KNNポール神田です!

(2016年8月)1日午後5時9分ごろ、スマートフォンの一部アプリなどに、震度7の地震を知らせる緊急地震速報が出たが、これは、気象庁が誤って出したものとみられ、確認をしている。

首都圏の電車が、この配信を受けて、一部確認のために止まるなどの影響が出ている。

出典:気象庁が誤配信か スマホアプリなどに「震度7」の緊急地震速報

震度7の"誤報"を確認するために、最短で3回クリックしなければならない気象庁サイト

一瞬、首都壊滅状態にみえた震度7
一瞬、首都壊滅状態にみえた震度7

twitter上には、「ゆれくるコール」の衝撃的な震度7の画面写真がリツイートされまわる。

確認のために気象庁のサイトにアクセスしてみた。

http://www.jma.go.jp/jma/index.html

トップページのどこにもそんな情報もない。誤報の訂正もない。

23万人がフォローする気象庁の公式twitterには、現在も昨日(2016/08/01)のことは、一切なかったことになっているw。震度7がデマとして一人歩きしてしまう事態になりかねない状況であったにもかかわらずだ。

https://twitter.com/JMA_kishou

しかし、気象庁は震度7の予報を流した15秒後にキャンセル報を流した。しかし、「ゆれくるコール」が訂正したのは1時間後であった。

「ゆれくるコール」は、気象庁から「予報」を受信した時点で、アプリのユーザー360万人に緊急地震速報を自動配信。キャンセルを知らせたのは予報配信の1時間~1時間半後だった。「予報事業者に事実確認してからキャンセルを知らせたため時間がかかった」

出典:「東京で震度7」にびっくり 「ゆれくる」「ウェザーニュース」はなぜ、“誤報”を配信したのか

実際に、気象庁は15秒後に「キャンセル報」なる予報のキャンセル速報を報じるページを…存在させた。

それは、存在しただけといっても過言ではないだろう。

ホーム(20リンク)】> 【各種データ・資料(100リンク)】 > 【緊急地震速報(予報)発表状況】 > 【緊急地震速報(予報)の内容

と最低でも3クリック、最短でも3クリックしなければこの文書には辿りつけない。初めて、気象庁のサイトに訪れた人がこの情報にたどりつくには、約1万分の1程度の到達率になることだろう。こんな深くてわかりにくい階層で「キャンセル報」という専門用語で「キャンセル」の文字の記録が掲載されただけである。しかも…これが緊急地震速報の「詳細」といえるのだろうか? これだけ「防災」が叫ばれる時代の気象庁のウェブサイトが専門家だけに情報伝達できるだけで良いのだろうか?

これが緊急地震速報の「詳細」か?
これが緊急地震速報の「詳細」か?

http://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/fc_hist/2016/08/20160801170904/index.html

「ゆれくるコール」などの予報で知った人が気象庁に確認したとしても、「キャンセル報」を知ることは不可能に近い状態は非常にまずいだろう。気象庁に問うてみた。

気象庁の「予報」と「警報」の違い

○気象庁が発表する緊急地震速報には、一般向けの「警報」と、「高度利用者」と呼ばれる予報事業者向けの「予報」の2種類がある。

警報は、最大震度5弱以上・2地点以上の地震計で観測された場合に発表され、テレビやラジオ、携帯電話のエリアメールなどを通じて速報が流れる。2地点以上で確認しているため精度が高く、緊急地震速報と言えば一般的に、こちらを指すケースが多い。

「予報」は、気象庁が予報事業者54社向けに配信しているもので、最大震度3(またはマグニチュード3.5)以上を予測した際、1地点のみで観測した場合でも発表されている。「警報」より情報伝達が速く、鉄道事業者など地震時に緊急対応が必要な業者などが利用している。

○今回、「ゆれくるコール」や「ウェザーニュースタッチ」が通知したのは、後者の「予報」だ。

出典:「東京で震度7」にびっくり 「ゆれくる」「ウェザーニュース」はなぜ、“誤報”を配信したのか

まずは、「予報」は1地点のみの観測なので、あくまでも精度は低い情報であるという認識が、一般人にはまったくない。また、大惨事を防ぐために鉄道事業者などは予報で迅速に対応する。その仕組み自身は、まっく問題がないと思う。しかし、なぜ、その訂正をするのがウェブの奥底でのみ、発表がなされているのかを気象庁に聞いた。

気象庁地震津波防災対策室の担当者インタビュー

あくまでも「予報」は1地点での測定データをすみやかに事業者に発表するものであります。その後2地点以上の測定がなければ、その予報をキャンセルとして報じているので「キャンセル報」と呼んでいます。ただ、一般の方々にはわかりにくい表現かもしれません。あくまでも規定どおりの「予報」を「キャンセル報」でキャンセルしたもので運用上では「誤報」ではないのです。1地点での精度が低い「予報」なのです。ただ、今回の問題は、「ノイズ」が原因であったことなのです。現段階でも究明中であり、ノイズの発生は、かつてのように針が地震を記録するタイプのものではなく、電気的なセンサーの揺れを電気信号に変換するタイプとなり、雷などの電圧による影響や、物理的な衝撃による影響などの可能性が考えられます。かつてのような電気針タイプはすでにデジタルに置き換わっているので、ノイズの発生原因をすぐに解明するのは非常に複雑化しております。ご指摘のように、ウェブサイトの表記の階層の深さは検討しなければならないと個人的にも感じています。ウェブサイトでの「速報の訂正」をトップページに表記できるようになども含め、公式twitterの活用、そしてまた、一般の方への理解しやすい文言も含めて、今回の「予報」の取り扱いを事業会社と会議する上でも検討したいと考えております。

当初、筆者は、気象庁の「隠蔽体質」として考えていたが、「予報」と「警報」の運用ルールや表現が、ユーザーフレンドリーでないことがよく理解できた。隠蔽したいのではなく、隠蔽しているのよう見えてしまうのだ。これはまず、小学校の子供が見ても理解できるような速報ページを至急検討すべきだと思う。事実を報じるだけであれば、安易な言葉でも理解できるはずだ。子供が理解できれば高齢者も理解できる。もちろん、一般人も理解できる。気象庁の防災専用サイトも検討してもらいたいものだ。地震、津波、防災速報が、難しい表現では、誰も救うことができないだろう。

気象庁の発表した「お知らせ」文面も、バイアスがあれば、責任回避のようにどうしても見えてしまう。

平成 28 年 8 月 1 日 17 時 09 分頃に発表した緊急地震速報(予報)について

http://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/oshirase/20160801.pdf

ただ、すべてがデジタル化し、IoT化が進化すればするほど、原因不明のエラーが出た時に、人間が目視で安全確認することが非常に難しくなっていく。飛行機会社の予約システムがエラーを起こすだけで、何時間も飛行機が飛べないのと同じ状況である。今回の「ノイズ」による「震度7」の自動速報「予報」は、「IoT時代の震度7」の発生を「予報」してくれているのだ。

デジタル機器の弱点、IoTの弱点を、どのように人間力でカバーするのか、それも今後の防災のテーマのひとつであると筆者は考えている。