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東京 消えた秋晴れ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
関東地方はこの一週間、雲に覆われたまま(著者作成)

 10月の空がすっきりしない。東京の日照時間は平年の7割程度と少なく、今月後半にかけて、くもりや雨の日が多くなりそうだ。

晴れない東京

 季節の変わり目は天気がぐずつきやすい。夏から秋にかけては秋雨シーズン、関東地方は秋雨前線や台風の影響で、一年で最も雨が多い時期です。

 しかし、10月半ばになると秋雨も終わり、高気圧に覆われて秋晴れが多くなります。先の東京オリンピックはこのときを見計らって開催されました。

 11月は晴れても風が冷たくなるため、10月の今が年内最後の過ごしやすいときなのですが、今年は様子が違います。度重なる台風被害と夏を思わせる暑さが続き、心地よい秋晴れは少ないように感じています。実際、東京ではこの10日間(10日8日~17日)の日照時間が約30時間と平年の7割程度に留まっています。

2017年も雨多く

 そういえば、以前も秋晴れが少ないと言われたことを思い出し、それを確かめようと、東京の10月の晴れ日数(日照率40%以上の日)をグラフにしてみました。日照計が回転式となった1987年以降です。

【東京】10月の晴れ日数(日照率40%以上の日、1987年~2018年、著者作成)
【東京】10月の晴れ日数(日照率40%以上の日、1987年~2018年、著者作成)

 

 近年、晴れの日が少なかったのは2017年、2010年、1994年、1991年です(★で示した年)。2017年は今年と同じように台風の影響が大きく、全国的にみても雨が多くて、晴れない10月でした。秋の観光シーズンも湿りがちで、水族館など屋内施設が人気だったようです。

秋晴れが少なくなる?

 いつになったら晴れるのでしょう。東京の週間予報をみても、晴れの日が少ない印象です。

東京の週間予報(気象庁、10月18日午前11時発表)
東京の週間予報(気象庁、10月18日午前11時発表)
向こう1か月の地上気圧予測図(気象庁ホームページより)
向こう1か月の地上気圧予測図(気象庁ホームページより)

 今月後半にかけても、高気圧は北日本を中心に張り出し、西・東日本は湿った空気の影響を受けやすい見通しです。東京からみると、高気圧が北にあるため「北高型の気圧配置」と呼ばれ、天気がぐずつきやすいです。

 1994年10月も北高型となり、秋晴れはこの30年あまりで最も少なくなりました。

 夏の終わりが長引き、そして急に寒くなるような極端な季節変化が多くなると、ますます心地よい秋晴れが少なくなるような気がします。

【参考資料】

気象庁ホームページ:向こう2週間・1か月の予測資料

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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