「モンクレール」が変わる  藤原ヒロシら8人の“天才”を起用した新プロジェクトを始動

「モンクレール グルノーブル」2017-18年秋冬コレクション(写真:IMAXtree/アフロ)

 高級ダウンジャケットで知られる「モンクレール(MONCLER)」は2月14日、新たな商品戦略に基づいたプロジェクトを発表した。同プロジェクトでは、「ONE HOUSE, DIFFERENT VOICES(1つのメゾン、異なるボイス)」をスローガンに、“モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)”と呼ばれる8人のクリエイターがそれぞれコレクションを制作。ブランドの多面性を表現するとともにクリエイティビティーを高め、より幅広いターゲットへの訴求を目指す。

 “モンクレール ジーニアス”に起用されたのは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のクリエイティブ・ディレクターも務めるピエールパオロ・ピッチョーリ、ロンドンを拠点に自身の名を冠したブランドを手掛けるシモーン・ロシャ、過去に「モンクレール」とのコラボも行っているクレイグ・グリーン、ラグジュアリーストリートブランド「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」を手掛ける傍ら「モンクレール」のアートディレクターも務めるフランチェスコ・ラガッツィ、スタイリストのカール・テンプラー、これまでもスキーウエアライン「モンクレール グルノーブル(MONCLER GRENOBLE)」を手掛けてきたサンドロ・マンドリーノ。そして、日本からは「フラグメント(FRAGMENT DESIGN)」を主宰する藤原ヒロシと、コム デ ギャルソンで「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」を手掛ける二宮啓が選ばれた。すでに実力が証明されているベテランから次世代を担う若手まで幅広いデザイナーが各自、個性を生かして別々のコレクションを制作。スタイリストのテンプラーは、これまでのメインラインの位置付けになる「モンクレール 1952」のキュレーションを手掛ける。その全コレクションは2月20日、ミラノ・ファッション・ウィークの幕開けを飾るショーで一斉に披露される予定だ。

 英ファッションメディアの「ビジネス・オブ・ファッション(BoF)」によると、6月から順次一つずつコレクションを「モンクレール」のブティックやオンライン、セレクトショップで発売し、10月には全コレクションが揃うポップアップショップをニューヨークや東京に開く予定だという。また、雑誌やデジタルメディア向けの編集コンテンツの制作も行うようだ。

 

新プロジェクトの狙いは?

 今回のプロジェクトは、ミレニアルズやさらに若いジェネレーションZへの訴求を高めることを主な目的としているようだ。レモ・ルッフィーニ社長兼CEOもBoFに語っていたが、デジタルやソーシャルメディアが発達した今、6カ月に1度の商品提案は時代遅れともいえる。そういった意味で、毛色の異なるクリエイター8人を起用し、毎月異なるコレクションを発売するという戦略は興味深い。これまでもデザイナーとの協業によるカプセルコレクションを通して、話題を喚起するとともに消費者の購買欲を刺激してきた「モンクレール」だが、商品戦略の核として継続的に8人のコレクションを発表していくという点で今回のプロジェクトはこれまでとは一線を画する。また、この手法は「シュプリーム(SUPREME)」などストリートブランドの“ドロップ(1つのコレクションをアイテムごとに細かく分けて発売するシステム)”の影響も感じさせる。「カナダグース(CANADA GOOSE)」など主力のダウンアウターに競合が増える中、今後の更なる成長を見据えると今の時代に合った新たな一手を打つ必要があったのかもしれない。

デザイナーとのコラボレーションの歴史

 「モンクレール」は、これまでも積極的に数々のデザイナーとのコラボレーションを行っている。すでに2018年春夏シーズンを以って終了が発表されているコレクションラインの「モンクレール ガム・ブルー(MONCLER GAMME BLEU)」と「モンクレール ガム・ルージュ(MONCLER GAMME ROUGE)」は、それぞれトム・ブラウンとジャンバティスタ・ヴァリがデザインを担当。さらに、「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢、「ビズビム(VISVIM)」の中村ヒロキ、メアリー・カトランズ、クリストファー・レイバーン 、三原康裕、「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」の相澤陽介、「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」のアレクサンドル・マテュッシ、「アーデム(ERDEM)」のアーデム・モラリオグル、「オフ-ホワイトc/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のヴァージル・アブローら幅広いデザイナーがカプセルコレクションを手掛けてきた。また、過去には「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」「キス(KITH)」とコラボアイテムも制作している。