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2015年10月からのマイナンバー制度にご用心!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

2015年10月5日からマイナンバー制度が始まる。マイナンバーとは、社会保障と税番号制度と呼ばれ、ザックリというと、税金のとりっぱぐれと社会保障を役所側で簡易にヒモづけする制度である。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

マイナンバーは本当に便利なのか?

【1】マイナンバーの通知カードのイメージ
【1】マイナンバーの通知カードのイメージ

2015年10月から住民票を持っている国民すべてに12桁の数字のマイナンバーが通知される。

【1】2015年10月以降に「通知カード」が送られてくる。その後その通知カードのナンバーで申請すると2016年1月以降に【2】「個人番号カード」という写真つきのカードが作られ、それで本人を確認するという流れになるそうだ。ただ、「個人番号カード」には、写真と12桁の番号しかない身分証明だ。しかし、12桁と写真だけで本当に本人確認が可能なのだろうか?データベースに直結できる役所の便益しか考えられていないのではないだろうか?

※個人番号カードには、マイナンバーと住所・氏名・性別・生年月日が記載されているとのこと

【2】個人番号カードのイメージ
【2】個人番号カードのイメージ

行政の効率化はかなり図られるが、利便性には疑問がある。パスポートや運転免許、健康保険なども、なぜ任意でリンクさせないのだろうか?※2018年平成30年の本格運用

また、マイナンバーの本当の数字ではなく、それを引き出すための数字を当てはめても良かったのでは?だ。マイナンバーの認証番号を4桁で取り決めておくなどの二重セキュリティは必要なかったのか?あくまでもマイナンバー制度は、行政の効率化という政府の視点であるのだからバックエンドで処理でセキュリティを高度化する事は十分可能だ。

給付金などの不正受給を防ぐには、カネの入り口と出口を一元管理すればカンタンだ。マイナンバー制度で給与所得者は源泉徴収だけで終わらず、事業者側の銀行口座まで紐付けされるのだ。その発想だからセキュリティ意識があまり感じられないのだ。

マイナンバーを利用した詐欺に対しての策はあるのか?

問題は、マイナンバーに政府・行政側のオペレーション視点しかないことだ。利用者側の視点に立てていない。振り込め詐欺やオレオレ詐欺は、マイナンバーを入手できることによって、最も重要な個人情報を行政並に入手できてしまう。新たな制度なので、10月になれば、電話で「マイナンバーが手元に届きましたでしょうか?」という電話で確認詐欺が横行するのは目に見えている。今からすでに、「マイナンバーを電話で確認することはありません」という啓蒙活動も一緒に行うべきだろう。マイナンバーをクロールされてからでは遅いのだ。「マイナンバーの間違いを修正するなどの電話があれば、すぐに通報!」という発想にならなければならない。

2016年平成28年1月以降は、すべてにマイナンバーが必要

マイナンバーを通知されるだけでも、漏洩機会が増えるのに、勤務先から証券会社、保険会社にも来年からは必要となる。そして銀行口座の新規開設にまでマイナンバーが必要となるのは明白な流れだ。

つまり、2015年から、国民はすべて歳入と税の流れはすべて管理される状態に置かれるのだ。株も投資にもマイナンバーが必要だ。すべて1円の申告漏れも亡くなるわけだ。

政治資金団体こそマイナンバー化すべきだ

むしろ、もっと管理すべきところは他にある。政治家の政治資金団体などを厳格に政治家マイナンバー化すれば、政治とカネの歳入の流れはすべて明確になる。政治家の資金の流れを明確にして、セキュリティも万全なことを確認してから、広く国民に使用をよびかけるのが「マイナンバー」の本筋ではないだろうか?

エストニア政府の電子政府を見習うべきだろう。

小国エストニアが電子政府で世界最先端を突き進むワケ

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150313-00068290-diamond-sci&p=1

ここに来てマイナンバーの普及活動PRに懸命になるが、マイナンバー詐欺にあわない為にも電話での確認には、一切答えないでくださいという啓蒙活動は今から必要だろう。

マイナンバー制度のお問い合わせは 0570-20-0178 までとある。

ただし、20秒で10円費用が発生するナビダイヤルだ。フリーダイヤルにしないのは、誰にも平等にするためだという。電話をかけると待たされることばかりだ。この発想そのものが利用者視点に立っていない。本気で普及させるつもりがあるのだろうか?

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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