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たった30分で飽きてしまった 『iPhone 11』その理由

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
Apple Storeから届いた iPhone 11 出典:KNN

KNNポール神田です。

iPhone 11 256GB グリーン 出典:KNN
iPhone 11 256GB グリーン 出典:KNN
到着した iPhone 11 出典:KNN
到着した iPhone 11 出典:KNN

先週(2019年9月13日)の金曜日21時に予約したApple iPhone 11が本日、2019年9月20日(金)13時前に自宅に到着した!ネット上で続々と朝から届くニュースに、AppleStoreでの受け取りにしたほうが良かったか?と思ったが、Storeに出かけても、そこから自宅に戻り、アクティベートする時間を考えれば自宅で待つという方を選んでみても良かった。しかし、発売日のApple Storeのスタッフのホスピタリティには、すごいものがあると感じる。一番欲しいのは、Apple Storeのスタッフなのに常に、ユーザーファーストで献身的なのだ。ユーザーの笑顔を楽しめる人にしか『ジーニアス』にはなれない。

■何はなくとも…『開封の儀』のライブ動画公開

Apple製品のなんといっても、初日の対面はこれだけ成熟したスマートフォン時代であってもとっても気になる。発表会の映像で見たものを自分の手で触れることができるからだ。しかし、Apple製品でライブ配信をすると思わず、Apple IDの連携の確認で中断してしまうことがある。iPhoneやiPadの場合は、Apple IDを引き継げば、元の端末からアプリの設定などをそっくりそのまま、継承することができるからだ。

■Apple IDの引き継ぎはとても便利だ

iPhoneからのデータや設定の転送はとても簡単 出典:KNN
iPhoneからのデータや設定の転送はとても簡単 出典:KNN

iPhone7 128GBを使用していたので、iPhone 11 256GB にはデータをそっくりそのまま引き継ぎすることが可能だ。

データを転送すると使用アプリの配置から壁紙までそっくりと再現される。つまり今までの使い心地のまま引き継ぐことができる。

そっくり、そのまま日常の世界が新しい端末になって再現される。LINEの『アカウント引き継ぎ』とApple Payのクレジットカードの裏面の3桁のセキュリティコードの確認、SIMカードの交換くらいで、お昼時間の50分ほどで新しい端末へのお引越しが完了した。

■iPhone11の最大の違いは、0.5倍の『超広角』

狭い部屋であればあるほど0.5倍の『超広角』が活かせる!

iPhone11の1.0倍
iPhone11の1.0倍
iPhone11の0.5倍
iPhone11の0.5倍

デスクまわりも後ろに下がらなくてもタテ撮りでこれだけの差

iPhone11 1.0倍 タテ撮り
iPhone11 1.0倍 タテ撮り
iPhone11 0.5倍 タテ撮り
iPhone11 0.5倍 タテ撮り

iPhone11のアウトカメラは、iPhone11 Proと同様の35mm換算で18mm相当のf値2.8というスペックである0.5倍の『超広角』が搭載された。(iPhone11 Proとの違いは望遠の有無)。そういう意味では、望遠側がいらない人にとってはiPhone11の選択はお得なことばかりだ。

この超広角で写真が撮影でき、さらにビデオと写真がシームレスにフリックするだけでモードが入れ替わり、極端な画角の違いがない点は、最大のiPhone11シリーズの良さでもある。今までの写真やビデオの切り替えの撮影が一気にスムーズになった。

■たったの30分で飽きてしまった理由

筆者はApple社とNDA(秘密保持契約)を交わしておらず、自由に報道の立場で悪口も正直に書ける。

iPhone11の最大のアドバンテージと最大のディスアドバンテージは『30分も触れば飽きてしまう』ことだと個人的に強く感じた。

超広角やナイトモード(まだ夜になっていないので試せていないが…)、長時間バッテリー、最新OSのiOS13搭載、などと今までの違いは数あれど、ほんの30分も触っていれば、まったく今まで使っていたiPhone同様に誰もが乗りこなせてしまうのだ。

一番、期待していた0.5倍となる『超広角』も、最初の驚きは、15分も続かない…。動画との切り替えの感動も15分も続かない…。

今までのiPhoneと同様に完全に使いこなせてしまうからだ。つまり15〜30分で、新型iPhone11の新機能は、体感的に『デフォルト』となってしまい、感動がなくなった『日常』と化すのである。つまり、新製品としては飽きてしまうのだ。

それは、進化した事を、瞬時にカラダが覚えてしまう習熟度の速さを誇ることでもある。それを証拠に、さっきまで使っていた旧型iPhoneの『超広角』がないのを触った瞬間、あれ?このiPhone『超広角』ないのか!とても『不便』だ…という感想を抱いてしまった。

これは実に恐ろしいAppleの『UX(ユーザーエクスペリエンス)』である。

そう、新しいiPhoneを誰もが、苦労せずに、すんなりと乗りこなせてしまい、昨日までの日常を不便と感じさせてしまうところに、スペックだけの中華製スマートフォンとの違いが明確にあると思う。

■人類はテクノロジーを乗りこなす名人だ

そう、人類はクルマや船や飛行機、そしてロケットに至るまで、スピードに対して何でも乗りこなせてしまう。最初はエスカレーターでも自転車でも怖かったはずだ。そして、一度のりこなせてしまうと、その経験値は、昨日までのテクノロジーを一瞬にして、『不便』なものと脳内で置き換えてしまう。新たな感動スペックは少ないが、『進化した日常』をほんの数時間で感じさせてくれるiPhoneは、1年ごとに自社製品を陳腐化することによって、他社を淘汰してきた。もう来年は、カメラの進化だけでは買い換えない自信がある。毎年、買い替えさせる『進化した日常』をどれだけみせられるかが、Appleの本当の『真価』だと思う。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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