マクドナルドの未来型店舗体験の『接客強化』と『接客レス』

ポルトガルのサイネージによるオーダーシステム 出典:KNN

KNNポール神田です。

□日本マクドナルド株式会社は、(2019年)4月10日(水)より、静岡県内の75店舗にて、お客様のニーズにもっと寄り添った快適な店舗体験をご提供する「未来型店舗体験」を導入。

年間約14億人のお客様をお迎えする日本マクドナルドが、お客様の店舗体験の格段の向上をもたらす「未来型店舗体験」を開始。

□お客様お一人お一人に、より充実したサービスを提供する考えのもと、「ゲストエクスペリエンスリーダー」、「テーブルデリバリー」、「モバイルオーダー」を各店舗に導入

クレジットカード、LINE Pay決済のみ。今後、楽天ペイ(オンライン決済)、d払いでも利用可能

出典:マクドナルドがお客様へのサービスを刷新! 「ゲストエクスペリエンスリーダー」、「テーブルデリバリー」、「モバイルオーダー」 『未来型店舗体験』導入開始!! 4月10日(水)から静岡県内75店舗にて

■コンビニエンスストアとは、真逆の戦略を取る日本マクドナルド

24時間営業問題の契約で揺れるコンビニエンスストアは、省力化推進でセルフレジシステムなどの導入に積極的だ。そう、店舗内での属人的な作業を顧客へ向けることによって、24時間営業を死守しようとしている。一方、マクドナルドの今回の発表は、その真逆の発想で驚いた。

マクドナルドの最大のライバルは、同じファストフード業界ではなく、コンビニエンス業界へと様変わりしている。コンビニエンスストアが、イートイン形式の店舗を増やし、店内の多彩な食材と共に100円のプレミアムコーヒーを提供しているからだ。それらが全国で5万店舗の規模で提供されつつある。一方、日本マクドナルドの店舗数は、2019年3月期で2896店舗だ。当然、この中でコンビニエンス業界との差別化を図る必要がある。

そこでの経営判断は、『未来型店舗体験』だった。

■『ゲストエクスペリエンスリーダー』『テーブルデリバリー』『モバイルオーダー』

マクドナルドの『未来型店舗体験』 出典:日本マクドナルド
マクドナルドの『未来型店舗体験』 出典:日本マクドナルド

コンビニエンス業界との最大の差別化は、『サービス』なのだろう。『ゲストエクスペリエンスリーダー』とは、いってみれば、接客責任者である『女将さん』だ。寿司チェーンの『銚子丸』にも女将がいる。『スマイル0円』はマクドナルドのDNAだったが、スマイル専業のクルーはいなかった。沖縄での実験店舗で実証し、本日から静岡での地域実験、そして年内には半数の店舗で実施するという。

座席にまで、運ぶという『テーブルデリバリー』も省力化とは正反対の手間をかけるという覚悟のようだ。実際に店舗で体験してみるまでは、これらが正解なのかどうかは判断しにくい。

■マクドナルドの『モバイルオーダー』を試してみた!

何よりも、革新的なのは、『モバイルオーダー』である。

モバイルオーダーの画面 出典:日本マクドナルド
モバイルオーダーの画面 出典:日本マクドナルド

現在すでにiOSでダウンロードが可能だ。 ※実施店舗は、静岡県内の限定店舗のみ

https://itunes.apple.com/jp/app/マクドナルド-モバイルオーダー/id1315442352?mt=8

スマホでオーダー、店舗で受け取る 出典:日本マクドナルド
スマホでオーダー、店舗で受け取る 出典:日本マクドナルド

店内でメニューを選ぶのではなく、先に注文と決済を終了しておき、店舗に到着した段階で知らせるというシステムだ。これは精算済みの顧客が店舗に来た時点で率先して提供するようにすることによって、接客する必要がまったくなくなるからだ。

最初にどの店舗でオーダーが発生しているのかがわかる。

どの店舗で注文が発生しているのかがわかる 出典:日本マクドナルド
どの店舗で注文が発生しているのかがわかる 出典:日本マクドナルド

注文されている商品が何なのかもこれでわかる。

モバイルオーダーでのメニュー表示 出典:日本マクドナルド
モバイルオーダーでのメニュー表示 出典:日本マクドナルド

ここまで、人がまったく介在せずに、スマートフォンを持ってオーダーした店舗へ行き、受け取ればよい。

店舗到着時にすべてのオーダーと決済が終わる仕組み 出典:日本マクドナルド
店舗到着時にすべてのオーダーと決済が終わる仕組み 出典:日本マクドナルド

モバイルオーダーでの注文での『接客レス』と、リアル店舗での『ゲストエクスペリエンスリーダー』『テーブルデリバリー』による『接客強化』を同時に実現しようとしているのである。

■ヨーロッパではすでに『接客レス』が進んでいたマクドナルド

ポルトガルのマクドナルドのサイネージパネル 出典:KNN
ポルトガルのマクドナルドのサイネージパネル 出典:KNN

人件費が高いヨーロッパでは、マクドナルドのサイネージシステムが進化している。店舗に到着すると、複数のデジタルサイネージパネルでオーダーする。8台あれば8人が接客しているのと同等の接客能力を持つのだ。これで行列する人はオーダー後の商品を待つ人だけとなる。当然、接客クルーがいないので、全員が作ることに専念できるので、提供スピードも早くなる。

接客カウンターはイレギュラー対応のみ 外国人やVAT番号がない人向け 出典:KNN
接客カウンターはイレギュラー対応のみ 外国人やVAT番号がない人向け 出典:KNN

巨大なパネルでのメニュー表示は、シズル感も醸し出し、カウンターで後ろに並んでいる人を気にしながら、オーダーするよりも、ついつい過剰にオーダーしてしまう傾向にある。

ゆっくりと注文できるので、ついつい頼みすぎてしまうこともある。出典:KNN
ゆっくりと注文できるので、ついつい頼みすぎてしまうこともある。出典:KNN

ヨーロッパの特徴は、サイネージシステムの進化と、VAT Numberとクレジットカードで決済できてしまうことだ。

VATナンバーで本人認証する 出典:KNN
VATナンバーで本人認証する 出典:KNN

VAT Number(付加価値税番号:NIF9桁)』による登録でオーダーする。

QRコードのクーポンもサイネージ端末にかざすことによって割引を受けることができる。

クーポンはスマートフォンのQRをかざす 出典:KNN
クーポンはスマートフォンのQRをかざす 出典:KNN

店内のサイネージは最先端なイメージはあるが、全店舗に導入するには膨大なコストがかかる。他にも店内Wi-Fiから、机にそなえつけられたゲーム端末などで、マクドナルドのイートインスペースはまるでゲームセンター化している。

テーブルに用意されたゲーム端末 出典:KNN
テーブルに用意されたゲーム端末 出典:KNN

■『モバイルオーダー』で変わるファストフード

ヨーロッパのようにサイネージシステムを導入することなく、スマホアプリで解決する方法はとても正しいと思う。

スマートフォン内での決済とユーザーの認証番号が可能になれば、店内作業が激変し、宅配まで余裕が出てくる。もちろん、ドライブスルーなどのオーダー時間も大きく変わる。 

 日本において、キャッシュレスで決済できる『モバイルオーダー』が普及すれば、マクドナルドの、あの並んで注文、並んで待って運んでから、食べるという経験値も大きく変わることだろう。決済もスムーズに行われることから、ほとんどお金を触ることなく、提供できるとクルーの働き方も変わることだろう。

すでに提供されている『マックデリバリー』での宅配もいずれ、『モバイルオーダー』に集約されれば、UBER EATSなどとの外部連携も選べ、注文しているうちに、店舗に行くか宅配してもらうかなどとユーザーの選択肢は増えていくことだろう。

http://www.mcdonalds.co.jp/shop/mcdelivery/

まずは、静岡県の75店舗でのスタートで、2019年、年内で半分のマクドナルドでの実施をめざした日本マクドナルドの変革。

コンビニエンス業界へ逃げたユーザーを呼び戻せるのかが見ものだ。