3千人を超える障がい者採用の水増し問題の発覚にともない、政府は新たに4千人の障がい者採用計画を公表しました。また、同じタイミングで地方自治体においても3800人超の障がい者採用水増し問題が発覚しています。各自治体においても障がい者採用は強化されることが確実です。

【参考リンク】障害者、来年度4000人雇用目標=年明けにも初の統一試験-政府

おりしも、本年の4月から、障がい者の法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられ、対象となる企業も従業員数50人から45.5人へと拡大されています。

結果として、民間企業においては“障がい者採用レース”が熾烈を極めている状況です。そこに官庁からの一万人近い新規求人が加わることから、今後かつてないほどの障がい者採用バブルが発生するのは確実でしょう。

急激な採用増は歪みを助長する

障がい者の雇用が促進されるという面は確かにあるでしょう。ただ、現状においても、障がい者採用にはいくつもの歪みが生じています。

たとえば、(車いす等の)オフィスワークに支障のない一部の身体障がい者に求人が集中している点、企業が敷地内に障がい者だけを集めた別会社を作って隔離しているケースなどです。

そうした歪みが、ふってわいたような障がい者採用バブルで助長されることを筆者は危惧しています。そもそも官庁における障がい者採用の水増し行為も、そうした歪みの生み出した副産物と言えるでしょう。

2021年には法定雇用率はさらに引き上げられ2.3%となることが決められています。そして、それを決めたのは官庁の“水増し”が発覚する前のタイミングでした。

法定雇用率の本来の理念は障がい者の自立や社会との共生であるはずです。そしてそれらが健全な形で実現するためには、一定の時間が必要です。新たに1万人近い雇用が生まれた現在、さらなる引き上げの実施は再考するべきだというのが筆者のスタンスです。