就活でコロナ感染広がる~止める動きと止めない動きが交錯

株式会社DYMのイベント説明(サイトより引用)。自粛要請後も開催し批判が集まる

◆コロナ感染が収まらない

3月30日に私は「都市封鎖の前に就活封鎖が必要~マイナス少なく効果大のコロナ対策」という記事を書きました。

要は1週間か2週間、就活を止めませんか、というものです。

この時点では、まだそれくらいで済む、と考えていました。

この記事公開から10日。コロナ感染は全く収束する気配がありません。

それどころか、4月7日に政府は緊急事態宣言を出しました。

これを受けて、各大学は就職課・キャリアセンターを含む構内立ち入り禁止を表明するようになりました。

◆適性検査、国家公務員試験などは延期・中止へ

コロナ感染は就活への影響も出ています。

すでにリクナビ・マイナビは4月中のイベント中止を発表。

3月下旬には合同説明会を再開していたキャリタスナビ(ディスコ)も4月中は中止、5月以降も「状況を中止しながら判断」と、中止・延期に含みを持たせています。

適性検査会場も閉鎖となっています。最大手・SPI3を運営するリクルートマネジメントソリューションズは緊急事態宣言の発令を受けて7日に、4月9日午後から5月6日まで全国のテストセンター会場の営業停止を発表しました。

国家公務員試験(総合職)についても人事院は、4月26日に予定していた1次試験を5月24日に延期とすることを8日に発表しました。

◆水面下では就活が続き、感染者も

一方、水面下ではまだ就活/採用活動を続ける企業もあります。

その結果、就活生や関係者にも感染者が出てしまいました。

長崎国際大学は4月3日に学生の感染を発表。

3月8日から30日まで就活のために大阪に滞在。27日に倦怠感と発熱があり、31日にはインターンシップ実施企業から学生に「陽性者との接触あり」との連絡が来ます。これを受けて、2日に検査をしたところ、陽性と判明しました。

7日には学長が地域住民や学生へのメッセージを発表。

この度は本学において、新型コロナウイルスに感染した学生が出たことにつきまして、地域の皆様に大変ご心配をおかけしましたことを、長崎国際大学としてお詫び申し上げます。

4月4日には、リクルートホールディングスがリクルートキャリアの福岡・天神ビルで働く社員1人の感染者が出たことを発表しました。

3月~4月に就活が止まっていないことを考えれば、今後も就活生や採用担当者・就活関係者への感染者はまだまだ出てくるでしょう。

◆緊急事態宣言が出てもなお就活イベントを強行する社も

私は企業が就活を止めない以上、就活生や就職情報会社社員、あるいは大学職員などに感染者が出るのは当然、と考えます。

それから、そうした感染者の方が非難されるのはおかしい、とも考えます。

一方、緊急事態宣言が出てもなお、就活イベントを強行している就職情報会社もあります。

株式会社DYMはMeetsCompanyという座談会形式の就活イベントを年に1500回以上、実施しています。

平時であれば、少人数で学生と採用担当者が話せるイベントは非常に有効です。

しかし、このDYMは緊急事態宣言が出た4月7日以降も同イベントを実施しています。

同社に4月9日11時ごろ、電話取材をしたところ、以下の返答でした。

大阪では中止、東京・福岡では開催していますし、今後も継続予定です。いわゆる合同説明会ではなく、会場に集まってからモニター越しで説明を受けるウェブ説明形式になります。参加学生は会場に行かなくても自宅で参加することもできます。100平米ほどのスペースで参加学生は10人程度。それが今は半分程度です。それに感染予防対策もしているので。

株式会社DYMのイベントページ。自粛要請以降も開催予定が並ぶ(同社サイトより)
株式会社DYMのイベントページ。自粛要請以降も開催予定が並ぶ(同社サイトより)

座談会形式のイベントをどうやってウェブ説明にするのか、いまいちわかりません。が、まあ、オンライン会議システムなどを使う、ということであればわからなくもないところ。

理解できないのは、自宅での参加ができるのであれば、無理に会場で開催する必然性はないはず。その点を問うと、同社広報担当者は、

中止としているはずの大阪でも開催予定が並ぶ(同社サイトより、4月9日9時時点)
中止としているはずの大阪でも開催予定が並ぶ(同社サイトより、4月9日9時時点)

会場で就活の相談をしたい、という学生もいるので…

と歯切れの悪い返答でした。もし、参加した学生や採用担当者に感染者が出たらどう責任を取るのか、と質問したところ、

弊社としては感染予防対策はできるだけのことをやっている

との返答。

DYM社が言うところの予防対策(同社サイトより)
DYM社が言うところの予防対策(同社サイトより)

あとは参加学生や企業の自己責任ということなのでしょうか。

参加予定だった企業の担当者は、自身についても参加学生についても感染リスクがある点を憂慮して参加キャンセルを申し出ました。

すると、

キャンセル料は所定の額を貰います。延期?検討していません。

とのこと。この点を広報担当者に質問したところ、

個別の事例は把握していない。大阪は今後、中止・延期とするので今、参加予定企業にもそのアナウンスをするところだった

しかし、15時現在、特にアナウンスはないようです。

念のため、大阪府危機管理室に電話取材したところ、

規模に関係なく、また、屋内外を問わず、生活の維持に必要なものを除くイベントは自粛を要請している

とのこと。

東京都コロナ感染対策本部は、

国と調整中で10日に発表します

福岡県がん・感染症疾病対策課は、

3密のイベントは自粛して欲しい。ただし、あくまでも事業者に対しては要請の段階

とのことでした。

まあ、自治体担当者に聞くまでもなく、この時期に就活イベントをわざわざ開催するのはいかがなものでしょうか。

マレーシア留学を強行した山口県・梅光学院大学もそうですが、何というか、感染リスクを考えていないのは、あまりにも責任感がなさすぎます。

◆就活生や大学に責任を押し付けるな

無責任な就職情報会社はともかくとしても、です。

平時の就活のように、曖昧な形のままだと、結局、就活生からすれば就活を続けざるを得ません。

そして、就活を続けることによって、就活生本人や採用担当者、大学職員などは感染リスクにさらされ、あるいは、移動によって日本中に感染が広がることにもなりかねません。

そうした事態を放置したままでは良くないでしょう。

私はコロナ感染が日本で広がっている以上、就活も一時停止するべき、と強く考えます。

3月30日時点では「1週間か2週間くらい」としていましたが、感染が広がっている以上、1か月、何だったら2か月、停止した方がいいのではないでしょうか。

公式には就活を止めず、就活生の自己責任。

それで、感染すれば、就活生個人や所属大学がバッシングされることになるのです。

そんなの、おかしくないですか?

しかも、下手をすれば、生命すら危うくなるのがコロナ感染の恐ろしさです。そうしたリスクを就活生や大学に押し付けるのは、あまりにも異常であり、無責任です。

国・文部科学省や経団連には、就活停止宣言の発令を強く求めます。

別に難しいことをやれ、とか、補償を出せ、という話ではありません。

「2021年卒の就活についても、2022年卒の就活・インターンシップについても、6月まで停止とする。面接はもちろんのこと、小規模なイベントやリクルーター面談なども含む。ただし、ウェブセミナーやウェブ面接など直接会わないものは、その限りではない」

これだけで多くの就活生、大学が救われるだけではありません。

コロナ感染を大きく抑制できることにもなります。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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