北大が教授205人相当カットの大規模リストラ発表~ノーベル賞とか世界大学ランキングどころでない件
2015年ノーベル賞受賞の鈴木章・名誉教授を輩出した北大なのに
どうも、石渡です。過去にリストラを1回食らっています。
という個人談はさておき、大学教員、特に国立大教員はそう簡単にクビにならないだろう、と思い込んでいました。
まして、わが郷里、北海道が誇る旧帝大の一角である北海道大学は、2010年に鈴木章・名誉教授がノーベル化学賞を受賞したほどの大学。
研究予算も含めて、さぞ予算が潤沢なのだろうと思いきや、2016年9月、大規模リストラ案を大学当局が発表しました。
ノーベル賞再び、とか、世界大学ランキングどころでなく、現在、学内は大紛糾している模様です。
教授205人分相当の大リストラ
リストラ案は、
北海道大学教職員組合執行委員会ブログ2016年9月7日記事「北大で教授205名分の人件費削減を提案」に、大学当局提案のリンクが張ってあります。
ざっくりまとめると要点は次の5点。
学内は反発も
当然ながら、教職員組合は
執行委員会声明「正当性なき教員数削減方針の撤回を求める」を発表。
地元紙・北海道新聞2016年9月17日朝刊記事によれば、法学・教育学など文系部局長が再考を求める意見書を提出したとのこと。
そりゃあ、そうでしょう。
リストラ案が進めば、研究どころではない
このリストラ案が通っても、一見すると、すぐ大リストラ、というわけではなさそうです。
あくまでも、「退職者の不補充、任期付き教員の雇い止め」なので。
ただ、一方で、目標を達成できないなら部局予算を減らす、新規採用・昇進を停止する、と言われてですね。
新規採用や内部の昇進人事などができるでしょうか、いやできるわけがない(反語)。
ということは、誰がどう考えても、「退職者の不補充、任期付き教員の雇い止め」だけではすみません。
期間中は、ポスドクからの採用も含めてやめよう、となってしまいます。
ポスドクの若手研究者からすれば、
「頑張っていれば、ポスドクから助教へ、そして准教授、教授と昇進していくに違いない」
という希望が消されたも同然です。
希望がない、ということは研究への情熱を持て、といっても無理でしょう。
情熱を持てない、ということは国内外の他大学に移るか、それとも、研究者としてのキャリアをあきらめるか、という話になってしまいます。
ノーベル賞だの世界大学ランキングどころではなくなってしまうに違いありません。
事務職員はすでにリストラ済み
北大はすでに事務職員については事務系・技術系職員を10%、減らしています。
その代替人員は非正規雇用職員となっています。
事務職員を減らすだけ減らして、今度は教員、と。
北大だけでなく、他の国立大にも広がる可能性大
このリストラ、北大に限った話ではありません。
お金がないのは、他の国立大でも事情は全く同じ。いや、北大以上にひどい大学の方がほとんどです。
国立大全体では平成16年度の法人化以降、この12年間で、約1470億円、削減されています。
これから先、北大だけでなく国立大でも五月雨式にリストラ案が出て、各校で紛糾しそうです。
日本の学術研究は大丈夫なのでしょうか。
訂正
●2016年9月25日、20時34分、冒頭の「昨年、2015年に鈴木章・名誉教授がノーベル化学賞を受賞」について、「2010年に鈴木章・名誉教授がノーベル化学賞を受賞」と訂正しました。
ご指摘いただいた、KITAMUKI_M 様、川崎様、ありがとうございました。