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なぜ?Appleは、iPhoneにType-Cを採用しないのか?その理由はFireWireのトラウマ

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Apple

KNNポール神田です。

出典:Apple
出典:Apple

https://www.apple.com/jp/apple-events/

【追記】2022/09/08

Appleの発表会がありました。

https://www.apple.com/jp/apple-events/

『iPhone 14 』も発表

https://www.apple.com/jp/iphone-14/

やはり、iPhone14も『Lightningコネクタ』でした。

iPhone14も 『USB-C』非搭載

出典:Apple
出典:Apple

https://www.apple.com/jp/iphone-14/specs/

いよいよ、毎年恒例の9月の製品発表および販売イベントが、日本時間での9月8日(木)深夜2時に開催される。

毎年、アップデートを繰り返す新型iPhone14シリーズの登場が予想されているが…。

 筆者のもっぱらの興味は、製品のスペックの向上よりも、端末ケーブルがLightning端子になるのか、USBのTypeCの端子になるかが最大の興味だ。

新しいiPhoneを買わない理由のひとつにTypeCケーブル接続でないから派の古くからのiPhoneユーザーも少なくないだろう。

すでに、MacBookのノートタイプからタブレットのiPadに至るまで、USB TypeCケーブルによる接続が行われており、筆者のデスクまわりもiPhoneと昔のApple機器だけがlihgtningケーブルが現役で活動しており、カオスとなってきた。

TypeCが少数派ならばよいが、MacBookAirからiPadProまでTypeCなのになぜ? iPhoneだけLightningなのか? …とはいえ、Lightning端子の接続を日々物理的に繰り返すのは端子のダメージもあるので、ワイヤレス充電器にしたことによって、ほぼLightningケーブルとは無縁の生活になってきたが、いざ、SDカードや楽器との接続となると、Lightningケーブルのハブが必要となる。

様々なデバイスがTypeCとなっているので、TypeCのハブでつながればすべてが便利になるはずだ。

■Appleが『iPhone』に『Type-C』を採用しない理由

年々、AppleがiPhoneにTypeCを採用しない理由を考察しているが、まともな理由の根拠が年々、乏しくなってきている気がしてならない。

最大の理由として、Appleがライセンスしている『MFi認証』"Made For iPhone/iPad/iPod"による収益確保のためと言われているが…。

しかし、Appleの売上規模からするとペリフェラルのロイヤリティのマージンの為だけに死守しているとは考えにくい。

しかも、MacBookシリーズやiPad Proなどが『Type-C』を自ら採用したため、転送スピード面や、サードパーティーの多さなどだけで、『MFi』によるサードパーティーの上納金に頼る理由は非常に乏しい。

また、Appleは『USB Type-C』ではなく、必ず、『USB-C』と表記するほど差別化しておきたいと考えている。

一番、考えられる理由が、『Type-C』いや『USB-C』の形状でありながら、2020年の『Thunderbolt(サンダーボルト)4』並の性能だ。

いわゆる『Type-C』の形状はひとつでも『USB4(最大40Gbps)』もあれば、『Thunderbolt4(最大40Gbps)』も存在しているのだ…。

中でも、『Thunderbolt4』は『TypeC』の最上位の規格であり、最大40Gbpsの転送速度であり、さらに、USB PDによる最大100W(20V/5A)の充電、4K映像×2もしくは8K映像×1の映像信号を1本のケーブルで転送を実現できる、現在における『Type−C』の中での神ケーブルと呼べるスペックだ。

Appleは『TypeC』ではなく単に『USB-C』と表記しているが、実は、そんな単純なものではない。

出典:Apple
出典:Apple

https://support.apple.com/ja-jp/HT207443

『USBーC』=『Thunderbolt4(40Gbps PD)

』という単純な構造ではなく、『USBーC』には、『Thunderbolt/USB 4』と、『Thunderbolt 3(40Gbps)』と『USB3』が、シリーズによって混在しているから、ますますカオスとなっている…。

https://support.apple.com/ja-jp/HT201736

■因縁ぶかいUSB2.0に負けたFireWire/IEEE1394ケーブルのトラウマ

出典:Wikipedia
出典:Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/IMac

そもそも、DV映像端子として誕生した『IEEE 1394』=『FireWire』は、一本のケーブルで動画を双方向で転送できる、当時は非常に優れもののケーブル端子であった。

1999年『iMacDV』の登場で『iMovie』と共に映像編集を画期的に変えたものだ…。

それが進化して、形状を変えながらも『FireWire 800(IEEE 1394b)』となり、『Thunderbolt』

へと変化した経緯を持つが、後から出てきた『USB2.0(480Mbps) 』の爆発的な普及に飲み込まれてしまった経緯を持つ…。これがトラウマなのだ。

■Appleの持つ『天の邪鬼な負け犬遺伝子』

そう、Appleはこの自分たちが生み出した『規格』については、絶対的な、いや狂信的になまでのこだわりを持つ会社だ。

『FireWrire』や『Thunderbolt』が、『USB2.0』に取って変わられた事は相当、ショックだったはずだ。

しかし、過去にAppleはこのような規格争いにおいては『負け犬』であることが多々あるのだ。

□ツーボタンの『マウス』を否定し続けて、何があっても『ワンボタン』か『ゼロボタン』のマウスを踏襲して『多機能マウス』市場において、現在でも負け犬である。

□3.5mmのステレオミニプラグ端子を無くし、Lightningにしたものの充電しながら使えなくなってしまい余計にLightning対応の別途アダプタをつけざるをえなくなてしまった。

□30ピン - USBケーブルは2012年のiPhone5のLightningが登場するまでの主流ケーブルだった。多くのサードパーティーの30ピン対応のUSBケーブルライセンス製品がLightningの登場で一気に陳腐化した。

□現在、iPhoneがLightningから、いつ卒業するかわからないので、Lightningでのサードパーティー製品はリスクが多すぎて開発が活性化していない。

一方、Bluetooth対応製品は活況である。

開発者向けのWWDCでそろそろ回答をだすべきだ。開発キットが配布されると期待値は高まる。

□Appleの端子の変更は、MFiのライセンス収益よりも、周辺機器の銀河系に対して、ビッグバンを誘うのである。むしろ、新たな使い勝手の良さの変更は、サードパーティーがAppleに対して、新たな価値を全体に反映させる。かつてのAppleはサードパーティーデベロッパーのクレイジーなアイデアがAppleの製品を支えてきた。

プリンターのヘッド部分で文書をスキャニングするなどの製品も登場したほどだ。

■Appleが考えるメインストリームiPhoneの『USBーC』の理想は?

ここまで、単純に『iPhone』に『USB-C』に搭載されないのは、もう、Appleの技術に対するプライドでしかないだろう。一番の理想は、『USBーC』の形状はつけながらも、『Thunderbolt4』並の多機能以上ではないだろうか? しかし、今までは、世界最多の量産システムのリリースに間に合わない。ティム・クックの苦渋の判断であったのだろう。

TypeCの形状を使うのであれば、今まで以上のパフォーマンスを上位互換として、望みたい。

むしろ、『USBーC』の端子ジャックすら取り外し、『MagSafe』のようなタッチ接続のベースプラットフォーム上のデバイス規格を作り、そこが『USBーC』で対応させるのではないだろうか? その方が新たなライセンス契約を生むことができる。

https://www.apple.com/jp/shop/accessories/all/magsafe

いずれにせよ…また、同じ『Lightning』という選択だけでは、もう食傷気味である…。

たとえ、大きなサプライズがなくても、そろそろApple規格の『USBーC』に対する回答を出してくれないと、ヨーロッパの2024年秋の法律施行に間に合わなくなる。

『USBーC』の形状を2024年秋までに変えたくなるようなビッグなサプライズのアイデアを出すなら、そろそろここが、ギリギリのタイムラインだ。

USBーCの形状をすっぽりと飲み込めるような、アイデアに期待したいものだ。かつての、1992年の『PowerBookDuo』の『Duo Dock』のような斬新なアイデアはないのか?

出典:MacFanWeb
出典:MacFanWeb

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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