北海道の大雨が当たり前になる日
この1か月あまり、北海道は8回の大雨に見舞われ、夏の降水量は1946年以降、最も多くなった。この大雨は異例中の異例だが、最近は雨の多い年が目立つ。気候が変化するなかで、北海道は大雨に向き合う時代がやってきたのかもしれない。
1か月あまりで8回の大雨
本州で梅雨が明けた7月下旬から今日(9月9日)まで、北海道は8回の大雨に見舞われました。そのうちの6回が台風が関係した大雨です。
例年ならば、台風の影響は西日本や沖縄で受けやすく、北海道への影響はそれほど多くはありません。
この夏の北海道の降水量は平年の187%と、戦後最も多くなりました。この経験したことのない大雨は、台風を北へ北へと押し流す気象条件が続いたことが原因です。
夏の大雨が頻発?
北海道の夏というと冷涼な気候で、大雨のイメージは乏しい。川岸がコンクリートで覆われていないのをみると、水害が少ない土地柄なのだと実感します。
この70年余りの夏の降水量を振り返ると、1960年代前後は多く、その後は少なく、再び多くと、10年くらいの周期で多い少ないを繰り返しています。一概に、右肩上がりで北海道の雨が多くなったとは言えないようです。
しかし、今年の夏のように降水量が平年と比べてかなり多い年は、今年を含めて11年あり、1960年代と最近が多いです。一方で、降水量が平年と比べてかなり少ない(干ばつ)年は過去5年で、その差は2倍あります。
このデータを見ただけで、記録的な大雨が多くなっているとは言えないけれど、気になる兆候です。
北海道は大雨に向き合う時代に
温暖化の進行に加えて、今年のようにエルニーニョが終わっても続く世界的な高温が背景にあると考えると、別の面が見えてきます。
天候そのものを根底から変えてしまう変化が起こりつつあるとすれば、北海道の防災も、農業も、生活習慣も変化を余儀なくされます。
この夏の北海道の記録的な大雨は、揺れ動きながら、ときにダイナミックに変化する天候にどのように対応していくのか、答えの見えない重い課題を突きつけられたように思います。
【参考資料】
気象庁ホームページ:過去の地域平均気象データ
札幌管区気象台,函館海洋気象台:北海道における気候と海洋の変動,平成22年12月
表紙の写真は著者が撮影したものです。