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NHLのオールスターで一番スゴかった選手は、文句なしに見事なシュートを決めた34歳のGKだ!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ロサンゼルスのステイプルズセンター(Photo:Jiro Kato)

62回目を数えるNHLオールスターゲームが、今日(現地時間)ロサンゼルスのステイプルズセンターで行われます。

今季も「アトランティック」、「メトロポリタン」、「セントラル」、「パシフィック」の4つのディビジョンごとにチームを作り(各チームのメンバーはNHLのオフィシャルサイトを参照)3 on 3 (=プレーヤーの数)によるトーメントで、優勝賞金100万ドルを懸けて激突!

とは言っても、昨年のハイライトをご覧いただくと ↓ お分かりのとおり、

公式戦とは違って、激しいボディチェックをする選手などは、もちろん見られず、ファイティングが始まった! と視線を向けても、両選手ともに笑顔を浮かべていたとおり、ゆる~い試合が繰り広げられます(笑)

▼注目はスキルズコンペティション

ゆる~い試合とは対照的に、見逃せないのは、オールスターゲームの前日に開催された「スキルズ コンペティション」

シュートの正確さを競ったり、、、

スケーティングのスピードを争ったり、、、

文字どおり、NHLを代表するスター選手たちが “スゴ技” を披露して、スタンドのファンを沸かせました。

▼最もスゴかったのは34歳で初出場を飾ったGK

スタンドのファンを沸かせた中でも、とびっきりの “スゴ技” を披露した選手がいます。

アリゾナコヨーテスの GKマイク・スミス(34歳)です。

10季前にNHLへデビューして以来、初めてオールスターゲームに出場したスミスは、4ラインチャレンジ(リンク上に引かれている二つのオフサイドラインと、センターライン、ゴールライン)から、相手チームのゴールへシュートを放つ競技に出場。

最も距離が遠い、ゴールラインからのシューターに選ばれると、、、

見事にゴールをゲット !!!

参考までに紹介すると、スミスがシュートを放ったゴールラインから、相手チームのゴールまでの距離は、178フィート(約54.3メートル)

GKのスティックは、プレーヤーが使うスティックよりも大きくて重いにもかかわらず、力強いシュートを放ち、小さな枠を通してゴールを決めたとあって、スタンドも、選手たちも、大喝采を浴びせていました。

▼3季前にもスミスはゴールを決めた

実はスミスがゴールを決めたのは、今回が初めてではありません。

3季前には、レギュラーシーズンの公式戦でも、見事なゴールを決めています!

★筆者注:相手チームのGKがいませんでしたが、アイスホッケーの試合では、試合終盤を迎えてリードされているチームは、GKをベンチに戻し、替わりにプレーヤーを送り込み全員攻撃(エンプティネット)を仕掛けるのが一般的です。

このように、GKに「ゴール」が記録されたのは、100年目を迎えたNHLの歴史の中で、わずかに「11人」だけ。

そのうち、通算勝利数歴代1位のマーティン ・ブロデューア(現セントルイス ブルース アシスタントGM=3ゴール)と、ロン・ヘクストール(現フィラデルフィア フライヤーズGM=2ゴール)は、複数の得点が記録されています。

しかし、昨年10月26日に掲載した、

の記事で紹介しましたが、ブロデューアの通算3ゴールのうちの2ゴールは、相手選手のオウンゴールで、「得点が加算されたチームの中で、一番最後にパックに触った選手にゴールが記録される」というルールによって、積み重ねられたもの。

一方のヘクストールは、2得点いずれも、自らのスティックで放ったパックがゴールに入った得点ながら、一つはプレーオフでの記録。

従って、自らシュートを放って、

レギュラーシーズンで2得点以上マークしたGKは、100年目を迎えたNHLの長い歴史の中で、まだ誰もいない

のです!

ウエスタンカンファレンス(全14チーム)の13位に低迷し、「北米4大スポーツ最長のフランチャイズプレーヤー」の移籍の話題も聞こえ始める中、「スミスのスティックから力強いシュートが放たれるかも !?」という期待は、アリゾナのファンにとって、31日から始まるレギュラーシーズン後半戦の数少ない楽しみかもしれません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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