ビル・ゲイツが恐れていたのは「若い人」~スタートアップが世界で戦うために必要なこと

セガサミー里見社長、ネットイヤー石黒社長、日本マイクロソフト平野社長(左から)

世界展開を目指すベンチャー企業がビジネスモデルなどを競う「スタートアップワールドカップ」(米フェノックスベンチャーキャピタル主催)の日本予選が10月18日、東京都内で開かれた。洗濯物の自動折りたたみ機を開発するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが日本代表に選ばれたが、各企業のプレゼンに先立って、大手企業の経営者たちによるパネルディスカッションが行われた。

テーマは「スタートアップのグローバル化」。一橋大学イノベーション研究センターの米倉誠一郎特任教授の司会のもと、日本マイクロソフトの平野拓也社長とネットイヤーグループの石黒不二代社長、セガサミーホールディングスの里見治紀社長が「グローバル化」に向けた課題と対策について議論した。

心の壁を壊して「人を巻き込む力」が重要

なぜ、日本のスタートアップ企業が海外で挑戦すべきなのか。ネットイヤーグループの石黒社長は「IT企業にとって、グローバル化は必須の条件」と述べながら、その理由を次のように説明した。

「ITの世界で何が起こっているかというと、残念ながら、アメリカ企業の一人勝ちなんです。デジタルの新しい分野では、プラットフォームを作る企業が最終的に勝っていく。他の企業はそのプラットフォームの上で何かをやるしかない。そういうプラットフォームになるには、本当にグローバルでないといけない。そのためには人材や資本が必要ですが、最初からプラットフォームになる気概がないと勝てないと思います」

では、日本企業がグローバル化していくための課題は何か。米倉教授は「人前でプレゼンする能力やリーダーシップを取っていく能力が、他の国よりも劣っているのではないか」と指摘する。それに対して、日本マイクロソフトの平野社長も「海外でグローバルなタレントと一緒に仕事をするとき、心の壁を壊して、どうエンゲージしていくのか。人を巻き込む力が非常に重要になってくる」と語った。

セガサミーホールディングスの里見社長は、かつてセガの米国法人の役員としてサンフランシスコに滞在していたころのエピソードを紹介しながら、「アメリカのスタートアップの幹部はネイティブでないことも多い」と語る。「僕も苦労して英語を勉強しましたけど、ペラペラでなくてもいいんですよね。相手を説得できる中身とロジックがあれば」と指摘した。

ネイティブ並みの「説得力」が必要

相手を説得できるだけのコミュニケーション能力が必要というのは、ネットイヤーの石黒社長も同じだ。

「アメリカで資金調達をするためには、インド人の英語でもいいし、中国人の英語でもいいが、ネイティブ並みに説得力があることを言わないといけない」。問題は、日本の教育ではそういう訓練があまりされていないことだ。「答えがないものを自分で説明していく訓練をちゃんとやっていかないと、説得できないと思うんです」(石黒社長)

今回のスタートアップワールドカップの日本予選では、アメリカで開催される本大会を見据えて、10社のベンチャー企業の代表が「英語」でプレゼンした。英語が上手な人もいれば、そうでない人もいたが、みな堂々とスピーチしていた。

外国語を話すときに重要なのはメンタルである。そう指摘するのは、日本マイクロソフトの平野社長だ。「以前、外国人に日本語を教えていたとき、一番うまくなったのは賢い人ではなく、怖がらない人だった」。そう述べつつ、平野社長はマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツのエピソードを紹介した。

「ビル・ゲイツがマイクロソフトの会長をやっていたとき『何が怖いか』と質問された。すると、彼は『若い人が怖い』と答えたんですよね。なぜかというと、睡眠も惜しまず、恐怖も知らずに、ただ突っ走ってくる。そういうところが一番怖い、と」

この発言には、米倉教授も「若い人は怖いよね。剣道や空手でもそうでしょ。知らない人間がめちゃくちゃやっているのが一番怖い」と賛同していた。