「LV」×「シュプリーム」の仕掛け人が「ディオール オム」へ メンズファッションは変革期に突入

「ルイ・ヴィトン」2017-18年秋冬コレクション(写真:Shutterstock/アフロ)

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン傘下のクリスチャン ディオール クチュールは3月19日、メンズライン「ディオール オム(DIOR HOMME)」のデザイナー交代を発表した。07年から11年間、アーティスティック・ディレクターを務めてきたクリス・ヴァン・アッシュが退任。4月1日付で、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON、以下LV)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターを退いたばかりの英国人デザイナー、キム・ジョーンズが就任する。 ジョーンズによる初のコレクションは6月に行われる2019年春夏パリ・メンズ・ファッション・ウィークで披露される予定だ。また、同社の発表によると、ヴァン・アッシュは今後もLVMHグループに留まりクリエイションに携わるが、どのようなポジションに就くかはまだ明らかにされていない。

ラグジュアリーとストリート融合の立役者キム・ジョーンズ

 キム・ジョーンズは1979年、英国・ロンドンで生まれた。幼少期を南米やアフリカで過ごした後、ロンドンの名門セントマーチンズ美術大学でメンズウエアデザインを専攻。卒業後、自身の名を冠したメンズブランドを設立し、2003年にロンドン・ファッション・ウィークでデビューした。その後、パリやニューヨークのファッション・ウィークでコレクションを発表していたが、08年にブランドを休止。同年からは「ダンヒル(DUNHILL)」のクリエイティブ・ディレクターを務め、11年に「LV」のメンズ・コレクションのスタイル・ディレクターに就任。その後、メンズ・アーティスティック・ディレクターに昇格した。

 ジョーンズの「LV」での最大の功績は、スケートブランド「シュプリーム(SUPREME)」や藤原ヒロシ率いる「フラグメント(FRAGMENT DESIGN)」とのコラボレーションを仕掛けるなどして、ラグジュアリーとストリートの融合を実現してきたことだろう。また、退任の際にマイケル・バーグ会長兼CEOもコメントしていたが、トレンドを生み出す能力にも長けていた。「LV」では、スカジャンやアロハシャツ、サコッシュなどをラグジュアリーに昇華して提案。メンズのトレンドに大きな影響を与えてきた。さらに退任後は、ファーストリテイリング傘下の「ジーユー(GU)」とのコラボレーションを発表。休止した自身のブランドの過去のコレクションをアップデートしたアイテムを発売することでも話題を集めている(3月21日に一般発売)。

相次ぐ新デザイナー就任で、メンズファッションは変革期に突入するのか?

 現在のメンズファッション、特にラグジュアリーシーンをけん引しているのは、「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレと「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を手掛けるデムナ・ヴァザリアの2人といえるだろう。だが、このところ、メンズファッションにおいて見逃せないデザイナー交代が相次ぎ、今後新たな変革期を迎えそうだ。

 まず、2月1日付で、エディ・スリマン前「サンローラン(SAINT LAURENT)」アーティスティック・ディレクターが「セリーヌ(CELINE)」のクリエイティブ面のトップに就任。新体制では、ブランド初のメンズ・コレクションも始動する。また、3月12日付で「ジバンシィ(GIVENCHY)」で12年間手腕を振るったリカルド・ティッシが「バーバリー(BURBERRY)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就いた。2人とも男性からの人気が高いデザイナーだけに、いやが上にもメンズ・コレクションへの期待は高まる。加えて、今回のキム・ジョーンズの「ディオール オム」就任が決まり、あとはジョーンズの退任後2カ月空席になっている「LV」のメンズ・アーティスティック・ディレクターが発表されれば、変革の役者は揃う。