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厚生労働省「ブラック企業リスト」、未払い最高は5000万円!

石渡嶺司大学ジャーナリスト
通称「ブラック企業リスト」は日本の働き方を変えるきっかけとなるか

厚生労働省のリストは労働局別

5月10日、厚生労働省は。労働基準関係法令違反の企業344社を公表を公表しました。

このリストが「ブラック企業リスト」として話題になっています。

毎日新聞5月10日20時配信記事「<厚労省>書類送検“ブラック企業”334件 HPに初公表」には、こうあります。

昨年末に発表した「過労死等ゼロ」緊急対策の一環で、担当者は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」と説明する。従来は47都道府県にある労働局のHPに載せてきたが、報道発表で社名を明らかにしたのにHPでは伏せた事例もあったほか、掲載期間もまちまちで統一基準がなかった。同省は送検を公表した日から約1年間掲載し、毎月更新すると決めた。

10日に掲載されたのは昨年10月から今年3月までの計334件で、(1)企業・事業所名(2)所在地(3)公表日(4)違反した法律(5)事案概要などを県別に並べた。

内訳は、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反209件▽賃金未払いなど最低賃金法違反62件▽違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反60件▽労働者派遣法違反19件。労基法違反では、女性社員が過労自殺した広告最大手・電通の社名も掲載された。【早川健人】

賃金未払い、最高は約5000万円

毎月掲載、とのことで、今後334社がどれくらい増えるのか、注目したいところです。

さて、このブラック企業リスト、労働局別に掲載されています。私は2点、賃金未払い(最低賃金法違反)と、知名度の高い企業をそれぞれ抽出してみました。

まず、賃金未払いから。金額が判明している企業のうち、上位20社がこちらです。

賃金未払い(判明分)の上位20社/厚生労働省リストから筆者が作成
賃金未払い(判明分)の上位20社/厚生労働省リストから筆者が作成

1位の淡路貨物自動車(株)は、運送会社。検索すると、2000年代前半に見かけたような、ものすごく古くさいサイトが出てきました。

「労働者10名に、2年11か月にわたり所定賃金(累計総額約5000万円)を所定支払日に支払わなかったもの」

と、リストには記載されています。

電通以外に森永乳業、日本郵便も登場

もう1点、知名度の高い企業がどこか見ていきました。大半は労働基準法違反です。

知名度の高い企業/厚生労働省リストから筆者が作成
知名度の高い企業/厚生労働省リストから筆者が作成

大京穴吹建設は

「屋上防水作業において、高さ14.4メートルの箇所で作業を行わせるに際し、墜落防止措置を講じていなかったもの」

とあります。

「リスト」は効果があるか

厚生労働省は毎月、更新していくとのこと。

労働環境の改善には一定の効果がありそうです。

ただ、アーカイブとして残すわけではなさそう。

ということは、毎月、厚労省サイトを確認ないし保存する必要があります。

どうせなら、単にリストを公表するだけでなく、どう改善されたのかも含めてアーカイブとして残していった方がいいと思うのですが。

いずれにせよ、この「ブラック企業リスト」が日本の働き方を変えるきっかけとなるか、注視したいところです。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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