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ラニーニャ終息へ この夏は猛暑か?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ラニーニャ終息後、この夏は全国的に暑さが厳しい予想(ペイレスイメージズ/アフロ)

 ラニーニャ現象は終わりに近づく。この夏はエルニーニョも、ラニーニャも発生せず、夏の予想に決め手がない。全国的に猛暑となるというが、はたして?

ラニーニャ現象終息へ

 最新のエルニーニョ監視速報によると、2月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より0.9度低くなりました。一方、貿易風(大気下層の東風)は平年の状態となり、海洋はラニーニャだけれども、大気はその特徴が消えつつあります。2017年秋から続いていたラニーニャ現象はこの春に終息する見通しです。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の経過と予測(気象庁エルニーニョ監視速報より)
エルニーニョ/ラニーニャ現象の経過と予測(気象庁エルニーニョ監視速報より)

 ラニーニャ終息後はどうなるのでしょう?日米豪の気象機関はいずれも平常の状態を予測しています。この夏はエルニーニョも、ラニーニャも発生していない可能性が高くなっています。

この夏は猛暑予想

 2月末に発表された暖候期予報では、この夏は全国的に気温が高く、夏らしい夏となる予想です。日本の夏に大きな影響を与える太平洋高気圧とチベット高気圧はともに平年より強いとされ、猛暑となる可能性もあります。

2018年夏の天候予想図(模式図,著者作成)
2018年夏の天候予想図(模式図,著者作成)

 そして、過去の天候を振り返ってみました。今年のように、ラニーニャ現象が春に終わり、夏は平常の状態だった年を調べてみたものです。

ラニーニャ現象終息後の夏の天候(1949年以降,著者作成)
ラニーニャ現象終息後の夏の天候(1949年以降,著者作成)

 1949年以降では該当する年が8年ありました。前回の2011年夏は全国的に暑さが厳しく、6月末には東京都心で35度を超えました。2000年以降は暑い夏が目立ちます。しかし、それより以前は冷夏が多い。結果は暑夏、冷夏の2つに分かれてしまいました。

決め手を欠く夏の天候予想

 天候に大きな影響を与えることで知られるエルニーニョ/ラニーニャ現象。この冬は西日本を中心に大雪、厳しい寒さとなりました。

 ラニーニャ現象が終息したあとは、何を決め手に考えたらいいのでしょう?この夏はエルニーニョ/ラニーニャ現象という大きな柱がなく、予想は難しいと思っています。

 もちろん、エルニーニョ/ラニーニャ現象だけが異常気象の原因ではなく、さまざまな気象現象が重なり会うことで、いつもと違う天気が現れます。複雑といってしまえば簡単ですが、一筋縄ではいかない難しさに興味を惹かれます。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No. 306),2018年3月9日

気象庁:夏の天候の見通し(6~8 月)暖候期予報,2018年2月23日

オーストラリア気象庁: ENSO Wrap-Up La Nina retreats,27 February 2018

米海洋気象局(NOAA):EL NINO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION,08 March 2018

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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