新型コロナウイルスの流行で明らかになった日本社会の現実と希望を描く舞台「世界は右側でデキている」が18、19日に福岡市で上演される。感染状況が落ち着いた今、この2年間の混乱を振り返り、社会の在り方を考えさせる作品だ。

 物語の舞台は、雑居ビルが立ち並ぶ福岡市・大名地区。バーで働く真梨香は生まれつき左耳が聴こえない。そんな彼女を居酒屋店員の翔平は、いつも右側から優しく見守っていた。しかし、世界は未知の感染症によって一変し、2人の関係も揺らぐ。彼女は大切な「右側」を取り戻せるのか-。

稽古する役者たち(筆者撮影)
稽古する役者たち(筆者撮影)

 未知の感染症への不安、同調圧力、自粛警察…。感染症は新型コロナでなく架空の設定だが、非常事態宣言によって混迷の度を深めていく社会や、休業を要請される飲食店で働く2人の葛藤など、この2年間、人々に実際に生じた苦悩を赤裸々に、時にコミカルに描いている。

 舞台芸術振興のために活動するNPO法人「福岡パフォーミングアーツプロジェクト」(FPAP)が主催。コロナ禍で「不要不急のもの」として自粛を余儀なくされてきた福岡の劇団などから気鋭の役者たちが出演する。

林田麻里さん(筆者撮影)
林田麻里さん(筆者撮影)

 紀伊國屋演劇賞の受賞者で個性派のバイプレーヤーとして活躍中の女優、林田麻里さん(福岡県大牟田市出身)は、政府による規制を忠実に実行しようとする市役所職員を演じる。「飲食店だけを規制の対象にするのはおかしい」と叫ぶ部下に対しても冷静に説得する重要な役柄だ。

 脚本・演出の幸田真洋さんは「誰も経験したことのない事態に、それぞれの立場で主義主張がなされ、社会が分断された。そのことを振り返って、新しい一歩を踏み出すきっかけになれば」と話している。

舞台「世界は右側でデキている」のフライヤー(主催者提供)
舞台「世界は右側でデキている」のフライヤー(主催者提供)

■公演は福岡市・天神のレソラNTT夢天神ホールで。18日は午後2時、午後6時の2回。19日は午後2時から。チケット前売り1500円。問い合わせはFPAP=050(5885)8151。詳細は公式サイトで確認を