog、May 2022 ENSO update: piece of cake、12 May 2022

オーストラリア気象局(BoM):Climate Driver Update、10 May 2022