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GoogleがAlphabetを設立した理由

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

米グーグル は組織を再編し持ち株会社「アルファベット」を新設する。主力のウェブ事業の独立性を高めつつ、医療やインターネットアクセスなどを含む新規事業の拡大に向けた意欲的計画に関して透明性を高める。

グーグルの2015/08/10日の発表資料によると、アルファベットが事実上の新たな持ち株会社となり、傘下にグーグル・インクやユーチューブ、携帯端末用ソフトウエア「アンドロイド」などウェブ関連商品事業を置く。キャリコやグーグル・ベンチャーズ、グーグル・キャピタル、グーグルXなどの子会社もアルファベットの傘下となる。

出典:米グーグルが組織再編、新会社「アルファベット」創設

Googleの持株会社となるAlphabet

ドメインは、https://abc.xyz/

というなんとも究極的なドメインネーム。

Alphabetを設立した理由

あくまでも筆者のコラムとしてのオピニオンだが、ラリー・ペイジ氏がAlphabetを設立した理由をあげるとするならば、Googleの個々の事業の方向性が社内でも社外においても統一性が見いだせなくなることと、それによって、Google,Inc.の株価にも影響するところだろう。それと同時に今までの、「検索&広告」によってサポートしていた事業が、個別事業でも十分に採算が取れること。また、意思決定のスピードを上げるためにも個別事業を企業として分社化し、それぞれにCEOを持つという判断に至ったように思われる。

GoogleのCEOには、ラリー・ペイジの右腕、サンダー・ピチャイ氏が就任することが発表された。

Google,Inc.のCEOとなるサンダー・ピチャイ氏
Google,Inc.のCEOとなるサンダー・ピチャイ氏

Microsoft,Adobe,Googleと、世界に名だたるIT企業のTOPが、インド系移民というのも先端企業の特徴なのかもしれない。

Googleの事業領域を整理整頓したかった

Googleの現在の事業領域は、検索関連事業やOSをメインとするGoogle から動画共有のYouTube そして、 X Labs (元 Google X)、自動運転、動物型ロボットのBoston Dynamics、ドローンのWing、コンタクトレンズなどの Life Science、投資事業会社(イーロン・マスクのスペースXへ10億ドル)などと非常に多岐にわたる。

これらがすべて、Googleブランドで事業を行いシナジーが活かせるメリットと活かせないデメリットが出てきていている。それを統括するホールディングスカンパニーができることによって、個々の事業の自主性が高まる。

個々の事業のIPOの可能性

もちろん、Googleの事業部門から独立することによって、IPO(株式上場)という道も開かれてくる。Googleの子会社ということで上場益による資金力がより事業を加速することも考えられるだろう。また、個々の事業が万一失敗しても、Google,Inc.の株価に影響を与えにくくなるメリットもでてくる。何よりも、今回の分社化とホールディングス化は、各事業の分社化による意思決定の早さを促進するものとして評価したい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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