確定申告やマイナンバーは、エストニアのX-roadを見習え!

KNNポール神田です!

いよいよ確定申告の受付がスタートされた。フリーランサーや個人事業主にとっては、一銭の稼ぎにもならないことに毎年、この時期には、時間とコストを費やすことになる。また、売上のあった企業からの源泉徴収票が郵送で送られるのを待たなくてもならない。企業も源泉を扱うと面倒な作業が増えるのだ。さらに、確定申告には、保険会社からの保険控除から認定NPO法人への寄付金控除、政治献金の控除、株式の売買損益、NISAにいたるまで。税の申告は、個人にとって複雑怪奇、奇々怪々となる…。そして欠かせないのが、領収証の管理だ。税理士の先生たちもひっぱりだこだ。しかし、ようやくここにきて、領収証の管理は簡易になりそうになってきた…。

2015年12月24日に閣議決定された2016年度の税制改正大綱に、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像を正式な書類として認めるという規制緩和が盛り込まれた。これに基づいて法改正がなされれば、2017年には企業の経理業務に適用できるようになる見込みだ。領収書の電子保存をめぐっては、2015年秋にも規制緩和が行われている。従来は「3万円未満の領収書のみが対象」「電子署名が必要」といった条件があったが、電子帳簿保存法の改正によってこれらがなくなった(関連記事:弥生が領収書の「スキャンデータ取込」開始、スキャナー5年間無償貸与も)。2016年から、これに基づいた電子保存が可能になっている。2016年度の税制改正大綱はこれをさらに進め、電子化に用いる機器の条件を緩和。これまでは原稿台付きスキャナーが必要だったが、新たにデジタルカメラやスマートフォンの利用を認めるとの内容を盛り込んだ。

出典:領収書のり付けにサヨナラ、「スマホで経費精算」解禁へ

さらに、個人の入金状況をすべて管理できる可能性を秘めたマイナンバーとそのカード版のマイナンバーカードとは、別に新たに『新ID』という別のマイナンバーを登録するという動きも検討されている。

先月から希望する人への交付が始まったマイナンバーカード。

このカードの利用範囲を広げるため、マイナンバーとは別の、新たなIDを一人ひとりに登録してもらおうという検討が総務省で始まりました。

出典:ここに注目! 「検討開始 マイナンバー制度で"新ID"」

規制の緩和と新ルールの導入といろいろと、国民に十分な説明がないまま、進行すると賛同を得られず、「第二の新国立競技場化する」とまで揶揄される次第だ。昨年は、マイナンバーと消費税の軽減税率をあわせると財務省が発表した。つまり誰にとっての、メリットなのかが、非常にわかりづらくなってきている上に新たなアイデアだけが一人歩きする。まさに税金の無駄がゾンビ化して徘徊しているのだ。

北欧の小国、エストニアでIDカードが広く普及したのは、利用者ベネフィットが多かったからだ

広く普及した理由の第一は免許証や国民健康保険証の代替として、さらに公共交通機関のプリペイドチケットとしても使えるなど、住民にとっての利便性の高さにあるといえるだろう。もう一つの普及の理由は、IDカードの多重活用の前提となる、国民の個人情報の統合データベースの安全性に関する取り組みにある。エストニアにおけるIDカードおよびデータ保護に対する一般的見地は、カードに含める個人データをできるだけ少なくすべきであるというものである。代わりに、データは関連機関に存在するデータベースに保持されており、個人はIDカードを鍵(認証方法)として使用してデータベース内の自分のデータにアクセスできる。エストニアでは、X-roadと呼ばれる市民データ集中管理基盤(詳しくは後述)を通じて各種個人情報のやり取りを行っている。国民は自分のデータへのアクセスについて、誰が何の目的で利用したかを、クレジットの利用明細に類似した形で手軽に確認ができ、不正使用については訴えることができるようになっている。

出典:住基カードの普及策はエストニアの国民IDカードに学べ 免許証や保険証の代用ができ、交通機関も割り引き

エストニアでは、IDカードの利用によって、誰が自分のカードナンバーを利用しているのかを知る方法が逆にあるのだ。これによって、管理されるのではなく、自分の情報を自分で管理できるという側面がでてきたから安心して普及したのである。メリットがあるから自ら導入する。日本のように、決められてやらされ、今のところ、一銭も得をしないマイナンバーとは大違いだ。

そして、エストニアからは税理士がいなくなった…

現在のエストニア政府の活動を支えているのはX-Roadというクラウドコンピューティングシステムです。このデータベースには国民のありとあらゆる公的情報が蓄積されていて、全国民の預金残高まで把握することができます。この預金残高まで把握できるシステムが鍵です。全国民の預金の残高を把握しているため、課税額の計算を全て自動で行うことができます。そのため、国民は様々な端末から自分の納税額を確認し、承認するだけで確定申告が完了します。これらの課税処理を自動で計算することができるため、税理士に依頼することがなくなってしまいその結果、エストニアから税理士や会計士が消えてしまいました。

出典:クラウドが描く未来。東欧の小国エストニアから税理士が消えたわけ
エストニアの電子化システムX-Road
エストニアの電子化システムX-Road

極端な事例だが…、個人IDが普及し、電子政府によるクラウドコンピューティング「x-road」が機能しはじめると、個人が納税額を承認し、確定申告が終わるという仕組みまですでにこの世界で実現されている。税理士という職業はより付加価値の高いコンサルティング業へ変化しつつあるのだ。

源泉徴収システムを電子確定申告システムへ

源泉徴収は、サラリーマンが税の申告を気にすることなく、徴税される都合の良いシステムであった。結果として、サラリーマンは自分の働いた給与の「本給」よりも「手取り」にしか興味を示さなくなった。徴税されている自分の「能力給」にさえ関心がいかなくなった。また、企業側も「社会保険料」を半分負担しているにもかかわらず、サラリーマンからはその恩恵をまったく感謝さえされないのだ。この手続きも大変なコストが発生しているのだ。今後、日本が、本当に効率化された電子政府を目指すのであれば、源泉徴収システムを国民皆確定申告システムへ変化させてほうが良いのだ。「フィンテック」よりも、先に「TAXテック」を実施したほうが、経済インパクトは強烈に変化することだろう。

「TAXテック」とは、労働者の給与を源泉することなく、サラリーから100%、社会保険料の負担もサラリーとして、給与所得者の口座に一度振り込むのである。これだけで、個人の収入は圧倒的に増える。「手取り」が「本給取り」という本来の姿に戻るのだ。そして、実質GDPは一気に跳ねることだろう。そして、マイナンバーを利用して、控除される金額を算出し、国民が認証し、必要額を納税するのだ。すると、自分が知らず知らず納めていた税金の使い道が気になるのだ。政治家のスキャンダルでメディアと一緒に、一喜一憂するのではなく、本当に正しく税金が使われたかどうかを、スマートに判断するようになる。そして、それを託せる政治家や政党を真摯に選ぶようになるだろう。もちろん、7年も前の領収書を保管とかなんてアホアらしい法律はすぐに変えさせ、領収書さえいらなくなるような税システムを政府に考えさせれば良いのだ。

すでに、国家予算が国民からの税では足りず、国債から切り崩し、未来への借金を重ねるだけならば、確定申告の年度末に一二年、とりっぱぐれても、良いから、毎月、源泉で納税されている金額が、サラリーとして社会に還流させるというインフレ社会実証実験でカンフルを起こしてみるのもありではないだろうか?

少なくとも、国民の「税」に対しての意識は一気に革命的に変化するはずだ。