『トリキの錬金術』対策に追われるGoToイート農林水産省は謝罪なし

出典:農林水産省GoToEatキャンペーンサイト

KNNポール神田です。

□「Go To Eat」は、プレミアム食事券の発行と、予約サイトを利用したポイント付与の2つからなるキャンペーン。

□予約サイトを利用して飲食店を予約することで、ディナー時間帯は一律1000円分のポイントが付与されます。

□ 鳥貴族は1品298円のリーズナブルな価格が魅力の居酒屋ですが、このポイント付与ではそれが裏目に。コース予約だけでなく、席のみの予約がキャンペーンの対象だったことから、予約後1品のみを注文しポイントを「荒稼ぎ」する人が出現したのです。こうした「席のみ予約で1品だけの注文」は「トリキの錬金術師」などと呼ばれ、SNSで広がりを見せていました。

出典:「トリキの錬金術」終了へ 鳥貴族、席のみの予約をGo To Eatの対象外に

■1日に3000円ものポイント活用の『鋼のココロの錬金術』

レストランの予約を取って、300円程度の注文でも、ユーザーは、1000円分のポイントがもらえる。300円の現金出費で飲食店で使える1,000円分のポイント還元となる。

それを1日に3~4店舗おこなえば、3000~4000円分のポイントがたまるから『トリキ(鳥貴族)の錬金術』なる異名が生まれた。

いや、むしろコロナ禍で苦しむ飲食店で予約を取り、1品だけの注文で店から引き上げるという『トリキの錬金術師』たちの『鋼のようなココロ』をむしろ疑いたい。2時間の予約で空いた席と時間は、他の客がまったく利用できない可能性があるからだ。

しかしながら、『トリキの錬金術』のネーミングで、少なくとも『鳥貴族』がチャージに類する『席料』や『お通し料』を課していないことがわかっただけでも『鳥貴族』にとっては、良いPRになっているのではないだろうか?これだけ各メディア社が『鳥貴族』を一斉にとりあげたことが皆無だからだ。むしろ、あと1週間くらいはこの『トリキの錬金術』の被害者となる広報戦略をとったほうが吉と出たのかもしれない。

このGoToイートの加盟店のメリットは、飲食店サイトからの送客が増えるところにある。当然、飲食店サイトへは、送客に応じて手数料が徴収される(約200円程度)。問題は、飲食店は、ポイントがもらえるわけでも、割引ポイントが還元されるわけではない。メリットは送客が増えることだけなので、それなりの売上がないと、2時間分の予約の座席の確保などによる『機会損失』が発生している。

さっそく、『鳥貴族』側では、コースメニューのみの対応へと切り替えメニュー構成も変化を加えた。

出典:鳥貴族
出典:鳥貴族

農林水産省は会見でも、ポイント事業者へもポイント還元以下の金額の利用については、飲食店側の判断としている。飲食店側が、予約サイトのメニューで、最小価格のサービスを選べる点を農林水産省側は主張する。

■絶対に謝罪しない農林水産省

メディアとの記者会見では、メディア側が謝罪を促すが、農林水産省側は肘をついたままのマイクの姿勢で謝罪をしない。

農林水産所が謝罪をする必要はまったくないが、肘をついたままの記者会見はテレビ慣れしていない証しだろう。常に肘をついてマイクで答える癖は直したほうがよい。

参加するもしないもこのキャンペーンは、飲食店の自由だからだ。

政府のGoToキャンペーンには大賛成の立場だが、特定業界に対して経済対策をしたいときに、政府は税金を集める術はもっていたが、税金を戻す術をもっていない。それと同時に、このGoToキャンペーンは、コロナ禍の自粛で凍りついた市場を活性化させるべく命題を持っている。

加藤官房長官の会見では…

□「昼食500円、夕食1000円未満の金額で飲食した場合に、ポイントを付与しない方向で対応策を検討していると聞いている。今まさにそうした方向で農林水産省が検討しているということだ」と述べ、利用金額が付与されるポイント未満の場合、ポイントを付与しない方向で検討していることを明らかにしました。

□予約した店で食事をすると、翌日から1か月ほどあとに、1人当たり昼食なら500円分、夕食なら1000円分のポイントが付与され、次回以降の予約などに使うことができます。

□ポイントは来年(2021年)1月末まで、または、全国で付与されたポイントの総額が国の事業費の上限に達するまで、繰り返し何度でも受けることができます。

出典:Go Toイート「利用金額 付与ポイント未満は付与せず」官房長官

■政府がDX化すべきワントゥワンの鍵

GoToキャンペーンすべてに言えることだが、すべてが緊急経済対策の一貫で、慎重に案が練られ、運用が検証されたものではない。テスト運用もないまま本番の実施というくらいの緊急対応である。

だからこそ、小さなトラブルよりも大きなアドバンテージを目指すのはある意味、大英断だと感じる。しかし、それを行いながらも、各業界のプラットフォームや大手のシステムを頼らなければ、ポイント還元できない実態も明確に見えてきた。

税を徴収するシステムだけで、個々に還元するスキームがないことは、マイナンバーによる『特別定額給付金』の対応でも自明だ。政府が旅行で使えるポイント、飲食で使えるポイント、イベントで使えるポイント、商店街で使えるポイントを、マイナンバーを通じて、スマートフォンへ一斉に付与できればこんな面倒なことは起きないからだ。

民間も含めて、政府から個人へ還流させることができるポイントシステム。そしてそのポイントを運用できるシステムづくりを作っていけば、マイナンバーの利用メリットが増え、おのずから、『マイナンバーカード』の取得利用者が増えることだろう。

1961年神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の編集とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。メディア出演、コンサル、取材、執筆依頼 などは 070 5589 3604 まで

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