就活相談34・SPI対策でお薦めの本はどれ?
質問:適性検査の参考書や問題集はたくさん出ています。どれがお薦めでしょうか?
適性検査のうち、SPI3であれば参考書や問題集はどれも「最新SPI3対応!」などと表紙に出ています。
では、どれでもいいか、と言えばそうではありません。そこで、一席、昔話ならぬいま話を。
むかしむかし、ではない、つい最近、文系大学文系学部にAさんとBさんがいました。
2人は仲良しであり、文系学生にありがちな数学嫌いであり、普通の学生と同様それなりに努力家でした。
就活でもそれなりに頑張ろうと思ったAさんとBさんは数学が嫌いでは適性検査も突破できないと考え、対策本を購入。
少なくとも最初の1週間は1日1時間勉強していました。
Aさんは適性検査に突破し志望企業に内定。
しかし、一方のBさんは適性検査にまるで通らず連戦連敗となりました。めでたし、めでたし?
なぜ、同じ文系学部、かつ、数学嫌い、しかも勉強時間も同じのAさんとBさんで差が出てしまったのか、その理由はSPI3の参考書にありました。
Aさんが選んだ参考書は、非言語分野(数学)について、推論、集合、表の読み取りなど小難しい項目から並んでいました。
AさんもBさんも最初に手を取ったのがこちら。
「うわあ、難しそう」と2人とも考えたのですが、Aさんは「まあ難しいからやらなきゃ」とその本を買い、Bさんは「難しいから他の本に」と買うのをやめました。
Bさんが次に手に取った参考書は、仕事算、鶴亀算など簡単な計算問題が前半を占めていて後半に推論、集合などが出てきます。
最初は簡単なのでBさんは「とっつきやすいからこちらにしよう」と買うことにしました。
この参考書選びが明暗を分けたのです。
SPI3に本当に対応しているのはAさんが購入した方です。
SPIは1974年に開発(正確にはそれまでの適性検査を統合)されましたが、1996年に全面改訂。さらに2002年にSPI2に、2013年にSPI3にバージョンアップしています。
そして変われば変わるほど当初は出題されていた鶴亀算など簡単な計算問題が姿を消し、推論・集合など文系学生が苦手とする問題が主流となりました。
ここでカンのいい方はお気づきですね?
そう、Bさんが購入した対策本はSPIの時代に刊行され、以降、内容を使い回しているだけです。
表紙や最初の10ページくらいは変えていますが他は同じ。
そして、文系学生にありがちなのですが、ややこしい計算問題になるとめげてしまいます。
Bさんもまさにそうで
「でも参考書は半分くらい勉強した。だからあとはどうにかなるだろう」
と楽観視してしまったのです。
そのBさんが勉強した「半分」は簡単な計算問題ばかりで今はほとんど出題されていません。
いくら本人は勉強したつもりでも、実際には出題されない以上、適性検査対策ができていませんし、選考を通過しないのも無理ありません。
よくあっては困るのですが、市場で流通しているSPIの参考書の多くは、年度版で内容の使い回しをしています。
私は就活生・企業への取材だけでなく、国立国会図書館にてSPI対策本すべてを過去の年度にさかのぼって比較調査しました。
古いものだと1990年代後半と同じ。
国立国会図書館まで行かなくても、キャリアセンターや大学図書館には同じ参考書の古い年度版が置いてあるはずです。
数年分でも構いませんので比較してみてください。
下手なパズルの間違い探しより面白いかもしれませんよ。
表紙の付け替え(あるいは最初の数十ページだけ差し替え)で、あとは就活学生の皆さんが乳幼児だったころから変化なし。
言っちゃなんですがそんなもの、定価どころかブックオフの中古価格100円の価値だってありません。
では、買う価値がある本は、と言えば次の3冊。
対策本で一番売れているのは洋泉社から刊行、「SPIノートの会」と津田秀樹さんが編著の『これが本当のSPI3だ! 2016年度版』です。
赤の表紙で目立つため、大学生協などで見かけた学生も多いはず。
実際、大学生協でもかなり売れていますし、この本が一番信頼できます。
内容を毎年ある程度ですが変えている点も好感が持てます。
SPI3以外のテストセンター、WEBテストなどが気になるなら、このシリーズをどうぞ。
SPI3とWEBテストを1冊にまとめたのがナツメ社の『2016最新版 史上最強SPI&テストセンター超実戦問題集』。
こちらもSPI3については難しい問題から始まっています。
問題数が多いのも好評。
なお、このシリーズ、2009年から刊行開始です。
2014年初刊行でなければ信用できない、という方にはTAC出版の『無敵のSPI3 でる順徹底攻略本2016年』。
三田紀房さんの就活マンガ『銀のアンカー』を随所に使っています。
とりあえず、SPI対策本で信頼できるのはこの3冊。定価、ないし、大学生協での割引価格(1割引きが基本)なら買う価値は十分あるでしょう。
※『300円就活 準備編』(角川書店・オリジナル電子書籍)より引用