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【アイスホッケー】バス衝突事故で16人が亡くなってから159日 新生・ハンボルトブロンコス開幕戦!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ハンボルトブロンコス (Courtesy:@Taylor_LeClaire)

 カナダ中部のサスカチュワン州をメインステージとして、12チーム(うち1チームはマニトバ州)が加盟しているSJHL(サスカチュワン ジュニアホッケーリーグ)が、昨夜(現地時間)開幕しました。

▼国外からもメディアが殺到!

 SJHLは、未来のNHLプレーヤーを目指すジュニア選手が腕を磨いているというものの、突出したスーパースターが、数多く存在するリーグではありません。

 それにもかかわらず、カナダ国内はもちろん、国外からも多くのメディアが取材に訪れました。

 その理由は、ハンボルト ブロンコスの開幕戦が行われたからです!

▼16人が亡くなる大惨事

 昨季のレギュラーシーズンが大詰めに差し掛かった4月6日(現地時間)。

 ロードゲームに向かうバスが衝突事故に遭い、選手、コーチ、トレーナーの合わせて16人が亡くなる大惨事に…。

 苦境に立たされたチームを救おうとの声が世界中から上がり、80か国以上から16億円を超す支援金が届きました

 スポーツファンだけに限らず、昨季のNHLの優勝メンバーの チャンドラー・スティーブンソン(ワシントン キャピタルズFW・24歳)が、スタンレーカップを携えてハンボルトにやってくるなど、世界中から力強いエールが!

 その気持ちに応えようと、ハンボルトは地元出身で、現役時代にNHLでもプレーした ネイサン・オイストリック(35歳)を、新たな指揮官(GM兼ヘッドコーチ=HC)として招へい。

 新しい選手も加わり、今季のSJHLにも参戦すると正式に表明し、昨夜の開幕戦を迎えました。

▼最後の相手と対戦

 開幕戦の相手は、ニパウィン ホークス

 昨季のプレーオフで対戦していた際にバスの衝突事故が起き、シリーズが打ち切られてしまった時の相手で、亡くなったハンボルトの16人には、文字どおり最後の相手となってしまったチーム。

 今は亡きチームメイトやスタッフの分まで戦うとの想いから、試合前には氷上に追悼の意を表すバナーが掲げられました。

氷上に追悼の意を表すバナーが掲げられた(Courtesy:@HumboldtBroncos)
氷上に追悼の意を表すバナーが掲げられた(Courtesy:@HumboldtBroncos)

▼ホッケーを続けられなくなったチームメイトも

 また、一命はとりとめたものの、アイスホッケーを続けられなくなってしまった元選手たちも、ホームゲームの舞台となる エルガーピーターセン アリーナに招かれ、セレモニアル パックドロップ(=野球の始球式と同様のセレモニー)を行いました。

セレモニアルパックドロップ(Courtesy:@TSNHockey)
セレモニアルパックドロップ(Courtesy:@TSNHockey)

▼地元ファンの期待に応えて先制!

 セレモニーに続いて始まった試合は、開幕戦の緊張もあってか、両チームともに、なかなか得点を奪えずにいましたが、第2ピリオドに入って、今季からハンボルトの一員となった マイケル・クラーク(FW・20歳/白#61)のゴールで先制に成功! 

 試合前から声援を送っていた地元ファンの期待に応えました。

▼開幕戦は逆転負け・・・

 ところが、第2ピリオドの中盤と終盤に、昨季の覇者ニパウィンが底力を見せてゴールを決められ、1-2。

 第3ピリオド(=アイスホッケーは3つのピリオドの合計得点で勝敗を決める)に入ってから、ニパウィンを上回る16本のシュートを放ちながら得点を奪えず。開幕戦は逆転負けを喫してしまいました。

▼結束の強いチーム

 試合後のメディアからの問い掛けに、オイストリックHCは「開幕戦の上に、今日は特別な雰囲気だったから」と、黒星を喫しながらも、選手たちのプレーに苦言を呈することはなかったそうで、むしろ「我々は結束の強いチームだ」と、確かな口調で答え返したとのこと。

 そんなオイストリックHCに、このような質問が飛びました。

 「新キャプテンは、いつ決まるのですか?」

▼キャプテンを決めない真の理由

 NHLを筆頭とする北米のリーグでは、試合ごとにキャプテンを交代したり、チームキャプテンを決めず、オルタネイトキャプテン(キャプテン代行)として複数の選手を指名するチームが見られます。

 それだけに、ハンボルトも当面はチームキャプテンを決めずに、戦う方針かと思われましたが、実はオイストリックHCの本心は違うようです。

 一昨季からキャプテンを担い、衝突事故で帰らぬ人となった、ローガン・シャッツ(前ハンボルトFW・享年20歳/下の写真)が、強いリーダーシップを発揮していたことを耳にしたオイストリックHCが「彼を称賛し続けてあげたい」と、あえて故人をキャプテンに位置づけたのです。

キャプテンを担った故ローガン・シャッツ(Courtesy:@leaderpost)
キャプテンを担った故ローガン・シャッツ(Courtesy:@leaderpost)

▼ホーム初勝利はいつ?

 黒星スタートとなってしまいましたが、2000人の観衆で満員となったスタンドからは、大きな拍手が送られていました。

 ハンボルトは明日の夜からロード2連戦。

 敵地で白星を手にして、22日のホームゲーム第2戦に臨むことを願っているファンは数多いはず。

 ハンボルトの選手たちが、亡きリーダーのために、そして声援を送り続ける地元ファンの期待に応える日は、いつになるのでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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