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2016年は活発な台風シーズン

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風26号と日本列島の雪雲(2016年12月24日正午:気象衛星ひまわり)

今年(2016年)、非常に強い台風と猛烈な台風をあわせた「メジャー台風」は10個で、平均を上回った。台風の発生数に占めるメジャー台風の割合を調べると、エルニーニョ年は台風の活動が活発になることがわかった。

今年10個目のメジャー台風

台風26号は非常に強い勢力となり、フィリピンに接近しています(12月25日午前8時現在)。

台風の強さは「強い」「非常に強い」「猛烈な」の3階級あり、今年(2016年)、非常に強い勢力となった台風は26号を含めて6個、猛烈な強さとなった台風は4個でした。

米ハリケーンはカテゴリー3以上の強いハリケーンをメジャーハリケーンと呼びます。それに倣い、ここでは非常に強いと猛烈な台風をあわせて「メジャー台風」とします。

メジャー台風の発生数(1981年ー2016年)
メジャー台風の発生数(1981年ー2016年)

2016年のメジャー台風は10個となり、平均(1981-2010)の7.7個を上回りました。

平均を上回れば、台風の活動が活発だったと言っては尚早でしょう。台風の発生が多い年、少ない年もあるので、発生数に対するメジャー台風の割合を見てみました。

2016年の台風の発生数は26個で、メジャー台風は10個ですから、発生数に対するメジャー台風の割合は38%です。2016年はメジャー台風の発生数、割合ともに平均(30%)を上回りました。

2016年は活発な台風シーズン

そこで、発生数に占めるメジャー台風の割合を「台風の活動度」とし、活動度が高いほど台風の活動が活発であったとしましょう。

専門的にいえば米海洋大気局のAccumulated Cyclone Energy (ACE)がありますが、私の手に負えないので、簡易的な指数を考案してみました。

次の表は1981年以降の台風の活動度を見たものです。

台風の活動度高い方順位(上)、低い方順位(下)
台風の活動度高い方順位(上)、低い方順位(下)

1981年から2016年までの36年間で最も活動度が高かったのは2015年の0.59です。2015年シーズンは実に2つに1つがメジャー台風であったことがわかりました。一方、最も活動度が低かったのは1999年の0.05で、台風は22個発生したものの、メジャー台風となったのはわずか1個でした。

2016年は平均(0.3)を上回る0.38、2015年より減少したものの、台風の活動が活発なシーズンだったといえそうです。

エルニーニョ/ラニーニャが影響か?

メジャー台風が多い年、少ない年に、何か共通点があるのでしょうか?

調べてみると、台風の活動度が高い年はエルニーニョ、活動度が低い年はラニーニャである傾向がみえます。台風は熱帯の海で発生し、成長するので、海洋の状態が関係していることは十分に考えられ、とても興味深い結果だと思います。

【参考資料】

気象庁:過去の台風資料

NOAA Climate Prediction Center:BACKGROUND INFORMATION,THE NORTH ATLANTIC HURRICANE SEASON

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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