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桜田元五輪大臣、サイバーセキュリティ担当大臣も辞職…鈴木俊一五輪大臣が兼任

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

KNNポール神田です。

□桜田五輪相「復興以上に大事なのは高橋さんでございますので、よろしくどうぞお願いいたします」

桜田氏は(2019年4月)10日夜、岩手出身の自民党・高橋比奈子衆院議員のパーティーであいさつし、「東日本大震災ということは、岩手も入っている」などと述べたうえで、「復興以上に大事なのは、高橋さんです」と、被災者を軽視するような発言をした。

出典:「復興以上に議員大事」 桜田大臣事実上の更迭

□安倍晋三首相は(2019年4月)10日、辞任した桜田義孝五輪相の後任に、前五輪相の鈴木俊一衆院議員を再起用する方針を固めた。鈴木氏は11日に皇居での認証式を経て正式に就任する。

□鈴木 俊一氏(すずき・しゅんいち)早大卒、五輪相、環境相。衆院岩手2区、当選9回、65歳。麻生派

出典:桜田五輪相の後任に鈴木俊一氏

桜田義孝(さくらだ・よしたか)元大臣(千葉県第8区)の失言ばかりがニュースに取り立てられた。しかもバラエティニュース受けしそうな単純な失言ばかりだ。ツラの皮のあつい大臣はそれでも繰り返す。

その裏で本来、ニュースになるべき事象がニュースにならなくなってしまう。さすがに、これ以上は無理と判断した安倍首相も更迭を決意した。二階派に十分すぎるほど義理を果たしてきた…。何よりも、天皇陛下のご譲位(退位ではなく)までの忙しいさなか、本日(2019年4月11日)新大臣の『認証官人命式』が急遽執り行われるという。どれだけ急遽な割り込みだ。閣僚の認証式なんて組閣時の一回限りで良いと筆者は考える。毎度、天皇陛下をお呼び立てする法律こそ改正すべきだ。しかし、単なる法律ではなく憲法第7条五の国事行為なので改憲となるのか…。

■二階派(志師会)の権限が弱まる…

かつては、閣僚になりたければ二階派とまで云われたほど二階派には実力があったが、これだけ閣僚の不祥事が続くと、二階俊博(80歳)率いる二階派(志師会:しすいかい)の勢力も弱まりつつあるだろう。ここまで、二階派によってかばい続けられてからの再々失言だからだ。

何よりも、このところの失言のリークが、メディアのいない、しかも身内で固められたパーティー席での来賓挨拶というケースが多い。誰もが、録音できるスマートフォンを持っている時代だからこそ、絶対にリップサービスなどでウケを狙うべきではない。サービス精神が旺盛な議員ほど、饒舌に失言してしまう。それをさらに、身内が外部へリークするという時代なのだ。政治家はどんな場でも決して油断すべきではない。飲んでいる席での記者へのセクハラ発言も時代錯誤だったが、まさかの録音だった。

■日本の『サイバーセキュリティ担当大臣』職は五輪大臣とセットで良いのか?

今回、一番気になったのが、桜田義孝(元大臣)議員が、五輪大臣を辞意の報道はたくさん見かけるが、 ITの要となる『サイバーセキュリティ担当大臣』職は、どうなったのか? 筆者は、五輪担当大臣なんかどうでもよく、この日本のサイバーセキュリティの最重要責任職の担当大臣のほうが気になった。そもそも、『サイバーセキュリティ担当大臣』職は五輪大臣とセットで良いのか?と思い続けている。

当然、五輪が始まる前から終わるまでは、サイバーセキュリテ担当大臣の名前はたとえお飾りであったとしても、何らかの最終ジャッジは迫られることがある。セキュリティは五輪の時だけではないからだ。たとえお飾りの大臣といえども別けて考えるべきだと思う。

サイバーセキュリティセンター

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/nisc.html

サイバーセキュリティ戦略本部

https://www.nisc.go.jp/conference/cs/

■内閣サイバーセキュリティーセンターに質問してみた…

昨日は、内閣府に連絡がつかなかったので、本日、内閣サイバーセキュリティーセンターに担当者に質問したところ…

「ご本人が大臣の辞意を表明されたので、同時にサイバーセキュリティ担当職も辞されたことになります。同時に、鈴木俊一五輪大臣が兼任すると聞いております」

と内閣府のサイバーセキュリティーセンターの○○さんは筆者の質問に答えてくれた。つまり、五輪相と常にセットになっているのが、サイバーセキュリティー戦略本部なのだ。

内閣官房

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/index.html

ちなみに、現在のIT・科学技術政策担当の国務大臣は平井卓也大臣である。良し悪しは別として、「サイバーセキュリティ基本法」「官民データ活用推進基本法」などを10年にわたり、IT戦略特命委員長を続けてきた。サイバーセキュリティの担当大臣は、ITのわかる官僚が多い国務大臣か、文部科学相の兼任がふさわしいのではないだろうか?

しかし、平井大臣は、『岸田派 宏池会(こうちかい)』だ。

安倍首相は、父の代の安倍晋太郎から受け継ぐ『細田派 清和政策研究会:清和会(せいわかい)』だ。今回の後任は、『麻生派 志公会(しこうかい)』の鈴木俊一大臣だ。父は鈴木善幸元首相、麻生太郎副首相は義兄にあたる。

大臣登用は、常に派閥との勢力パワーバランスで選ばれている。しかし、国民にはそこまで情報が行き渡っていない。むしろ、選挙の時は、政党だけでなく、派閥の力関係の情報も開示し選ばせたほうが良いだろう。

派閥と大臣の関係性がよくわかる勢力図

http://home.a07.itscom.net/kazoo/seizi/jimin/habatsu_giinmei.htm

すくなくともサイバーセキュリティ担当大臣は、内閣府の一存で決められる事項であるので、五輪とサイバーセキュリティという繁忙期のある職責は二分化したほうがリスクが少ないと思う。

桜田義孝元大臣の任命責任は安倍首相にあるが、政治の世界へ代議士として送り込んだのは、千葉県第8区の有権者だ。7期当選で20年以上信任を得てこられている。

千葉県第8区 桜田義孝

https://sakurada-yoshitaka.jp/?page_id=94

もっとITのチカラで選挙のたかだか2週間ではなく、現職議員は、たくさんの情報を比較検討できるようにしなければならない。むしろ、『国民の知る権利』が充足されなければならない。

総務省の選挙対策本部は、候補者のまとめ記事サイトを作り、比較検討しやすくするべきだろう。そのためには、議員の出費動向こそ、キャッシュレス化し、国民がリアルタイムに監視できる状況にするようなアプリを提供すべきだ。ゆくゆくは、スマートフォンでも投票できるようにする。

まずは、政治の世界が旧態依然として古い体質のまま、いまだに若い古狸が闊歩している状況だ。これを変えていく為には、政策が政局で変わりつづける野党でもない。ITのチカラを駆使して選ぶあなたのリテラシーだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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