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記録的な暑さの原因と気温40度の壁

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2013年7月11日 猛暑日140地点(気象庁データ)

今日(11日)は群馬県館林市で39.5度を記録し、3日連続で今年の全国最高気温を更新しました。

7月9日(火)山梨県甲州市(勝沼)39.1度

7月10日(水)山梨県甲州市(勝沼)39.2度

7月11日(木)群馬県館林市 39.5度

先日、梅雨明け十日は暑さが一年で最も厳しい時と書きましたが、ここまで猛烈な暑さが長引くとは予想外でした。今年も例年通り、太平洋高気圧が強まり、梅雨明けと同時に、暑くなることは分かっていました。でも、暑さのピークは梅雨明け後、数日程度と思っていたのです。

この予想外の事態をもたらしたのは、沖縄の南海上にある台風7号です。台風は非常に強い勢力まで発達し、強い上昇流を生み出しています。これが、本州付近では下降流となり、高気圧を局所的に強めていると考えています。

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(補足すると、上昇流のある所が低気圧(雲のある所)、下降流のある所が高気圧(雲のない所)になります。)

では、気温40度まで、あと0.5度まで迫り、2007年以来6年ぶりに気温40度の壁を越えるのでしょうか。

現在、気温の観測が行われている地点で、40度以上を記録した所は全国でのべ19か所です。19か所を多いと思うのか、少なく思うのかは、それぞれ感じ方が違うと思いますが、たとえば、日本歴代最高気温の記録を持つ埼玉県熊谷市を例にとって考えてみましょう。

熊谷の最高気温(1961年以降、6月から9月まで)をグラフにしてみました。

ウェザーマップ 渡辺正太郎調べ
ウェザーマップ 渡辺正太郎調べ

これによると、左側(気温の低い)は滑らかなカーブを描いていますが、右側(気温の高い)はカーブが急になっていて、対称でないことが分かります。(統計学では気温の分布は正規分布になると期待される)

つまり、気温38度、気温39度、気温40度と、1度高くなる毎に、出現する可能性が急に低くなります。39度から40度まで、わずか1度ですが、そこには大きな気温の壁があるのです。

(熊谷:1961年以降、6月から9月までの6384日のうち、38度以上は40日、39度以上は9日、40度以上は1日)

この暑さはいつまで続くのか。

太平洋高気圧は来週にかけても、強い状態が続く見通しですが、世界一の天気予報といわれるヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)では日本の気象庁よりも、高気圧を弱める傾向があり、来週半ばには暑さが一服するのではないかと思っています。

ヨーロッパ中期予報センター(European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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