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札幌は過去2番目に遅い初雪、東京は「木枯らし1号」吹かず いつから寒くなるのか

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
最近20日間の平均気温の平年差を示した図(気象庁ホームページより)

 19日夜、札幌に初雪が降った。過去2番目に遅い初雪だ。一方、東京はまだ「木枯らし1号」が吹かない。来週は西日本で雪となる寒さとなりそう。木枯らし1号の期限は今月末まで、チャンスはあとわずか。

記録的に遅れた札幌の初雪

 タイトル画像は最近20日間の平均気温を平年と比べた図です。暖色は平年と比べて気温が高い所を、寒色は気温が低い所を示しています。先月(10月)にはラニーニャ現象が発生し、この冬は寒くなるとの見通しがでていますが、今のところ寒さは限定的で、冷たい空気は西日本を中心に流れ込んでいます。17日は鹿児島で平年より8日早く、イチョウが黄葉しました。

 これと対照的なのが札幌です。9日にはカエデ、イチョウともに落葉したものの、初雪は遅れに遅れ、19日夜に観測されました。1950年以降では2番目に遅い初雪です。

【札幌】初雪が遅いランキング(1950年~2020年)筆者作成
【札幌】初雪が遅いランキング(1950年~2020年)筆者作成

遅い初雪とラニーニャ

 札幌の初雪がかなり遅くなった年はその後、寒さはどうなったのか、調べてみました。年を追うごとに、温暖化の影響が大きくなっているため、実情にあった2000年以降(上位4年)としました。

札幌の遅い初雪と冬の天候(筆者作成)
札幌の遅い初雪と冬の天候(筆者作成)

 結果はきっちり寒冬と暖冬に分かれました。初雪が最も遅かった2018年はその後、暖かい冬に、2006年もそうでした。一方で、2011年と2012年はいずれも寒さの厳しい冬になりました。これでは答えにならないと思い、エルニーニョ/ラニーニャ現象が発生していたのか見てみました。

 すると、エルニーニョが発生またはエルニーニョ的な状況だった年は暖冬に、平常またはラニーニャ的だった年は寒冬だったことがわかりました。わずか4年を取り上げて、傾向を探るのは安易ですが、今年との共通点が見えて、興味を引かれました。

西日本は早い初雪も

 札幌の初雪が記録的に遅れた一方で、西日本は早くなりそうです。こちらは上空1,500メートル付近の気温を予想した図です。暖色は平年より高いことを、寒色は平年より低いことを示しています。

850hPa気温と平年差を予想した図(ウェザーマップ作画、筆者加工)
850hPa気温と平年差を予想した図(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 このあと22日(月)頃にかけて、日本列島は暖かい空気に覆われる予想です。しかし、その後はかなり冷たい空気が流れ込みます。山陰や北陸の平地でも雨に雪が混じり、いつもより早い初雪が降る可能性が出てきました。

そして、東京の木枯らし1号は?

 東京では例年、立冬近くの11月5日頃に木枯らし1号が吹きます。木枯らし1号の発表は10月半ば頃から11月末までと期間が決まっているため、発表がない年もあります。 

 最近では2018年、2019年と2年続けて発表されませんでした。2018年は札幌の初雪が最も遅くなった年でもあります。今年はいつ吹くのか、11月も残り少なくなり、チャンスは限られてきたようです。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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