フェイスブックのターゲティング広告は区別ではなく差別なのか?

米住宅都市開発省(HUD)からFacebookへの訴状 出典:HUD

KNNポール神田です。

□米住宅都市開発省(HUD)は米国時間(2019年)3月28日、Facebookのターゲティング広告について、公正住宅法違反の疑いがあるとして同社を提訴した。

□Facebookは、米国外で出生した、キリスト教徒ではない、アクセシビリティの問題、ラテン文化に関心があるといった特徴、さらに子供の有無などに基づいて、広告主が除外できるようにしていたという。

□ Facebookの担当者は電子メールによる声明で、「当社が懸命に解決策を見出そうとしている中、HUDは十分な保護策がない状態で、ユーザーデータなどの機密情報へのアクセスを要求した。28日の展開には落胆しているが、引き続き公民権の専門家らと協力し、この問題に取り組んでいく」と述べた。

出典:Facebookを米住宅当局が提訴--住宅関連のターゲティング広告で差別

Facebookの個人のデータ収集に関して、指摘される機会が多かったが、ついに、提訴という判断を米住宅都市開発省(HUD)がとった。

Facebookのビジネスモデルはすべて広告である。ユーザーの登録しているプロファイルや、いいね!をしている行動、関心のある領域などを、細かな属性として広告を出稿することができる。

今回の「米国外で出生した」「キリスト教徒ではない」「アクセシビリティの問題」「ラテン文化に関心がある」を広告主が除外するということは、広告ターゲットとして、外国人でキリスト教徒でなく、身体に障害があり、ラテン系の人には、広告を見せないということである。

本来の『ターゲティング広告』の考え方は、ターゲットを『区別』し、『絞る』ことがメインであるが、それを『除外する』ということによって結果として『差別』という広告が打ててしまう。

それだけではなく、騙されやすい『カモ』を集めるために、広告を打つこともできる。反ワクチン情報を調べた人に対して、怪しげな健康食品の広告を見せるなども可能だからだ。

もちろん、今回の提訴は、『公正住宅法』という法律で守られている分野だから提訴できたのだが、ターゲティング広告での『区別』と『差別』は、非常にわかりにくい。

□米国では住宅だけでなく求人や信用貸しの分野でも広告における差別が禁じられている。フェイスブックは市民団体などからの批判を受け、今月(2019年3月)19日には住宅売買や求人、信用貸しの広告に関して性別や人種、郵便番号などを基に広告を出す対象を絞る仕組みを廃止すると発表している。

出典:米住宅当局、フェイスブックを提訴 広告差別で

それと同時に、個人の行動ターゲティングは、自分には見えている、人には見えない…または、自分には見えない、人には見えるという状況もあるので、誰がどんな広告を見させられているか…などの実態は非常にわかりにくい。違法な広告が発覚するのは、通報によるものだ。『この広告を報告』で通報できるが、自分に表示されなくなる効果でしかない。もちろん、自分が『差別』されている広告を見ることはできないのだ。

広告の設定で『この広告を報告できる』出典:Facebook
広告の設定で『この広告を報告できる』出典:Facebook

Facebookの広告の特徴は、住んでいる地域や性別、年齢などだけではなく、facebook上での興味やアクションなどの行動に対して、広告を打てるところが最大の特徴である。Facebook傘下の、Instagramの広告も同様だ。Instagramの場合はさらに #ハッシュタグ による

一方、Googleは、ブラウザの『検索ワード(検索クエリ)』によって、広告を表示するビジネスモデルだが、スマートフォンなどでは、ブラウザではなく『SNSアプリ』だけで完結するシーンが増えてきた。

Appleは、広告モデルではないので、基本的にユーザーの情報を保持しない

Facebookの広告ポリシー に反していなくても、ターゲット設定で『区別=差別』が、できてしまうのがターゲティング広告なのだ。

https://www.facebook.com/policies/ads/

ターゲティング広告で『差別』されていることを知ることが一番むずかしい。