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45歳のヤーガが目指すのは、一に「NHL」、二に「オリンピック」、三四がなくて五に「オーナー」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ヤロミール・ヤーガ(Courtesy : @DavidKrawczyk13)

 「オリンピック」、「世界選手権」、そして「NHL」で、いずれもチャンピオンに輝いた者だけが名を連ねている「トリプルゴールドクラブ」

 国際アイスホッケー連盟が制定する最高の栄誉を受けた者は、世界中を探しても28人(選手27人、コーチ1人)だけ。

 そのうちの一人が、ヤロミール・ヤーガ(45歳・FW)です。

▼未だに所属チームなし

 昨季まで在籍していたフロリダ パンサーズとの契約満了後、再契約に至らなかったのに始まって、未だにヤーガは、新しいチームとの契約を模索し続けています。

 先月下旬には、カルガリー フレイムスが獲得へ乗り出すとの報道が見られ、1990年の秋に18歳でNHLデビューを飾って以来、初めてカナダのチームでプレーする姿が見られるとの期待が高まりました。

 ところが、その後は大きな進展がないまま、間もなく1か月になることから、実現の可能性はゼロと言えそうです。

▼またオリンピックでプレーしたい

 このような状況が続いても、「あくまで第一希望は、今季もNHLでプレーすること」だと言い続けて来たヤーガですが、ここへ来て少しずつ気持ちの変化が見え始めた様子。

 そのキッカケとなったのが、KHLのネフテキミク ニジネカムスクからのオファーでした。

 2012年のNHLドラフトで全体1位指名を受けたネイル(現コロラド アバランチFW)の父親で、ニジネカムスクのライル・ヤクポフ GMは、「ヤーガと契約を結ぶことに対して、我々のチームはとても興味がある」と公言

 この発言を伝え聞いたヤーガは、「またオリンピックでプレーしたい気持ちもある」との本音を、ロシアのメディアに明かしたそうです。

▼第一希望はNHL! だけれども・・・

 さらにヤーガは、同メディアに対して「もしNHLでプレーする願いが叶わないのなら、またオリンピックでプレーしたいと思っている。そのためには、(オリンピック期間中も試合が開催されるNHLを除いて)最もレベルが高い KHL でプレーするのが最善の選択だと思っている」と話しました。

 その一方で、「まだNHLの3~4チームと話し合いが続いている」ことも明かしましたが、プレシーズンゲームが始まり、これから開幕が近づくにつれ、選手をふるいにかける時期とあって、45歳のヤーガと契約を結ぶチームが現れる可能性は、低いと言わざるを得ないでしょう。

▼一に「NHL」、二に「オリンピック」、三四がなくて五に「オーナー」

 このような現状を顧みると、ヤーガの第一目標である「NHL」でのプレーは難しそうな雲行きとあって、当面は第二目標の「オリンピック」出場へ向け、KHLのチームと契約を結ぶのが現実的な模様。

 もしも、KHLチームとの契約も、スムーズに進まなかった場合は、自らが育った故郷のチームを財政難から救うべく買い取った「オーナー」職に専任するのが、現時点で考えられるヤーガの針路のようです。

 

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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