国会議員の性風俗店利用の報道 本当にまずい問題

アダルトサービスを行う店舗待合室 ※当該店舗とは無関係

立憲民主党は、所属議員である高井崇志衆院議員(50)が性風俗関連店舗でサービスを受けていた実態を把握、調査の結果、除名処分を決定したとのこと。

緊急事態宣言後に風俗店、高井議員を立民が除籍処分…幹部「政府追及やりにくく」

また本件の発表に合わせて、Twitterで立憲民主党代表の枝野氏から正式に支持者のみならず社会に向けた謝罪の動画がアップされていますが、同様の見解を述べられております。

しかしながら、各社報道やSNSに等での反応を見ていると、「コロナショックの最中」や、「緊急事態宣言発令中にも関わらず~」といったもっともらしい言い回しこそされているが、とどのつまり“国会議員が性風俗店に通っていたこと”に対して批判噴出しており、現在のようなコロナショックによる情勢時でなくても、それなりの話題になっていたはずと歴史を見れば推測ができます。

2019年8月7日

当選11回なのに大臣固辞 自民党・逢沢一郎衆院議員「違法風俗」連続撮

2017年9月24日

天理市長に現職が無投票当選 出張めぐり週刊誌報道

疑惑も含めですが、名前を蒸し返してしまった方々には申し訳ないと思いつつ、ニュースバリューがあるからと報道各社が判断し記事として明るみになった件は更に遡ればまだまだ出てきます。また本件も含め、

・公費でサービス代を支払った

・職務中だった

・店は利用したが違法行為は無かった

以上の行為は特に無かったことも共通していています。つまり利用そのものが報道され、批判を生んできた傾向は明らかにあります。

繰り返しますが、『(国会)議員×性風俗店』という事実が報道されれば、どんなタイミングでも批判噴出は避けられず、結果的に謝罪や辞任等の判断を迫られることは明らかです。特にコロナだから特別というわけではないと考えるのが一般的です。

国会議員が性風俗店利用+しかもコロナの最中

と後乗せの理由扱いになっていることは間違いありません。

国民への自粛を求める立場である高井議員が今の時勢でこの行為を取ったことは国民に与える印象は最悪であります。モラル面で問題は大きい。しかし、それ以上に今回の報道姿勢と社会の反応には無自覚な問題(アンコンシャス・バイアス)が内包されており、明らかにそれら問題のほうが根深いと思い今回筆を取りました。

性風俗店、コロナ感染リスクは?

■本当に避けるべきは『三密』

一番リスクが高い所に行き、本会議や委員会に出てリスクを広げた

出典:野党共同会派の舟山康江参院議員(無所属)の批判

このようなコメントを残された議員の方や、

安倍晋三首相が2月中旬以降も企業経営者やマスコミ関係者と会食を続けたとして、「ちょっと異常だ。自粛する考えはあるか」などと批判していた。

出典:立憲、高井衆院議員を除籍 コロナ渦中に「性風俗店」

コロナによる自粛の批判を高井議員がしていた事に触れ、高井議員ご自身の発言と行動が伴っていない(感染しやすい行為をしている)ことを暗に批判するような記事として書かれてるなど、夜の店舗は感染する確率が高いと決めつけたような雰囲気を作り出しています。

しかしながら、実際に性風俗店等、夜の店でのコロナ感染確率が高いとされるエビデンス(証拠)は現時点ではどこにも存在していません。コロナ対策の最前線である各病院内ですら院内感染の事態が明らかになっていない中、平時でさえまったく情報が表に出てこない性風俗店等の夜の店舗の実態は誰にもわかるはずもない中、“一番リスクが高い”などという発言が記事にも使われていますが、このリスクがコロナ感染を指すのであればそれは印象論に過ぎず、性風俗店を利用したからといって感染するかはわからないのです。

今、明確に名指しで避けなければいけないのは、『三密』であることは間違いありません。

厚生労働省の啓発ポスター抜粋
厚生労働省の啓発ポスター抜粋

3つの密を避けましょう 厚生労働省

しかし、三密が生じやすい環境は性風俗店に限りません。病院内、朝のマスク行列と比較して一番とする根拠はないのです。むしろ感染源となるような言い回しは別のリスクを生む可能性があります。

■日本の性風俗店70%は無店舗型

高井議員が利用された店舗は所謂、『店舗型』に該当する形式です。

歓楽街等に実店舗が存在しており、利用者がそこに通う(入る)という最もイメージしやすいものでしょう。確かにこうした箱型店舗は、

密閉

→店内は閉じた環境になりがち

密接

→接客の作法に密着傾向がある

※ただし1対1が主

密集

→店舗により状況が異なる

以上の環境になりがちです。極端ではないにせよ、三密のリスクは少なからず存在しており、要請の対象になっていることもあり、高井議員が利用された店舗含め自粛を決断される店舗型の性風俗店も少なくはない模様です。

しかしながら、日本には『無店舗型』と呼ばれる性風俗店が存在します。派遣型性風俗店(デリバリーヘルス)とも呼ばれ、1999年4月の改正風営法により誕生し国内の性風俗店の届け出上約70%程がこの形式をとっています。

(無店舗型21421店 /届出総数31925 =67%)

警察白書 令和元年版より抜粋
警察白書 令和元年版より抜粋

警察白書 生活安全の確保と 犯罪捜査活動

無店舗型の場合、客が電話等で自宅やホテルに呼び出す流れとなっており、三密の傾向は下記の様な傾向があります。

密閉→ホテルや自宅等の環境

密接→1対1の環境

密集→ほぼ無い※待機時間はある

※店舗によってはこの限りではありません

そのためなのか、自粛が始まったタイミングから、緊急事態宣言が発令された後も『無店舗型』の性風俗店は引き続き営業継続をされている模様です。また緊急事態宣言や各自治体の休業要請にも名指しされていません。

「休業要請を受けた業種一覧」の超絶わかりやすいまとめ

■無店舗型風俗店の営業自粛が起こると?

しかしながら、業界の構造を理解している方は社会でも少数派であり、性風俗店そのものがコロナ感染の温床というイメージが先行すると無店舗型の性風俗店も休業をはじめることは避けられなくなるでしょう。

もちろん飲食店などが軒並み自粛している中、『無店舗型』とはいえ、営業を継続していることに対して疑問を抱く方も少なくないかもしれませんが、無店舗型のしくみ上、仮に店舗が自粛休業を行った場合でも所属している女性(キャストさんという)が自身の客と店舗を通さず直接連絡を行うことが予想されます。たとえ禁止行為としていてもです。

実際に東日本大震災のときにも同様の店舗を通さない営業活動を行う方が多く発生する現象が起こりました。残念ながら、店舗があろうとなかろうと、働きたい女性と利用したい客がいる限り普段性風俗店内で行われている経済活動が止まることはないと推測されます。

■自粛でも社会保障でも止められない

話題となった社会保障制度も、自宅待機等、自粛への動機づけとしては現状力不足であることは否めません。

一般的に店舗に雇用されず個人事業主であり、収入証明を持っておらず、住民票の場所が異なるなどの状態にあるキャストさんは少なくありません。キャストの立場にある女性個人が制度を問題なく利用できるかというと疑問符を付けざるを得ません。

コロナ休業補償、風俗関係者も「対象に」と厚労相表明

むしろこの制度は無店舗型風俗店を営業している事業主は利用できるが、書類や立場に課題の多い各キャストが本当利用できるかも現状は不透明です。

(この件はまた別の機会に記事にします)

できてしまう環境にある方々が店舗を通さずに、営業活動を行うことは違法行為になる可能性が高いだけでなく、性暴力、暴行、窃盗、盗撮などのリクスは飛躍的に高まります。また不運にも個人営業中に新型コロナウイルスに感染した場合、客も含め自身がまずいことをしているという自覚から、その感染元を公表することは見込めず、国も病院も感染元を辿れない事態に発展することが予想されます。

派遣型風俗店自粛の最大の社会的リスクは、

感染が拡大することではなく、感染源の特定が困難になることに他なりません。

■派遣型風俗店はどうしていくべきか?

感染の管理という側面から合理的に考えると、女性個人が行動し、感染源を追いかけられない状況を作り出してしまうリスクが有るのなら、そもそも自粛要請を受けていない国内の派遣型性風俗店は営業を継続するほうが望ましいのかもしれません。ただしその代わり下記の対応の徹底的に求められます。(もちろん一案に過ぎません)

・検温と体調管理と報告義務の徹底

在籍キャストだけでなく利用客すべての検温と、事前の体調確認の徹底を行う必要があります。少しでも異常がある場合、個人への自粛だけではく、報告を実施することの同意を予めキャスト客双方から得ておくことが求められます。もちろん秘匿性は可能な限り確保した上で。

・待機室の廃止

先述の通り接客中は密集環境はありませんが、店舗内で待機を行う場合その限りではありません。

元々リモートがしやすいビジネスモデルです。早急に待機場のみ停止をすべきです。

・罹患した方が発生した場合の仲介役になること

性風俗の問題が表に出にくい大きな理由の一つが『身バレ』です。職業的な偏見を受けているため、平時だけでなく有事の際にも自身の立場開示をする方は圧倒的に少数派です。たとえ新型コロナに感染したとしても同様の動きを取るでしょう。だからこそ店舗が仲介役として病院や検査機関等に接続することが重要になってきます。店舗はキャストさんたちが出勤することでその対価を得ています。だからこそ、今の情勢ときこそ身バレに対する壁としての役割が求められます。

自粛の結果個人活動を促してしまうのならば、全国2万店(実働はその半分にも満たないでしょうが)の要請は受けていない無店舗型風俗店が、最低限上記対応の徹底をすることで感染源が特定できなくなることが避けられる環境が作れる可能性はあるのではと考えます。

■結びに

高井崇志衆院議員がこの時勢に店舗型風俗店を利用したことに対してのモラルや感情的な反発が先行しがちですが、流れに乗じて性風俗店は感染の温床なのにといった雰囲気を一般化してしまうと、前述の通り、

性風俗店の70%=派遣型の自粛

キャストさん出勤できない

自宅待機したくても社会保障の壁は高い

キャストの個人営業活動が起きる

万が一コロナ感染がおきても感染源が追えない

といった結果が見えています。

夜の業界を、全力でぶっ叩いたり批判の素材にする風習は今回に限りませんが、今回の世界的感染症に対する対策という観点でのみで見ると、かえって社会的リスクが高まるのではないかと危惧しています。派遣型店舗の営業継続の方がよりマシとした案も、あくまで案に過ぎません。

ただ、何をすることが最適なのかは広い視野で考える必要があります。

「見えないから」

「そういうイメージがあるから」

と無意識に決めつけることの危険性に警鐘を鳴らし筆を置きます。