元官僚が出会い系バーに出入りしていたという報道について思うこと。

(写真:アフロ)

辞任の前川・前文科次官、出会い系バーに出入り

読売新聞の記事を読んで思うことをつらつらと。

■出会い系バーとは?

読売新聞の報道を見る限り、前川氏(以下「氏」。)が出入りを繰り返していた店舗名は不明だが、2010年頃から『出会い喫茶』と呼称されてきた店舗だと推測される。出会い喫茶のシステム等詳細な内容は割愛するが下記の点を抑えていただきたい。

出会い喫茶は男女の ′′出会いの場′′を提供するもので、ここでのマッチングは売買春取引の査調みに限定されるわけではない――要は、ワリキリ(売買春)だけではなく、単純に喫茶店・居酒屋 ・ カラオケに行って時間をすごすだけという「出会い」に用いられることもある。

出典:夜の経済学 飯田泰之・荻上チキ 著

このような形態をとっている店舗である。つまり店舗が客として利用する男性に何かを斡旋しておらず、出会いを求め来店した客がどのように振る舞うかは客の意思に委ねられているのだ。※実態として出会い喫茶を利用する男女が援助交際の窓口機能を期待していることは事実である。

所謂“夜の世界の店舗”に出入りしていたことへの嫌悪感を抱く人は多いだろう。しかしながら、氏が援助交際を行っていたかどうかは現時点では不明だ。その為、店舗への出入りを繰り返していた行為そのものを批判することは出来ない。弁護するつもりはないが、飲みに行っていただけの可能性も否定できないのだ。

■残念だが出入り自体は批判してはいけない…。

話は変わるが、僕は下記の様な雑な報道に辟易してきた。

「事件を起こした犯人はLINEを使っていた。」

今回の報道もこの姿勢と同様、雑だなぁだと言わざるをえない。事件を起こした当事者が、受け手にとってよくわからない何か若しくは新しい何か(ここでいう出会い系バー)を利用していた事を特に大きく切り取り報道することで、本当にまずいことは何かが、歪曲されて伝えられる現象だ。

繰り返すが、現時点では援助交際があったかどうかが明らかになっていないので店舗への出入りそのものは批判できない。また、今後援助交際に関わる等の行為が明るみになったとしても、背景まで切り取った批判をして頂きたいと思うし、何より、所謂下半身スキャンダルは大手新聞社が取り上げるべき報道内容ではない。(週刊誌に任せましょう)

受け入れがたいことかもしれないが、この社会に生きる公人私人問わず、公にはできない裏事情というものは誰もが持っているものだ。そして、たとえ人に言えない何かを持っていたとしても、犯罪等、誰かに迷惑をかけていることでなければ、そうした一面があることは否定すべきでない。では出入りそのものを批判するのではなく、この報道で本当に伝えるべき問題点とは?を私なりに考えてみた。

■高級クラブは何故高級?

高級な店舗というものはサービス自体の質が高いだけではない。そこには情報の秘匿性への費用が含まれているものだ。

氏が利用していた歌舞伎町の出会い系バーがどのような店舗だったのかは不明だ。しかし、一般的に出会い系喫茶などと呼称される店舗の秘匿性は高いとは言えない。利用者が店舗に支払う金額はたかだか数千円だ。このことから、氏は自身の安全のためにコストを支払う意識が明らかに低いといえるのだ。立場がある人になればなるほど、情報の漏えい防止や秘匿性の確保にコストをかけている。そして、そのコストを払うことへの意識の有無は自身の立場を理解していることの意識と同義だと言える。

■刺激に頼らない報道姿勢を

夜の世界の出来事は刺激物だといえる。誰が扱っても実態をに把握しなくてもそういうワードを入れるだけで注目されやすくなる性質だ。(PV稼ぎのネット記事が好例。)昨今こうした手法が貧困報道などで乱発されてきたわけだが、瞬間的な注目度の高まりとともに問題の本質が見えなくなる弊害が有った。

司法判断があったわけではないので、天下り斡旋については言及しないが、氏は結果的に天下りの事態が明るみになったことで引責辞任されている。当時から危ない橋を渡っていた自覚はあったはずだ。

それにもかかわらす秘匿性の低い歌舞伎町の店舗に頻繁に出入りしていたとの報道があった。このことから、

1)立場のある氏の安全管理への意識の低さと、2)そうした低い意識を放置してしまっている組織の問題は根深いと言わざるをえない。

本報道が伝えるべき本質はこの二点なはずだ。メディアの方には安易に夜の世界(≒アングラ)に客として関わっていた記事で読み手を煽るのではなく、角度を見極め情報を発信して頂ければと願ってやまない。