音楽の街・福岡で開業したばかりの音楽スタジオとホテルが提携し、新機軸を打ち出した。スタジオの会員は最大6割引で宿泊できるほか、ホテルでの定期的なライブも開催する。異色のコラボを実現させた意味とは?

 提携したのは、レコーディングと練習用のスタジオ、音楽制作できるコワーキングスペースを完備する「ACRO.POLIS(アクロポリス)」(戸田清章プロデューサー)と、シンガポールから日本に初進出した若い旅行者向けのホテル「lyf(ライフ)天神福岡」(井上絵梨支配人)。

 いずれも今年6月、福岡市中央区今泉に開業した。福岡市の中心地・天神地区に隣接する今泉地区は、入り組んだ路地におしゃれなショップや飲食店が立ち並ぶ若者の街。両施設は歩いて7分ほどの至近距離にある。

「コミュニティー作り」で共鳴

 戸田さんは、ももいろクローバーZをはじめ、BABYMETAL(ベビーメタル)、柴咲コウなど100組以上に携わってきたサウンドエンジニア。福岡にクリエイターが集える音楽制作の拠点を作ろうと東京から7年前に移住した。

 井上さんは12年ほど海外のホテルで働き、福岡に赴任した。ライフ天神福岡は「働いたり暮らしたり遊んだりできる場所」がコンセプト。新たな仕掛けを探っていたところ、ヤフーニュースでアクロポリスの存在を知り、戸田さんに連絡した。

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 その頃、戸田さんは東京や海外からクリエイターを呼び込むためには「宿泊」の要素が必要だと考えていた。2人とも「旅行者のため」(井上さん)、「音楽クリエイターのため」(戸田さん)の「コミュニティー作り」という点ですぐ共鳴し、提携を決めた。

 井上さんによると、ライフ天神福岡にはアーティストやフリーランスの若者たちがよく訪れるが、「友達の友達で知り合いになって、助け合っているイメージがある」という。それがコンパクトな福岡という街の良さだと感じている。

ライフ天神福岡3階ロビーで開催されたライブの様子(筆者撮影)
ライフ天神福岡3階ロビーで開催されたライブの様子(筆者撮影)

 ライフ天神福岡では、3階ロビーを開放して月に1回、地元ミュージシャンのライブも開催する。これで、宿泊し、交流し、音楽を作り、演奏する形が整った。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されたこともあり、2人は「新しい音楽のコミュニティーを作っていきたい」と話していた。