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「ネイティブ広告」は「ソーシャルメディア広告」に変えたほうが良いのでは?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズでも導入した「ネイティブ広告(native advertising)」なる言葉をよく耳にするようになったが、今ひとつピンと来ない人には、バズフィードhttp://www.buzzfeed.com/のサイトを見ると単純明快だ。

buzzfeedには、下記のようにPRESEMTED BY ◯◯◯というスポンサー付きの記事をよく見かけることがある。これであれば従来のよくある「企画編集記事」や「広告企画記事」「タイアップ」、もしくはアドバトリアル(Advertorial)と何ら変わらない。

Swifferの広告付きの記事
Swifferの広告付きの記事

そこで、注目したいのが、こちらのページだ。

http://www.buzzfeed.com/swiffer/genius-ways-to-approach-your-cleaninghttp://www.buzzfeed.com/swiffer/genius-ways-to-approach-your-cleaning

左に記事、右に広告主のfacebookにtwitterが並ぶ
左に記事、右に広告主のfacebookにtwitterが並ぶ

「天才的な10の掃除方法」をクリックをして、内容を読もうとすると記事の写真には、ソーシャルボタンが登場し、右画面には、Swifferのfacebookにtwitterが画面を占拠している。

今までであれば、せいぜい、バナー広告がでてくるだけで、誰もクリックなどしなかった。それは、userは、スポンサーの製品サイトに飛ばされるだけで終了だったからだ。記事から切り離されてしまうのがバナー広告なのだ。

しかし、この仕掛けをもった「ネイティブ広告」ならば、ユーザーはサイトのコンテンツとして、内容をシェアしたりして拡散を図ろうとする。

さらに、スポンサーのfacebookやtwitterなどもこのコンテンツに関連した書込があるので、簡単にこの掃除用品を販売するSwifferのフォロワーになるのだ。記事から切り離されないのだ。むしろ、記事をネタにしてソーシャルで話題を深堀りできるのだ。

これぞ、まさしく、ネガティブ、いや「ネイティブ広告」の旨味なのだろう。

むしろ、ネイティブ広告というよりも、これぞ「ソーシャルメディア広告」なんだと思う。

いや、概念がとても難しい「ネイティブ広告」は、「ソーシャルメディア広告」と変えたほうが良いのでは?とさえ思う。

今後、新聞などのニュースサイトは、「次へ」「次へ」と何度もユーザーにボタンを押させて、PVを伸ばすという「姑息型バナー広告」を廃止にして、この「ソーシャルメディア広告」へ一気に変化してほしいと切に願う。

そのほうが広告主もユーザーも媒体社も3者ともハッピーな関係だからだ。

そのうち、米Yahoo!が買収したTumblrに、この記事がどこかの広告とミックスされて、簡単に取り込まれるような「ソーシャルメディア広告」化されることにも期待したい。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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