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マクドナルドのビッグマック仮想通貨『マックコイン』が発行される #bigmac50

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
ビッグマック50周年記念で世界50カ国以上で620万枚発行されるMacCoin

KNNポール神田です。

マクドナルドは、ビッグマックの50周年を祝うための独自通貨「MacCoin(マックコイン)」を配布することを発表しました。マックコインは米国内の14,000店舗や世界50カ国以上の店舗で、620万枚の配布を予定しています。

MacCoinはマクドナルドで実際に利用することができ、ビッグマックを購入することによって無料で貰うことができます。受け取ったマックコインは、翌日金曜日から2018年末まで利用することができ、無料でビックマックと交換することができます。しかし、残念ながらマックコインの配布リストに日本は含まれていません。

出典:マクドナルド:MacCoin(マックコイン)を配布|ビックマック50周年記念

まずはこのオフィシャルのYouTubeのビデオを見てほしい…。

なんとも仮想通貨コイン発行のイメージを感じさせてくれる映像だ。しかし、仮想ではなく、フィジカルなコインを2018年8月2日より世界50カ国でビッグマック1個に対して、1個配布する。2018年中にビッグマック1個と交換できるクーポン的な意味あいを持ったコインだ。なんとデザインは、5種類もある

MacCoinは5種類のデザイン 出典:McDonald's
MacCoinは5種類のデザイン 出典:McDonald's

ビデオの中でも、「交換(Redeem)」だけでなく「コレクト(収集)」「シェア(共有)」を前提にしているようだ。

MacCoinは、交換だけでなく「コレクション」や「シェア」しようと呼びかける
MacCoinは、交換だけでなく「コレクション」や「シェア」しようと呼びかける

なぜ2018年8月2日なのか?

McDonald'sのグローバルプレスリリースによると…。

ビッグマックの誕生は、1968年。ジム・デリガッティ (Jim Delligatti)氏が米ペンシルバニア州のユニオンタウンのキッチンで発明された。そして、8月2日は、ジム・デリガッティ氏の100年目の誕生日でもあるからだ。

デザインは70年代「フラワーパワー」、80年代「ポップアート」、90年代「抽象的」、2000年代「テクノロジー」2010年代「コミュニケーション」をイメージしており、7種類の言語が表記されている。その言語は、アラビア語、英語、インドネシア語、マンダリン、ポルトガル語、フランス語、スペイン語だ。

このビッグマック生誕50周年キャンペーンを祝う世界的な620万枚限定のキャンペーンになぜか日本は外されているようだ。その理由を、日本マクドナルドに質問させていただくと共に、twitterでも質問をしている…。

世界50カ国以上のイベントなのに日本はなぜ参加しなかったのか?

【追記】2018年8月2日午後4時50分

日本マクドナルド広報様からの回答

「日本ではすでに、日本独自でビッグマック50周年のキャンペーンを2018年4月14日からビッグマック べーコンとビッグマック BLTをすでに行い、コラボレーションも、楽天様やユニクロ様ともおこわせていただいており、今回のキャンペーンには参加しませんでした。しかし、海外のお客様のご利用などで、日本の全店舗において2018年内は『MacCoin』と『ビッグマック』との交換は可能でございます」との回答をいただいた。メルカリやヤフオクなどでの『MacCoin』の二次流通においての対応は、あくまでもクーポンコインとしての店舗のみでの交換対応ということである。620万枚の発行理由については日本側ではわかりかねるとのこと。

McDonaldsUAEのTwitter

McDonaldsPakistanのTwitter

これは大規模な仮想通貨の発行実験なのかもしれない…

「仮想通貨」や「ブロックチェーン技術」は、世界的な企業にとって、知らないままではすまされないトピックでもある。大手のStarbucksがブロックチェーンに対して意欲的に取り組む報道もあり、外食チェーンにとっても、「仮想通貨」は次世代の『退蔵益ビジネス』と『ロックイン効果』としても価値がある。

すでに、McDonald'sは「ビッグマック指数(The BigMac index)」として経済指標としても世界の物価水準のメジャーメントとしても有名である。今回のキャンペーンは、そのビッグマック指数がリアルになったというインパクトもある。

今回の世界的な #BigMac50 周年キャンペーンは、キャンペーン開催国のマクドナルドで、2018年内は、引き換える事のできる仮想コインとして流通しそうだ。約680万枚のコインは希少価値が生まれるかもしれない。ただ、そこは希少価値のプレミアだが、そのコインを他のサービスやモノで交換する個人や団体、企業があらわれたとすると、そこから先はMcDonald'sのアンコントローラブルな状態となる。まさに仮想通貨=トレーディングカードと同じだ。欲しがる人がたくさんいれば相場は上がるのだ。

もしも、McDonald'sが4年ごとに半減する『ビットコイン的』のマイニング的要素をこのキャンペーンで取り入れると、1年毎に半減して340万枚発行(2019年)、170万枚(2020年)、85万枚(2021年)と、するとかなりこのMacCoinは、有望なICO的役割を持つと思う。トレードできるサービスも増えそうだ。するとMcDonald'sがコインの発行体でもあり、価値に対するプラットフォーマーとなることもできそうだ。

そして、これらの利益は、すべて、世界の貧困に対して全額寄付とすると、全世界のMcDonald'sのキャンペーンが貧困対策としても活きそうだ。

全世界でコインを流通させ、価値を交換できるというような、このような世界的な規模はブロックチェーン化のテストモデルとしても非常に興味深い。

単なる50周年キャンペーンで終わってしまうのは、モッタイナイ!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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