教育無償化の範囲に不登校を含めるべき

(写真:アフロ)

不登校への経済的支援

「経済的にも、もっと安心してフリースクールに通えるようになれば、今よりももっと多くの不登校の子どもたちがフリースクールを選択する事が出来て、ここで自信を取り戻していけるようになると思います。

 一人でも多くの不登校の子どもたちの心が救われることを願っています。」

 これは、不登校のお子さんの保護者の方の手記です(文科省「フリースクール等に関する検討会議」資料)。

 不登校については、家庭の経済的負担が大きな課題となっています。フリースクールや自宅での学習のために、費用がかかるからです。文科省の調査によれば、フリースクールの会費(授業料)は、平均して月3万3千円とされています。

 今年の国会の冒頭で行われた施政方針演説で、安倍総理は教育無償化を強調していました。

 同時に、「フリースクールの子どもたちへの支援を引き続き行います。いじめや発達障害など様々な事情で不登校となっている子どもたちが、自信を持って学んでいけるよう、環境を整えていきます」とも述べています。

 総理が施政方針演説の中でフリースクールに言及するのは、これで4年連続となります。

 不登校の場合、家庭に経済的負担がかかるにもかかわらず、教育無償化の議論の対象になっているように見えません。

 教育無償化の検討対象に、不登校の場合も含めるべきではないでしょうか。

適切な支援のために

 とはいえ、単に子どもが学校を休んだら家庭にお金が入るとなると、中には制度を不適切に利用するケースが発生しないとも限りません。

 子どもの学習支援のために適切な制度を設計する必要があると考えます。

 現在、子どもが私立小中学校に通う家庭について、経済的状況に応じて年額10万円を支援するという実証事業が文科省によって行われています。

 その仕組みは、保護者個人に対して支給するのではなく、私立学校(学校法人)が保護者に代わって受領するというものです。高校の授業料支援と同じ仕組みです。私立学校(学校法人)であれば、その運営に対して法的規制がかかっていることから、公金の不適切な使用が行われることは考えにくいでしょう。

 不登校の場合も、この私立学校の仕組みと同じように考えてはどうでしょうか。

 すなわち、保護者に対して一定金額を支援することとしつつ、保護者に直接支給するのではなく、フリースクールなどの民間団体が代理受領するという仕組みです。

 いまはフリースクールに対する法的規制はなく、規制がないからこそ、フリースクールは自主的な活動を行うことができています。規制を行うと自主性が阻害されるおそれがある一方、公的なお金を扱うのであれば、なんらかの規制は不可欠です。

 そこで、代理受領を行う民間団体に限り、その運営をチェックする仕組みを設けてはどうかと考えます。

 チェックの仕組みにおいては、民間団体の自主性を阻害しないような配慮も必要です。公金を適正に使用するための基準を設けるにあたっては、民間団体の関係者にも基準設定のプロセスに参加してもらいます。とくに活動内容に関しては必要最小限の基準としつつ、活動内容や運営体制をオープンにすることで、透明性を確保します。

次の段階でどう踏み込むか

 昨年度から文科省は、経済的支援に関するモデル事業を行っています。フリースクールに通う場合、経済的に困難な家庭に対し、いくつかの条件の下で交通費や校外活動費などを支給する事業です。

 ただし、モデル事業では、フリースクールの会費は支給の対象になっていません。保護者からは、フリースクールの毎月の会費に対する支援を求める声があがっています。

 義務教育は無償であるはずです。しかしながら、やむを得ず不登校の状態になったときは、義務教育段階であったとしても学習にお金がかかってしまう。この課題の解決に政府もようやく着手しようとしています。

 モデル事業の成果を検証しつつ、次の段階ではもう一歩踏み込んで、前述のような仕組みによりフリースクールの会費に対する支援策を検討することが望まれます。 

 昨年施行された教育機会確保法においても、不登校の場合の経済的支援について、政府において速やかに検討を行うことを求めています。

 教育無償化の流れの中、保護者のニーズを踏まえながら、不登校の子どもの学習を充実させるための経済的支援の仕組みを早期に制度化すべきです。