8月中旬の大雨では西日本で戦後最悪と言われた1993年を上回る低温多雨となった。秋にかけても西日本は雨が多いと予想されている。一方、熱帯の海はラニーニャ現象に近づく。台風への備えは待ったなしだ。

西日本 戦後最悪の冷夏・長雨

 8月も終わりに近づき、夏が戻ってきたような暑さです。きょう(27日)は山梨県甲州市勝沼で37.1度まで上がり、全国の43か所で最高気温が35度以上の猛暑日になりました。今頃の暑さは身体に堪えます。

 今月中旬は西日本や東日本で大雨が重なり、各地で被害が相次ぎました。降水量は西日本で平年の約7倍となり、1961年以降では最も多くなりました。平年の7倍という数字も驚きですが、戦後最悪の冷夏と言われた1993年を大幅に上回ったことに衝撃を受けました。また、平均気温も西日本は平年を3.1度下回り、8月中旬としては過去60年で最低です。

秋も雨が多いのでしょうか

 最新の3か月予報(9月~11月)では沖縄から西日本にかけての地域でいつもの年より雨が多くなる可能性が高くなっています。

気象庁3か月予報「降水量」より(ウェザーマップ作画)
気象庁3か月予報「降水量」より(ウェザーマップ作画)

 雨が多い背景には夏の高気圧がいつまでも強いことがあります。季節の進みがゆっくりで、夏を残したような天気が続くと考えます。湿った空気が日本列島に流れ込み、秋雨前線の活動が活発になりやすいとみられます。では、台風はどうなのでしょう? その前に、太平洋赤道域の海面水温に、ある特徴がみられます。

ラニーニャもどき?

 こちらはこの秋(9月~11月)の海面水温を予想した図です。太平洋を中央に、上に小さく日本があるのがわかりますか。

この秋(9月~11月)の海面水温の予想図:気象庁3か月予報資料より
この秋(9月~11月)の海面水温の予想図:気象庁3か月予報資料より

 注目したのは太平洋中部(日付変更線付近)から南米ペルー沖にかけての海面水温です。水色に塗られ、海面水温が平年より低いことを示しています。

 南米ペルー沖の海面水温が低くなり、その状態が一年程度続く現象をラニーニャ現象と言います。この秋はラニーニャ現象に近い状態になる可能性があるのです。

 最新のエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生予測では平常の状態が続く確率が最も高く、ラニーニャ現象の発生は30%です。ただ、予測グラフ(黄色ボックス)をみると、基準値を下回る可能性の方が高い予測になっています。この時期の予測は精度が高いため、予想の根拠として有効です。

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値(気象庁ホームページより)
エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値(気象庁ホームページより)

ラニーニャと台風

 これまで(1949年以降)ラニーニャ現象が秋に発生していた年は18年あります。9月~12月の台風を調べてみると、発生数は平均して12個から13個、上陸数は平均で1個でした。平年と比べて差はみられませんでした。

 ということはラニーニャ現象あるなしに関わらず、台風への備えはこれまで通りしっかり行うことが大切です。

2017年10月23日の地上天気図(ウェザーマップ作画)
2017年10月23日の地上天気図(ウェザーマップ作画)

 ラニーニャ現象が発生していた年で記憶に残るのが2017年10月の台風21号です。超大型の強い勢力で静岡県掛川市付近に上陸し、首都圏の通勤通学を直撃しました。東京都八王子市では三日間で350ミリの大雨になるなど、関東地方は秋雨前線と台風が重なると特に大雨になりやすいだけに気がかりです。

【参考資料】

気象庁:3か月予報(9月~11月)、2021年8月25日発表

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.347)、2021年8月11日発表

気象庁ホームページ:過去の台風資料