KNNポール神田です。

ジャパンディスプレイ(JDI)は、主力の白山工場(石川県)の土地建物をシャープに412億円で譲渡、生産設備はアップルに301億円で売却

□経営再建中の液晶パネル大手・ジャパンディスプレイ(JDI)は(2020年8月)28日、主力の白山工場(石川県)を計713億円で売却すると発表した。土地と建物をシャープに412億円で譲渡し、生産設備を米アップルに301億円で売却する。

□(JDI)白山工場は、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けの液晶パネルを生産する主力工場で、2016年12月に稼働を始めた。米中の貿易摩擦に伴う中国での販売不振などから需要が落ち込み、2019年7月に操業を休止した。JDIは建設資金約1700億円の大半を、アップルからの借金にあたる「前受け金」で賄っており、返済負担が重荷となっていた。

□シャープは、亀山工場(三重県)で生産するアイフォーン向けのパネル生産を白山工場に集約する方針とみられる。亀山工場では自動車向けパネルなどの生産に注力する。

出典:シャープ、JDI工場の土地・建物取得へ…iPhone液晶の製造集約か

これで、実質、日の丸ディスプレイの『護送船団』であった『ジャパンディスプレイ(JDI)』は、液晶ディスプレイの工場資産の713億円の売却によって、iPhone系事業との決別が確定的となった。

Apple側から見れば、手に入れたJDIの生産設備をシャープへ貸し出しすれば、工場などの固定費を削減でき、シャープからは、材料のみの変動費のみで液晶パネルの供給を受けることが可能となるだろう。シャープも資産として計上できる土地建物のみの投資で、JDIの液晶パネルをAppleへ供給できることとなる。当然、JDIは債務が軽減されバランスシートが健全化する。

しかし、JDIと、Appleとの関係は、工場などでの約1600億円の巨額支援が存在しており、AppleWATCH向けなどの有機ELや第6世代OLEDが千葉県の茂原工場で計画されている。

JDIにとっては、車載ディスプレイのティア2として、また、新たなLEDディスプレイ事業やヘルスケア事業、VR事業へと戦略を大幅に切り替えることができる。

筆者は、かつてJDIの悲観的な記事を書いた…。

国民の税金で救った『ジャパンディスプレイ(JDI)』はどこへ消えた

https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20190421-00122831/

※中華陣営はその後、買収提案から撤退

しかし、その後、火中の栗をひろうかのような新たな展開が、J-RIETなどを手掛けた『いちごアセットマネジメント』という『ホワイトナイト』が登場してきた。

□ジャパンディスプレイ(JDI)は(2020年8月)26日、株主総会を開き、独立系投資顧問会社のいちごアセットマネジメントからの追加出資受け入れなどを決議した。

□いちごアセットからの最大604億円の支援受け入れに加え、社外取締役の権限が強い指名委員会等設置会社に移行するための定款変更などを決議した。JDIは既にいちごから504億円調達しており、今回の決議を受けていちごからの出資額は最大1108億円になる。議決権比率は最大で80%を超える見通し。

出典:JDI会長「2年以内黒字化」に意欲 株主総会、いちご追加支援を可決

追加支援の内訳は、『いちご』による優先株引き受け50億円、いちごへの新株予約権554億円の604億円

それにしても日本を代表する液晶ディスプレイがまとまった『ジャパンディスプレイ(JDI)』の黒歴史は、まるで『半沢直樹』のガチな帝国航空を見ているかのようなものだ。(JDI)白山工場の売却は、おそらく『いちごアセットマネジメント』によるスコット・キャロン会長の経営手腕の見せ所のシーズン2がはじまったばかりのような気がしてならない…。

スコット・キャロン代表取締役会長兼取締役 出典:JDI
スコット・キャロン代表取締役会長兼取締役 出典:JDI

https://www.j-display.com/company/