ネット時代の新国際雲図帳 新種の雲も

縁取りレースのような飛行機雲(ドイツ・エスリンゲン)

3月23日、世界気象デーにあわせて、ネット時代の新しい国際雲図帳が公開された。1987年以来30年ぶりの大改訂で、雲の愛好家らが主張していた「アスペラトゥス波状雲(asperitas)」が新種の雲と認められた。

初のデジタル雲図帳

3月23日、世界気象機関条約が発効したことを記念した世界気象デー。今年は特別な気象デーになりました。

雲の分類の国際基準を示した「国際雲図帳(The International Cloud Atlas)」が30年ぶりに改訂され、待望のウェブ版が公開されました。

新しくなった国際雲図帳ウェブ版(世界気象機関ホームページより)
新しくなった国際雲図帳ウェブ版(世界気象機関ホームページより)

特徴は豊富な雲写真と詳しい解説文です。雲の図鑑のような雰囲気で、見慣れているはずの雲にこれほどまでの多様性があったのかと驚きます。

雲の分類はもともとは1803年、英気象学者のルーク・ハワードがラテン語を元に雲の呼び名を決めたが始まりです。この分類方法はのちに国際的な基準となり、1896年に国際雲図帳が出版されました。

長らく、国際雲図帳第1巻(1975)と第2巻(1987)が日本を始め、世界の気象機関で雲の観測指針として使われていましたが、インターネット時代にあわなくなったとして、今回のデジタル版のために世界中の気象専門家、雲の愛好家、写真家から何千枚もの雲写真を集めました。

新種の雲「アスペラトゥス波状雲(asperitas)」

今回の改訂で特に注目されたのが新種の雲です。摩訶不思議な波打つ雲で、雲評価学会(The Cloud Appreciation Society)が新種の雲と主張していた「アスペラトゥス波状雲」が初めて認められました。雲の愛好家と現代の科学技術が結びついた結果です。

また、特殊な雲としては人間が作り出す雲、たとえば、工場の煙突からできる雲、ロケットによる航跡雲、航空機の飛行機雲などが記載されました。ルーク・ハワードが生きていたら、空を飛び回る飛行機が描く雲をどのように眺めたのでしょう。

大型トラックが空に浮かぶ?

空に浮かんだ雲はとても軽そうに見えます。雲の重さはどのくらいなのでしょう?

小さい積雲でも重さは50トンから100トンにもなる(イメージ図)
小さい積雲でも重さは50トンから100トンにもなる(イメージ図)

雲の中にある雨や雪の量を雲水量(うんすいりょう)といい、1立方メートルあたり0.1グラムから0.2グラムくらいです。

たとえば、底辺が1平方キロで高さが500メートルくらいの小さな積雲でも、重さが50トンから100トンになります。大型トラック数台が空に浮かんだ状態、それを支えているのが上昇する風です。

【参考資料】

世界気象機関(WMO):New International Cloud Atlas: 19th century tradition, 21st century technology.Published 22 March 2017

世界気象機関(WMO):International Cloud Atlas(official site)

イギリス気象庁(Met Office):New Clouds named in WMO Cloud Atlas

気象庁:3月23日は世界気象デー,2017年3月14日

湯山生,2000:くものてびき,雲の目方について,日本気象協会編集,有限会社クライム気象図書出版部発行

リチャード・ハンブリン,2011:驚くべき雲の科学,制作協力英国気象局,村井昭夫訳,草思社