あれっ?サクラ?!…いえいえ、ベニバスモモと申します

ソメイヨシノと勘違いされやすい「ベニバスモモ」。

 3月も半ばになり、いよいよサクラの季節が近づいてきました。3月15日現在、最新の開花予想(ウェザーマップ発表)によると、来週(17日頃から)には四国や九州などから開花の便りが聞かれそうです。そんなこの時季、サクラによく似た花が街なかで咲いていて、道行く人を勘違いさせてしまうことが結構あります。その花の名は「ベニバスモモ」。

■ ソメイヨシノと「勘違い」されやすい

 毎年3月も半ばになると、Twitterなどで「サクラが咲いているのを見つけました!」「こちらではひと足早く咲いています!」と、ご報告をしてくださる方がいらっしゃいます。わざわざご報告いただくのは本当に嬉しいことで、添付されている写真を拝見するのですが……。

 実は、それがサクラ(ソメイヨシノ)ではなく、ベニバスモモであることがよくあるのです。

ベニバスモモ(左)とソメイヨシノ(右)。花の形だけ見ると、とてもよく似ています。
ベニバスモモ(左)とソメイヨシノ(右)。花の形だけ見ると、とてもよく似ています。

 同じバラ科サクラ属の植物だけに、両者は確かによく似た花です。写真の左はベニバスモモ、右はソメイヨシノ。こうして2つをしっかり見比べれば違いが分からなくもないですが、ベニバスモモだけが目の前にあったらソメイヨシノとうっかり間違えてしまう方も少なくないでしょう。

 また、ソメイヨシノより1週間~10日程度早く開花する点も、勘違いしてしまいやすい一因かと思います。サクラの開花を待ちわびているまさに絶妙のタイミングで、紛らわしく開花してしまうのがベニバスモモ、というわけです。(ベニバスモモは、自分のタイミングで咲いているだけなのですが…)

 街路樹として植えている所も多く、人目に付きやすい場所にあることも、話題になりやすい理由のひとつです。私の住む大阪だと、梅田の大阪駅前ビルの近くや大阪城公園内(森ノ宮駅の交差点付近)に、ベニバスモモが植えられている所があります。「もうサクラが咲いていたよ!」と勘違いしてご連絡をいただく時、大阪市内ではこの2か所であることが結構多いのです。

 木の幹に「ベニバスモモ」と名札をつけてくれている場合には勘違いに気づけますが、そうでないとパッと見ただけでは「あれ?!サクラ?」と思ってしまう人が多いのかもしれません。

■ 見分けるポイントはその名にあり

ベニバスモモの特徴。ソメイヨシノより小ぶりで、赤っぽい葉が出ている。
ベニバスモモの特徴。ソメイヨシノより小ぶりで、赤っぽい葉が出ている。

 まず、ベニバスモモの花は、ソメイヨシノに比べてやや小ぶりです。一つひとつの花が少し小さめだなと思ったら「ベニバスモモかもしれない」と疑ってみるのが良いでしょう。

 また、その名前「紅(べに)葉(ば)スモモ」の通り、花とともに小さな赤みがかった葉が現れてきます。ソメイヨシノは花が散り始める頃に緑色の葉が出始めていわゆる「葉桜」に移り変わっていきますが、ベニバスモモは花が咲く頃から葉が出始め、しかもそれが赤っぽいのです。赤みがかった葉のために木がなんとなく全体的に赤っぽいなと感じたら、「ベニバスモモ」の可能性が高いでしょう。

■ ベニバスモモが咲いたら……春は間近!

 見分けた結果、ベニバスモモだと判明したとしても、何もがっかりすることはありません。写真の通り、ベニバスモモもとても華やかで、本格的な春の訪れが近いことを感じさせてくれる美しい花なのですから。

ベニバスモモ(2012年春、大阪・梅田にて撮影)
ベニバスモモ(2012年春、大阪・梅田にて撮影)

 また、前述の通り、ベニバスモモが咲くのはソメイヨシノが咲く1週間~10日程度前です。つまり、ベニバスモモの開花からあと半月もすれば、いよいよ本格的なサクラのシーズンがやってくることを示してくれているのです。ベニバスモモが咲いていたらあと少しで、ソメイヨシノも一斉に咲き始めることでしょう。

 ソメイヨシノのお花見の前に、ベニバスモモの下でひと足早くお花見の予行演習というのも良いかも…?! ただし、まだ冷える日も多い時季ですから、その際には寒さ対策を抜かり無きように…。