米国株急落の影に「チャイナ・リスク」?

米国株急落と同時に「恐怖指数」は急騰

10月19日(金)の米ニューヨーク・ダウ工業株30種は、マイナス205・43ドル安となる4ヶ月ぶりの急落となった。このところ日本や欧州は、久しぶりに為替市場や株式市場が上昇する動きを見せて「リスクオン」の状態になっていた。その矢先の米国株急落だが、これが新たなステージへの転換点になる恐れも出てきた。

投資家の不安心理を指数化し恐怖指数とも呼ばれるシカゴ・オプション取引の「VIX指数」も、株価下落に合わせる形で13・5%上昇して終了している。恐怖指数は、投資家の不安心理を指数化したもので、金市場に対して不安感が拡大すると上昇する仕組みになっている。米国株の急落に対して大きく反応したと見ていいだろう。

今回の米国株の急落の直接の原因は、米国企業の業績悪化があるのだが、それにしては売られすぎという気もする。現在の米国は、11月に米国大統領選挙を控え、通常であればこの時期に大きく下落する展開はあまり考えられない。にもかかわらず、大きく値を下げた背景には、別の理由があったと考えた方がいいのかもしれない。

中国不動産バブル崩壊の衝撃?

凄まじい勢いで進んだ中国の不動産開発
凄まじい勢いで進んだ中国の不動産開発

現在、世界に影響を与えているリスクには様々なものがある。米国国内では大統領選挙もリスクといえばリスクだが、株式を売る理由にはならない。最近クローズアップされてきた「財政の崖」も、大統領選挙で片がつけば、早急に手が打たれるはずだ。「米国経済の低迷」も世界のリスクではあるが、QE3(第3次量的緩和)の実施で不動産市場の指数が好転したばかりで、米国に関するリスクはあまり考えにくい。

長期化しつつある「欧州債務危機」も、スペインの10年もの国債の金利が下がったことでも分かるように、トロイカが進める銀行監督の一元化など、ある程度は軌道に乗りつつあるように見える。いまや前人未到、IMFも、格付け会社も心配する「日本の莫大な公的債務残高」も、世界を脅かすリスクであることは間違いないが、こちらは崩壊するときは壊滅的になりそうだが、そう性急なものではなさそうだ。

となると、世界の投資家が感じているリスクは「チャイナ・リスク」ということになる可能性が高い。中国の第3・四半期のGDP伸び率は前年同期比で7.4%となり、一時はロンドン市場などが反応して株価を押し上げたのだが、もともと中国は年10%以上の成長率がないと暴動が起きると言われて久しい。

現在の中国は「高度成長」から「内需拡大」への方向転換が求められており、構造改革と景気低迷が重なり、中国経済には不安が多い。大規模な経済政策が期待されているものの、欧州債務危機の影響で輸出が伸び悩み、尖閣諸島問題などで日本との関係も悪化させてしまった。不動産バブルが崩壊を始めていて、地方自治体はいまや火の車ともいわれている。国営企業の半分は赤字であり、チャイナ・リスクが仮に表面化すれば世界に与える影響は大きい。

最近になって、中国に進出した外国企業が現地企業との合弁契約や労働契約の問題で、撤退したくてもできない状況に陥っていることが注目されたが、中国の抱えるリスクが、どの程度のもので、どんなインパクトを持っているのかも不透明だ。

株価急落の原因の見極めが重要

ちょうど今年は「ブラックマンデー」から25年に当たる。25年前、日本はバブル真っ只中だったが、あのときに四半世紀後の日本の株価が日経平均で8000円そこそこしかないことを誰が予想できただろうか。中国政府も新体制への転換期だが、自由主義社会と違って情報も少なく、中国政府内部で起きていることがよく分からない。そんな不透明さも投資家の不安心理をあおっている。日本はブラックマンデーは乗り越えたが、その3年後からはバブル崩壊で自滅していく。中国も、リーマン・ショックはなんなく乗り越えたが、あまりにも急激に成長を促進したツケは大きいかもしれない。

下落を続けていたVIX指数だが、際限なく下落し続けることは考えにくい。VIX指数に連動するETF(上場投資信託)もあるから、しばらくはそれらのチェックを忘れないほうがよさそうだ。株価急落の原因が何かをしっかり見極めたほうが良い。