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2013天気の流行語

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
これまでに流行語大賞となった天気用語

今年も残すところ1か月あまり、年の瀬を感じさせる話題が多くなってきました。来月2日には、その年話題となった新語・流行語を決める「新語・流行語大賞」が発表されます。「新語・流行語大賞」は昭和59年(1984年)に始まり、今年で30回目です。過去には5つの天気用語が大賞に選ばれています。

第07回(1990年) 気象観測史上(はじめての・・・)

第08回(1991年) 火砕流

第24回(2007年) 猛暑日

第25回(2008年) ゲリラ豪雨

第29回(2012年) 爆弾低気圧

「気象観測史上」が選ばれた1990年は、カラ梅雨・猛暑に、大型台風と異常気象が多発した年でした。今でこそ、当たり前のように使われていますが、20年以上も前に流行った言葉とは興味深い。流行語が一般的な言葉として定着した例でしょう。そして、翌年の1991年には長崎県の雲仙岳で火砕流が発生し、死者43名の大惨事となりました。

その後、天気の流行語は途絶え、2007年に「猛暑日」として再登場しました。「猛暑日」を決定づけたのは埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の最高気温40.9度、74年ぶりに日本歴代の記録を塗り替えました。また、この年は約10年ぶりに予報用語が全面的に見直され、「猛暑日」が新しい予報用語に加わりました。

そして、2008年には「ゲリラ豪雨」、昨年は「爆弾低気圧」が選ばれました。気象災害が多発し、ニュースとして取り上げられる機会が多かったことがあるのでしょう。また、印象に残る、強い言葉が選ばれた背景には、防災意識を高める効果を期待しているのかもしれません。

でも、時として必要以上に危機感をあおり、物騒な言葉をひけらかしているようにも思え、これらの言葉を使うことに抵抗感があります。このような言葉を使わなくても、適時的確に気象情報を伝え、防災意識を高めてもらえるように努力したいと思います。

振り返ってみれば、今年もいろいろな天気がありました。天気の世相を表わす言葉としては、「特別警報」、「命を守る行動」、「PM2.5」、「竜巻」、「スーパーセル」、「ダブル高気圧」、「熱中症」、「高知41度」、「台風猛威」、「極端気象」、「温暖化報告書」など枚挙にいとまがない。「特別警報」や「PM2.5」あたりが今年の流行語として選ばれるかもしれません。願わくは、物騒がしい言葉が流行らない天気であってほしいです。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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