コロナ禍は3.11と比較にならない!性風俗店の本音【特集】コロナで変わる夜の世界#3-2

取材先デリヘル事務所(先方提供)

──前回の続き。

デリヘル 融資も補助金も無く四面楚歌【特集】コロナで変わる夜の世界#3-1

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■中小企業として四面楚歌

角間:

業界が一斉に同時休業できない限り、派遣型風俗店(デリヘル)は営業継続するしか無い。しかし個別に休業するにしても、大半の店舗が手元資金には不安があり銀行もあてにならないにも関わらず補助金の対象からは除外されている。まさに四面楚歌な状況にあると言えますが。

神埼:

僕個人は経営者として何年もやってきてはいますが、業界関係者、とくに従業員やキャストさんの傾向としてその日暮らしのライフスタイルを取っているかたが多い世界です。組合等も無いので有事にとても弱い立場だなとは思いました。

経営に関しては、自己努力で寮や広告費などの固定費を下げて突き進むことに意欲はあります。ただ、この業界だけに限らずどの中小企業も今のまま事業を継続することに尻込みしてます。ニュースで普段から備えをとか言ってるのは実際に経営したことがない現場を知らない学者やコメンテーターの戯言に聞こえますね。とても馬鹿らしいですよ。

角間:

派遣型風俗店だって地域の中小企業ですからね。

神埼:

組織の代表をやっているので弱気なことは言いたくないですから。とにかく泥臭くやってます。大家さんとの家賃交渉もしましたし、今月は経費をスリムにしています。ただそれでも従業員に多少の負担はお願いしてしまっています。

角間:

同業の方の方々からは何か声が出ていますか?

神埼:

東京の同業者とはよく連絡をとりますが「もう、まずい」と言っていますね。都内の店舗だと売上が8割減している等の声が聞こえてきます。

角間:

先程おっしゃっていた広告費についておしえてください。実店舗を持たない派遣型風俗店の場合、WEB媒体がなければ営業ができない形式かと思います。WEB媒体は皆さんのような店舗がいないと成り立たないと思いますが。

媒体の写真(取材先提供)
媒体の写真(取材先提供)

神埼:

月50万のプランを10万に下げるなどはすぐに行いました。完全に広告を落とすわけにはいかないので。うち同様、各店舗WEB媒体のプランを落としているようなので、実際広告会社のような関連ビジネスも厳しくなっているのではないでしょうか。夜の業界内でも悪いことは各業界に連鎖的に起きている印象で、現場にいると不況がやってくる兆しを感じています。

こうなると、マッチングアプリ等を利用したキャストさんの個人営業活動のリスクも懸念されます。業界の本当にしんどい人たちが裏に情報が潜ってしまうような状況が危惧されるなとは業界人としては感じています。

■コロナ禍は3.11とは比較にならないほど悪い

角間:

16年間の実績があるということは、2011年3月11日(東日本大震災)にも事業はやられれていたということですよね。イメージで夜の業界は世間が不況なときや有事の際に強いみたいなことを思っている方は多いと思います。先日も某お笑い芸人が関連した発言で謝罪を迫られてはいましたが、今回のコロナ禍の先行きはまだ不明な状況ではありますが、2011年の震災時と今回のコロナ禍、何か違いを感じますか。

神埼:

今回はとにかく先が見えないと感じています。3.11(2011年)のときは、まだ先や打つ手が見えていました。実際に、震災当日こそ従業員もキャストも全員帰宅させましたが、その翌日からは働きたいと希望するキャストさんも多くいまして、すぐ営業を再開しました。公共交通機関が停まってしまったため、車で迎えに行くなどの対応を迫られましたが。

埼玉県は震源地では無かったので、翌日からお客さんからの電話はきちんと鳴っていました。もちろん平時よりは若干売上は下がりましたが。今回は電車は動いているものの、キャストさんもお客さんも先が見えない中戸惑っていると感じています。

角間:

やはり今回は影響の範囲が限定的な震災とは異なり世界規模で同時に影響が起きていますからね。前例のない事態で先のみんな見えない不安がある、手元キャッシュも気になってしまい動きが鈍くなるのでしょうか。

神埼:

そうですね。3.11の際は東北では夜の世界の復興特需が有りましたし。「また大きな地震がきたらまずいね」という認識こそありましたが、むしろどこかが流行っているならそっちに支店を出す、移籍するなどの選択肢があった。3.11の際は、どの店舗経営者もキャストも仙台に行きたがってましたので。

角間:

不況は不況でも今までとは違い夜の業界ですらまずい状況だということですね。一般的に不景気やショックがあると性風俗店は在籍『数』も増える傾向があるとされていますが、実際のところはどうなのでしょう。

神埼:

16年の歴史では、不景気のときでもたしかに事業は伸びていたと感じます。某お笑い芸人が言っていた状況は望む望まぬに関わらず、実際に今までは起きてきた現実としてあります。3.11のときは東北が流行りましたし、リーマンショックのときでも営業結果は悪くはなかったです。やはりキャストさんの在籍数が増えることによる影響なのでしょう。明確なデータがあるわけではないので恐縮ですが。

ただ、コロナ禍はそんな夜の業界でもちょっと駄目なのではと感じています。自粛という『人の動き』が起こせない状況は在籍数が増えるわけではありません。流行ってる地域に展開できるわけでもない。この状況は夜の世界でもデリヘルでもどうしようもないんだと思います。

角間:

事業としての性風俗を考え直す時期に来ているということですね。

神埼:

そうですね。従業員には「もしも(店を)たたむなら体力を残してたたむからね」という話は事前にしています。そうしないと次の手が打てなくなりますから。打てる手は既に打っていますから今月以降赤字が膨らまないことを望んでいます。ただ、コロナ禍で影響が出ていない業界はどこにも無く、不況だからより稼げるという状況も今回ばかりは起きないのではないかと感じています。

風俗がセーフティネットだという発言を時々耳にしますが、今回ばかりはそうとはならないと思います。

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■業界の声が浸透しつつある現場

夜の業界の主役はやはりキャストさんであることに間違い有りません。そのため、多くのメディアも一般的に女性が多いので女性の風俗嬢、セックスワーカーの声を拾いに行く傾向があります。しかしながら立場ではなく『業界』で見ると、神埼さんのような事業をやられている方の声も忘れてはいけません。そして彼らは地元の雇用の受け皿や納税者である事実もです。

なかなか拾われにくい方々の声です。また票にもなりにくいため、政治の世界でも直視することを避けられているテーマであります。しかしながら先月から一部の議員の方々によりこうした声に光があたっている状況が生まれつつあります。

「テレクラとキャバクラの線引き、意味不明」性風俗産業の支援について、麻生節が炸裂!2020/05/12

イメージで語られがちな世界ですので、この記事では引き続きリアルな声を届けていきたいと思います。