都市封鎖の前に就活封鎖が必要~マイナス少なく効果大のコロナ対策

面接中の就活生(写真はイメージ)。どう考えても3密で感染リスクが双方高いのだが…(写真:アフロ)

◆コロナ感染は若者が悪い?

世界のコロナ感染者数は3月29日現在、64万人を突破。死者は2.9万人にまで達しています。

日本の感染者数(クルーズ船を除く)も1669人で今後、まだまだ増えそうです。

東京都、「感染源不明」増加に懸念 若者に警鐘、無症状拡散か 新型コロナ(3月30日 時事通信配信記事)

 新型コロナは、感染しても無症状だったり、軽症だったりする若者が多いとされる。都が外出自粛を要請した25日、小池百合子知事は「行動力のある若い人は感染している自覚がないまま活動する(可能性がある)」と警鐘を鳴らし、密閉や密集、近距離で会話が行われる場所には出向かないよう呼び掛けた。

この小池知事発言の前後から、新聞やテレビの報道では、無自覚な若者に批判的な論調が目立つようになりました。

◆早大総長、学生に激怒のコメント

とあるワイドショーでは、高田馬場を取材。飲み会帰りで騒ぐ若者の映像を流していました。そのうちの1組は早稲田大学の校歌「都の西北」を熱唱。

もちろん、高田馬場周辺で飲み歩く若者の全てが早稲田大生やその関係者、というわけではありません。が、大学の立地を考えれば早稲田大生が多いことは否定できません。

これを受けて、田中愛治・早稲田大学総長は3月27日、「早稲田大学の学生諸君に自覚ある行動を求む」とする異例のコメントを発表しました。

早稲田大学の学生諸君へ

早稲田大学総長

田中 愛治

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、不要不急の外出や懇親会等の自粛が社会的に強く求められている。それにも関わらず、今月25日(水)、26日(木)において、卒業生を中心とした学生が、深夜に高田馬場駅前ロータリーで騒ぐ姿が一部メディアで報道され、大学にも多くの苦情が寄せられていることは非常に遺憾である。これらの騒ぎに参加した学生には猛省を促したい。在学生には早大生として、卒業生には新社会人として、自覚ある行動を改めて求める。

以 上

ポジティブな情報は出してもネガティブな情報を出すのはためらう大学が多い中、田中総長の行動は高く評価できます。

問題は無自覚な若者、無自覚な学生は早稲田大に限らず、どの大学にもいることです。

本人が良くても、周辺に感染させるリスクは間違いなくありますので、自重を促したいところです。

◆適性検査試験会場や面接などは「3密」に該当

飲み会やライブ参加などは無自覚ですが、自粛要請などでまだ止めようがあります。

一方、コロナ感染防止の意識があっても動かざるを得ない学生がいます。

それが他でもない、就活生です。

企業が止める、と言わない限り、学生側は飲み会やライブなどのように「参加をやめる」とは言えません。

では、就活は感染リスクがないのか、と言えば全くの逆。「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話する密接場面」の3密にそれぞれ該当します。

適性試験会場はどの会場にも就活生が多くいます。

グループディスカッションや面接は「間近で会話」の典型例でしょう。

しかも、就活生は行動履歴が追いにくい特徴があります。

地方から都市部へ、あるいは、地方から地方へ。あちこちに移動する就活生はいくらでもいます。

◆リクナビ、マイナビは合説中止も水面下では続く

大手就職情報会社のリクルートキャリア(リクナビ)、マイナビは3月中の合同説明会中止を2月に発表。

3月上旬の合同説明会中止は、他の就職情報会社にも波及します。

その結果、広報解禁日となる3月1日は、学情(あさがくナビ)が東京、大阪で中規模の合同説明会を開催しただけ。街中では就活生をほぼ見かけない異例の事態となりました。

リクナビ、マイナビは3月27日、合同説明会中止を4月末まで延長することを発表しました。

大手企業も3月上旬は説明会や選考中止を相次いで発表しました。

では、それで就活の動きが止まったか、と言えばそんなことはありません。

水面下では少人数のセミナーやリクルーター面談などを実施する企業が多数でした。

まして、3月下旬にもなればどの企業も採用活動を活発化させています。

◆1週間か2週間、就活を止めませんか?

若者が感染リスクを増大させている、ということであれば、それは、無自覚に飲み会やライブに参加する学生だけではありません。就活生も同じですし、移動距離が長い分だけ、おバカな学生よりもリスクは高いはず。

それでいて、学生の方から止める、とは言えません。

そこで国や経団連などに提言したいのですが、1週間か2週間、都市封鎖ならぬ就活封鎖をしたらどうでしょうか?

文部科学省と厚生労働省、経団連などの経済団体、国立大学協会などの大学団体が連名で「コロナ感染の拡大を防止するために、就職活動・採用活動を1週間(または2週間)、停止します。その間は合同説明会や企業説明会はもちろん、リクルーター面談や選考なども停止します。ウェブセミナーやウェブ面接は例外とします」

と宣言を出すだけです。

◆就活封鎖はデメリットがほぼゼロ

スポーツやライブ、飲み会などは間違いなくデメリットがあります。それで生計を立てる飲食店経営者、フリーランス・アルバイトが経済的な被害を受けるからです。

一方、就活封鎖はどうでしょうか?実は意外なほど、経済的な被害はありません。

まず、学生ですが、採用がゼロになるならともかく、一時停止ですから、「だったら不要不急の外出はやめよう」となります。

大学も、飲み会は自粛しろ、でも就活は続けろ、とする矛盾を解消できます。そもそも大学は入学式中止・前期授業開始の後ろ倒しをするところが続出しています。大学によっては4月上旬ないし4月下旬まで大学そのものを閉鎖しています。つまり、大学も就活封鎖でそれほどマイナスになるわけではありません。

採用をする企業は企業で感染リスクを減らすことができます。どうしても選考をしたいのであればウェブ面接でいいわけですし。

経済的な被害を受けるとしたら、4月中に合同説明会実施を決めていた就職情報会社や中小企業団体でしょうか。それも1年ないし半年、続くのであれば、事業継続が難しいほどのダメージを受けるでしょう。

しかし、1週間か2週間程度であれば、経済的なダメージを吸収できるだけの体力はどの就職情報会社も持っているはず。

このように、外出自粛や都市封鎖に比べて、就活封鎖は経済的なダメージを誰もそれほど被りません。

それでいて、若者の往来をシャットダウンでき、感染拡大を防止することができます。

関係各位に、この就活封鎖を強く提言したい次第です。

追記(3月30日11時20分)

当初、記事見出しは「就職封鎖」でしたが、本文が「就活封鎖」なので、修正しました。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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