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台風5号・6号発生 予測に不確実性も

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風5号、台風6号ともに、発達しながら西寄りに進む予想(7月21日午後3時現在)

 21日、台風5号と台風6号が相次いで発生した。台風の動きに影響を与える亜熱帯高気圧、そして、複数の台風の存在は予測の不確実性が増す。台風の動きに十分な注意が必要だ。

相次いで台風が発生

 7月21日午前9時、南鳥島近海で台風5号が発生しました。そして、午後3時にはミッドウェー諸島近海で台風6号が発生しました。台風5号、台風6号ともに、発達しながら西寄りに進む予想です。

 こちらは21日正午の雲の様子です。

台風5号、台風6号の雲(7月21日正午,ひまわり8号)
台風5号、台風6号の雲(7月21日正午,ひまわり8号)

 3つの黄丸のうち、中央が台風5号の雲です。中心部に濃密な雲が見られます。

 そして、右側の雲が21日午後3時に台風6号となった雲です。中心に巻き込む雲が明瞭で、発達を続けていることがうかがえます。さらに、日本の南海上にある雲域(左側)は今後、熱帯低気圧となる可能性があります。

 にわかに日本近海が騒がしくなってきました。日本近海の海面水温は平年より高く、台風が発生、発達しやすい条件がそろっています。

複数の台風は予測が難しくなる

 台風は日本に近づくまでのしばらくの間、夏の高気圧(亜熱帯高気圧)の縁を流れる風に影響を受けます。台風は高気圧を横切らないため、日本列島が高気圧にすっぽりと覆われた場合はあまり近づきません。台風の動きは高気圧の勢力や張り出しに左右されます。

台風と亜熱帯高気圧の関係を示した模式図
台風と亜熱帯高気圧の関係を示した模式図

 来週は高気圧の張り出しに変化が現れます。高気圧は西日本から中国大陸で強く、日本の東側で弱くなる予想です。

 さらに、台風が複数存在すると、予測が難しくなることがあるため、楽観的な見方は禁物です。

来週(26日頃)の上空の高気圧の予想(500hPa天気図,5880メートル)
来週(26日頃)の上空の高気圧の予想(500hPa天気図,5880メートル)

台風は遠くても、近くても

 台風がまだ遠くても、台風が持ち込む非常に湿った空気の影響で、再び、雨雲が発達しやすくなるでしょう。

 今から2年前の9月、台風の間接的な影響で、関東と東北地方の広い範囲で記録的な豪雨となりました。茨城県常総市付近で鬼怒川がはん濫し、甚大な被害が発生したことは記憶に新しい。

 また、天気図に台風が現れたら、海のレジャーは注意が必要です。今後も、最新の台風情報にお気をつけください。

【2017年7月21日午後3時現在の情報を元にしています】

【参考資料】

気象庁ホームページ:台風情報

気象庁:平成27年9月関東・東北豪雨

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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