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【2026年冬季五輪】住民投票で反対多数!カルガリーは招致断念へ でもNHLファンは大喜び!?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
カルガリーは五輪招致を断念(Courtesy:@SportsCentre)

 2020年の東京オリンピックへのカウントダウンが進む一方で、カナダ西部のカルガリー(アルバータ州)は、2026年の冬季オリンピック開催地に名乗りを上げる意向を示していました。

▼38年ぶりの冬季オリンピック開催へ名乗り

 アルバータ州で最大の都市のカルガリーは、スピードスケートの黒岩彰や、フィギュアスケートの伊藤みどりの出場で、日本でも多くの人たちが注目した1988年の冬季オリンピックを開催。

 しかし、アイスホッケーのメイン会場となったスコシアバンク サドルドーム(現在の名称)が、オープンから35年も経っていることから、新たなアリーナを中心とした都市開発への動きが見られます。

新アリーナを中心とする開発計画が進むカルガリーNEXT(Courtesy:@JeffDavisonYYC)
新アリーナを中心とする開発計画が進むカルガリーNEXT(Courtesy:@JeffDavisonYYC)

▼住民投票で反対多数!招致断念へ

 ところが、一昨日(現地時間)行われたオリンピック開催の有無を問う住民投票の結果、反対票が上回り「否決」

 カルガリー市の負担だけでも約4億カナダドル(およそ344億円)の公金が必要とされるとあって、ナヘド・ネンシ市長は、「賛成を期待しただけに落胆しているが、市民は明快な意思を表明した。その方向で我々は進む」と、オリンピックの招致を断念する意向を示しました。

▼NHLファンは大喜び!?

 この知らせを聞いて、カルガリーに限らず、ホッケー大国と呼ばれるカナダでは、肩を落としている人も多いはず、、、だと思われる反面、大喜びしているNHLファンも少なくない様子です。

 というのは、2月に開催された「ピョンチャン(平昌)オリンピック」では、NHLが主導して「ワールドカップ」を再開したため、長野オリンピックから設けられた「オリンピックブレイク」(=オリンピック開催期間に合わせたレギュラーシーズン休止期間)を撤廃。

 これによって、NHLの現役選手のオリンピック出場への道が、閉ざされてしまいました。

 しかし、この決定に至る過程で、NHLのゲーリー・ベッドマン コミッショナーは、このような話し合いを行ったと明らかにしました。

 その内容は、夏季オリンピックでのアイスホッケー開催です。

▼NHLコミッショナーの提案

 筆者の当サイトで昨年4月5日に配信した記事(一部)を再掲載すると、、、

ベッドマン コミッショナーは、オリンピックブレイク(レギュラーシーズンの中断期間)を設けて選手を出場させることによるチームの損失を、あらためて話した一方で、国際オリンピック委員会(IOC)や、国際アイスホッケー連盟(IIHF)に対して、「夏季オリンピックでのアイスホッケー競技開催を提案した」 と公言。

「レギュラーシーズンに影響を与えることなく、選手たちが出場できる」と打診したものの、残念ながら受け入れられなかったそうです。

さらに続いてベッドマン コミッショナーは、「おそらく冬季オリンピックに於いて、アイスホッケーほどの集客と収入を見込める競技は見当たらないので、夏季オリンピックへ移行させたくなかったのだろう」と話しました。

▼夏季オリンピックならスーパースターが勢揃い!?

 このような経緯があるだけに、ホッケー大国・カナダでも「夏のオリンピックならスーパースターが勢揃いする」と、IOCやIIHFがこれまでの方針を改める日を待ち望んでいるファンが、少なくないかもしれません。

 施設の建設や整備などの負担も、冬季オリンピックに比べれば大きくないとも伝えられているだけに、カルガリーはターゲットを「夏季オリンピック招致」に変えるべき???

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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