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就活生のガクチカ写真がしょぼすぎる!~意外と知らない写真の選び方

石渡嶺司大学ジャーナリスト
履歴書では証明写真のみ。エントリーシートではガクチカ写真を要求する企業も増加(ペイレスイメージズ/アフロ)

ガクチカ写真って何?

「あなたらしい写真を添付してください」

「学生時代のあなたを表す写真を添付してください」

 など、2010年代に入ってから、エントリーシートに証明写真以外の添付を求める企業が増えています。

 写真の添付と同時に、

「なぜその写真を選んだのか、その理由を記してください」

 など、説明を求めることも。

 言うなれば、エントリーシートの定番設問である「学生時代に力を入れたことは?」、略して「ガクチカ」の変化球バージョンがガクチカ写真です。

このガクチカ写真の選択、就活生は結構、間違えてしまうことがあります。

圧倒的に多いのは集合写真・活動中写真だが

ガクチカ写真で圧倒的に多いのは、集合写真です。サークル、ゼミなどの集合写真や打ち上げ風景など。

この写真の何がまずいか、と言えば本人が特定しづらい写真が多いことです。

特に大人数サークル・ゼミの集合写真だと、極端な話、本人が写っていなくても写っている、と言い張れるほど、小さくしか写っていません。「多人数なんだね」以上の感想を採用担当者はもてないわけで、これも困るパターンです。

企業からすれば、学生のことをより知りたいのでガクチカ写真を要求しているのです。

ところが、大半の就活生は、サークルやゼミの紹介をしているだけにすぎません。

論外は「貼り付けない」「子ども」「インスタ映え」

次に論外パターンから。

エントリーシートで「あなたらしい写真を」などの指示があるのに貼り付けない。社会人の方からすれば意外かもしれませんが、そこそこいます。こういう就活生。

もちろん、指示を無視した、ということでアウト。

子ども時代の写真を持ってくる就活生もいます。「あなたらしい写真」なら時期を指示していませんので、セーフと言えばセーフなんですが…。

それでも、基本的には学生時代の写真を出すのがお約束。エントリーシートでその学生のことを知るのに、幼稚園だか小学校の写真を出されても。採用担当者からすれば困惑するばかりです。

インスタ映えする風景写真も多いですね。自分に自信を持てない男子学生に多い気が。

「いや、あなたらしい、ということだったので、自分の心象風景を張り付けました」

いやいやいや、それは学生の勝手な言い分です。

企業からすれば、よほど自分に自信がないのだろう、としか判断できません。

関連写真も微妙なところ

風景写真よりは、まだましなんですが、本人が写っていない関連写真も微妙なところ。

関連写真とは、就活生本人のガクチカに関連した写真です。

たとえば、イベント設営のアルバイトをしていたら、椅子を設営したイベント会場(無人)の写真とか。

この間、札幌で話した学生は、花束の写真。理由は花屋でアルバイトをしていたからです。

こういう写真、キャプション(説明文)部分で説明ができるなら、まだ挽回のしようもあります。

ただ、それでも関連写真のみ、というのはあまりお勧めできません。もし、関連写真を出すなら、そこに本人や関係者が写っている方がいいからです。

顔なし・変顔アプリはアウト

変顔アプリなどは何か一工夫しないと気が済まない美大生にありがちなパターン。

顔が写っていない、本人が後ろ向き、首から下を映した、などの写真は自分に自信を持てない学生が多用。

どちらも、企業側からすれば、そこまで自分に自信が持てないのか、とネガティブな判断をしてしまいます。

本人はっきり、ストーリーありなら評価大

では、どういうガクチカ写真が有効でしょうか。

実はそんなに難しい話ではなく。

本人がはっきり写っている、そのうえでストーリーが読み取れる写真だと好印象です。

たとえば、成人式や入学式など親と一緒の写真だとどうでしょうか。

親の話は採用担当者からは聞きづらいテーマですが、写真があれば聞きやすくなります。親と一緒であれば3人以上だったとしても、本人が特定しやすい、という事情もあります。

それから、親との写真を張り付ける学生は親とのコミュニケーションをちゃんと取っていることが写真からも読み取れます。

アルバイトやサークル、ゼミであれば、アルバイト先の店長、ゼミ教員などと一緒の写真。

こちらもそれだけコミュニケーションが取れていることを示すからです。特にアルバイト先の写真だと、

「どのように働いているか、想像しやすい。ガクチカ写真を指定した甲斐があった」

 とする採用担当者が多数います。

実は評価の高い記念写真

就活生の自己評価は低いのですが、旅行などでの記念写真も高評価です。

採用担当者からすれば、自然に写っているか、わざとらしい記念写真でも、本人かどうか、ちゃんと判別できるものがいい、という意見が多数。

「記念写真で十分です。旅行先で、観光地のお約束、顔出しの撮影版利用とか」

 という意見も。

学生からすれば自分の写真は気恥ずかしいかもしれません。

自然な笑顔、と言われても困る、という方もいるでしょう。自然な笑顔が写真にあらわれるには、たくさん枚数を撮るしかありません。

面倒でも、普段のアルバイトなり、サークルなり、旅行なりでちゃんと撮影する、あるいは自分の写真を撮影してもらうと、だんだん良くなっていくはずです。

集合写真・打ち上げ写真しかない場合はトリミングで

と言っても、もうすでにエントリーシート提出の締め切りが過ぎた、あるいは、もうまもなく締め切りを迎えるという就活生も多いはず。

そして、集合写真・打ち上げ写真しかない、という就活生も多いでしょう。

その場合、対策はそう難しいものではありません。

集合写真・打ち上げ写真で本人を中心にトリミングをすればいいのです。

繰り返しますが、ガクチカ写真はストーリーが読めるかどうか。就活生はそうした写真を選択するようにしてみてください。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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