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梅雨のはなしをしよう

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
日本の梅雨はインドからやってくる(イメージ図)

まもなく沖縄の梅雨入り

きょうから5月。初夏というには暑すぎる。

京都市では午後2時過ぎに30度を超え、今年初めての真夏日に。東京都心でも今年最高となる27.5度を記録しました。日本全国で6月から7月並みの暑さとなり、先月上旬の日照不足と低温を思えば、天気の変化が極端です。

沖縄県那覇市の向こう10日間の天気予報(ウェザーマップ)
沖縄県那覇市の向こう10日間の天気予報(ウェザーマップ)

季節の先取りは暑さだけではありません。沖縄県那覇市の向こう10日間の天気予報をみると、3日(日)頃から天気が崩れ始め、来週は雲の多い天気となる見通し。

もう梅雨入りか、と早い気がするかもしれませんが、沖縄地方の平年の梅雨入りは5月9日頃です。昨年は5月5日(子供の日)に梅雨入りしました。大型連休の後半は沖縄の梅雨入りの時期なのです。

日本の梅雨はインドから

インド・ニューデリーの天気予報(インド気象庁)
インド・ニューデリーの天気予報(インド気象庁)

梅雨は5番目の季節といわれるほど、日本の天候を特徴づける存在です。梅雨前線を西へ西へとたどっていくと、インドに行き着きます。

東南アジアでは海から陸に向かって湿った風が吹き、モンスーン(雨季)が始まります。きょう(1日)のインド・ニューデリーは快晴、最高気温は38度の予想です。インド中東部のナグプル(Nagpur)では連日、40度を超える猛烈な暑さが続いています。

インドでは雨季に先立って、猛烈な暑さ(熱波)がやってきます。日本でいえば、五月晴れの後に梅雨入りするのと同じです。

今年の梅雨はメリハリ型

南アジアのモンスーンに伴う降水量予測(WMO)
南アジアのモンスーンに伴う降水量予測(WMO)

世界気象機関(WMO)の検討会(The South Asian Climate Outlook Forum)によると、この夏の南アジアの降水量は平年の70%-80%程度にどとまり、とくに、パキスタン、インド、スリランカでは降水量が少なくなる見通しです。

夏モンスーンの活動が不活発となる 可能性があり、エルニーニョ現象の影響も指摘されています。

一方、日本では、6月は沖縄・奄美地方で雨の日が多くなるものの、本州では空梅雨ぎみ。7月になると本州の梅雨が本格化し、平年よりも降水量が多くなる可能性があります。夏の主役である太平洋高気圧が日本の東海上で強くなると、西日本には非常に湿った空気が流れ込みやすくなり、集中豪雨が頻発するおそれがあります。

きのう(30日)は鹿児島県で局地的な豪雨がありました。本州の梅雨はもう少し先の話ですが、今年の梅雨は「前半は空梅雨、後半は集中豪雨」とメリハリのある梅雨になるかもしれません。

また、5月から太平洋東部の海面水温が高くなるため、エルニーニョ現象が再び、明瞭になるでしょう。インドのモンスーン、日本の梅雨、そしてエルニーニョ現象と表裏一体の関係に目が離せません。

【参考資料】

気象庁地球環境・海洋部 :向こう3か月の天候の見通し(5月~7月)

インド気象庁(IMD):INDIA WEATHER

世界気象機関(WMO):South Asian summer monsoon rainfall expected to be below normal(23 April 2015)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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