「月面で人間ピンボールマシンをやれば面白い」日本人女性初の宇宙飛行士・向井千秋さんが語る宇宙エンタメ

宇宙ビジネスの将来像を語る向井千秋さん(中央/筆者撮影)

イーロン・マスクやジェフ・ベゾスといったカリスマ経営者はなぜ「宇宙ビジネス」に向かうのか――。そんな問いを掲げたパネルディスカッションが10月3日、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた。

朝日地球会議2017(朝日新聞社主催)のセッションの一つで、日本人女性初の宇宙飛行士として知られる向井千秋さん(東京理科大学副学長)と宇宙ビジネスに詳しい経営コンサルタントの石田真康さん(SPACETIDE代表理事)が登壇。急速に発展する宇宙ビジネスの展望を語るなかで、宇宙エンタメや宇宙料理の奇抜なアイデアが飛び出した。

宇宙旅行者を楽しませる「宇宙プロレス」

ソ連のガガーリンが初の有人宇宙飛行に成功してから半世紀あまり。かつては国家の威信をかけた国際競争という側面が強かった宇宙開発はいま、ベンチャー精神あふれる民間企業が多数参入する最先端ビジネスとなっている。特殊な技能をもった宇宙飛行士だけでなく、ごく普通の人々がロケットに乗って宇宙旅行に出かけられる日も近いとみられている。

「宇宙旅行」が一般化したときに必要になるのは何か。向井さんと石田さんは「その一つはエンターテインメントだ」と口をそろえた。石田さんは「宇宙で1週間滞在できるとすごく嬉しいけれど、宇宙ならではのエンターテインメントがないと暇をもてあましてしまう」と言いながら、宇宙エンターテインメントの可能性について言及した。

「僕の友達で、真剣に宇宙プロレスというのを考えているベンチャー企業の人がいます。無重力下だと地球上ではかけられない技がかけられるはずだと、真剣に突き詰めているんです。それは、宇宙に多くの人が行く時代にはすごく大事な発想で、そういうのを考えていくエンターテインメント企業は結構可能性があるんじゃないかなと思っています」

宇宙なら「たこ焼き」も空中に浮かぶ

石田さんの言葉に触発されて、向井さんも「宇宙のエンターテインメントの話題なら、延々と話せてしまう」と応戦。月面で遊ぶ「人間ピンボールマシン」のアイデアを披露した。

「月面に体育館を作るんですよ。月の重力は地球の6分の1しかないから、人間の体がポンポン飛びます。そこで、人間ピンボールマシンみたいなことをやったらどうか、と。体育館に1番、2番、3番と穴が空いていて、人間同士がぶつかって『1番に入ったら次は2番だ』というような競技をやったら、すごく面白いんじゃないかと思います」

向井さんの発想はさらに飛び、「宇宙料理」にも及んだ。

「宇宙でゼリーなんかの液体の中に発泡剤を入れてやれば、フワーッとなって、そのまま固まれば、地球上ではなかなか食べられない『綿あめのゼリー巻』みたいなのができる。たこ焼きだって、溶かした素を空中にまけばそのまま丸くなるし、均一に加熱することもできる」

宇宙空間では、こうして調理された料理が空中に浮かんでいる。そんな光景を示しながら、向井さんは「お皿もいらないから、そのまま食べちゃえばいい。そういうのを考えると、すごく楽しいですよ」と笑っていた。