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【アイスホッケー】世界一決定戦開幕! 監督が代わったロシアはオリンピックに続いて金メダル獲得なるか?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
開幕戦で激突したカナダ(白)とアメリカ(写真:ロイター/アフロ)

 アイスホッケーの世界一を決める世界選手権(男子シニアトップディビジョン)が、昨日(現地時間)デンマークのコペンハーゲンと、ハーニングの二都市で開幕しました。

 

▼ホッケーシーズンを締めくくる世界一決定戦

 NHLをはじめとする北米のプロリーグでは、プレーオフが続いていますが、ヨーロッパやアジアなどの各国にとって、世界選手権はホッケーシーズンを締めくくる戦いになります。

 昨年4月21日に、当サイトで配信した日本は速すぎた。ライバル国が白旗を上げたスマイルジャパンが世界選手権で優勝!」で紹介したとおり、女子の世界選手権(シニアトップディビジョン)は、オリンピック開催年度に行われないのと異なり、男子の世界選手権は毎年開催されます。

▼トップ16が世界一を目指す!

 今年の世界選手権に出場しているのは、下に記した「16か国」

【Aグループ】

スウェーデン(昨年優勝)、ロシア(同3位)、スイス(同6位)、チェコ(同7位)、フランス(同9位)、ベラルーシ(同13位)、スロバキア(同14位)、オーストリア(今季昇格)

【Bグループ】

カナダ(昨年準優勝)、フィンランド(同4位)、アメリカ(同5位)、ドイツ(同8位)、ラトビア(同10位)、ノルウェー(同11位)、デンマーク(同12位)、韓国(今季昇格)

 昨年の大会で世界一に輝いたスウェーデンから、一つ下のカテゴリー(ディビジョン1グループA=二部に相当)で、優勝(オーストリア)、準優勝(韓国)の好成績を残して昇格した二つの国まで、合わせて”上位16か国”が二つのグループに別れて、総当たりのリーグ戦を実施。

 リーグ戦の成績により、両グループの上位4か国(計8か国)が、決勝トーナメントに進み、世界一の座を懸けて戦うのとともに、大会の順位決定規定に基づき15位と16位(最下位)になった国は、一つ下のカテゴリーに自動降格となります。

 

 

▼世界一奪還を目指すカナダ

 NHLのプレーオフが、カンファレンス セミファイナル(2ndラウンド)に差し掛かり、激しい戦いが続いていますが、その一方で世界選手権には、プレーオフへ進めなかったり、既に敗れたチームの主力選手の姿も。

 その中で最も注目を集めているのは、エドモントン オイラーズの コナー・マクデイビッド(FW・21歳)

カナダのキャプテンを務めるコナー・マクデイビッド(Courtesy:@HC_Men)
カナダのキャプテンを務めるコナー・マクデイビッド(Courtesy:@HC_Men)

 昨季はハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)に輝く活躍で、チームをプレーオフへ導いたのから一転、今季はプレーオフに進めずに終わったことから、2季ぶりに世界選手権へ出場。

 チームの期待の大きさは明らかで、マクデイビッドはキャプテンに指名されました。

 昨季はスウェーデンとの決勝に敗れ、3連覇を逃してしまったとあって、カナダのファンからは、マクデイビッドのプレーが勝利を呼び込んでくれることを期待する声が、数多く聞かれた模様。

 しかし、オープニングゲームとなった昨夜のアメリカ戦は、シュートアウト(=サッカーのPK戦に相当)までもつれる大熱戦となった末、アメリカに敗れてしまい、黒星スタート。

 マクデイビッドも、1アシストのみに終わり、カナダのファンを喜ばせることはできませんでした。

▼NHL vs 韓国代表

 初戦に敗れたとはいえ、カナダの戦力を見れば、マクデイビッドを筆頭に、21人の現役NHLプレーヤーがズラリ(大会開幕時の登録メンバー)。

 加えて指揮官にも、NHLでのコーチ(HC)経験が豊富なビル・ピータース(53歳・今季までカロライナ ハリケーンズHC。来季からカルガリー フレイムスHC)を据えたとあって、メダル争いに加わるのは確実視されます。

 そんなカナダとの対戦を控えているのが 韓国

 自国開催となった「ピョンチャン オリンピック」では、白星を手にすることができせんでした。

 前述したとおり、トップディビジョンに昇格してきた韓国が、マクデイビッドを筆頭に、NHLプレーヤーが揃うカナダと、どんな試合を演じるのか?

 アジアリーグ(日本、韓国、ロシア極東地区の8チームが加盟するアイスホッケーリーグ)の優勝メンバー13人を擁する韓国の戦いぶりを見れば、世界とアジアのアイスホッケーを比較することができそうです。

▼OARの名前で「金メダル」!

 これまで紹介した各国の戦いも気になりますが、何よりも注目しなくてはならない国は、やはり ロシア

 ピョンチャン オリンピックでは、ドーピング違反によって「O.A.R(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)」の名前での出場を余儀なくされてしまいました・・・。

 しかし選手たちは、悔しさを晴らすかのごとく、金メダルを勝ち取って、”アイスホッケー強国”の底力を見せつけました。

▼MVPがチームを去る

 それだけに世界選手権では、本来の「ロシア」のジャージを着て戦って金メダルを勝ち取る! との期待も高まりますが、ここへ来て二人のキーパーソンがチームを離れてしまいました。

 一人は、オリンピックのMVPに輝いた イリヤ・コバルチャク(前スカ サンクトペテルブルグFW・35歳)!

 コバルチャクは、6季ぶりにNHLへ復帰すると公言し、ニューヨーク レンジャーズなどとの交渉を進めている模様です。

▼指揮官もチームを去る

 さらに、もう一人は、HCとしてOARを率いた オレグ・ザナロク(前スカ サンクトペテルブルグHC・55歳)

 サンクトペテルブルグをKHLの王座へ導いた実績を評価され、ピョンチャン オリンピックの指揮官にも選ばれると、見事に金メダルを勝ち取った指揮官だけに、世界選手権での手腕発揮も期待されました。

 ところが、ザナロクは今季をもって契約満了となるのに伴い、ロシア代表のHC職を辞退するとの意向を表明。

 現地メディアによると、最前線での指揮官の務めを続けて来たことで「とても疲れている」と答えたとのこと。

 そのため世界選手権では、これまでのHCよりもチームとの距離を置いて「チームカウンセラー」としてチームに携わることになったと、ロシア協会のウラディスラフ・トレチャク会長(66歳・元ソ連オリンピックチームGK)は話しました。

 

▼OARで「金」! ロシアでも「金」!?

 ロシアが誇る名将がベンチで陣頭指揮を執る姿は、見られないようですが、その一方で、ザナロクがドイツとともに国籍を持つラトビアのメディアは、「馬鹿げているような噂かもしれない」と前置きをした上で、「NHLチームでコーチを務めることができる存在」だとコメント。

 コバルチャクのみならず、ロシア代表の指揮官も、ひょっとしたら活躍の舞台を北米へ移すことになるかもしれません。

 このような話題が聞かれる中、「OAR」のチーム名で金メダルを勝ち取ったオリンピックに続いて、 本来の「ロシア」の名前で出場する世界選手権でも、金メダルを勝ち取ることはできるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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